● 小学校及び中学校の学習指導要領等に関する移行措置並びに移行期間中における学習指導について 平成20年6月13日 20文科初第386号



20文科初第386号 平成20年6月13日
各都道府県教育委員会、各指定都市教育委員会、
各都道府県知事、各指定都市市長、
附属学校を置く各国立大学長 宛
文部科学事務次官(銭谷眞美)


     小学校及び中学校の学習指導要領等に関する移行措置並びに移行
     期間中における学習指導について(通知)


 現行の小学校学習指導要領(平成10年文部省告示第175号)(以下「現行小学校学習指導要領」という。)及び中学校学習指導要領(平成10年文部省告示第176号)(以下「現行中学校学習指導要領」という。)から平成20年3月28日に公示された新しい小学校学習指導要領(平成20年文部科学省告示第27号)(以下「新小学校学習指導要領」という。)及び中学校学習指導要領(平成20年文部科学省告示第28号)(以下「新中学校学習指導要領」という。)に移行するために必要な措置(以下「移行措置」という。)について、平成20年6月13日をもって関係の文部科学省令及び文部科学省告示が別添のとおり公布・公示されました。
 まず、平成20年6月13日に公布された学校教育法施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令(平成20年文部科学省令第19号)により、学校教育法施行規則の一部を改正する省令(平成20年文部科学省令第5号)(以下「平成20年改正省令」という。)の附則に移行措置に関する規定が追加されました。また、同日に公示された平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間における小学校学習指導要領の特例を定める件(平成20年文部科学省告示第98号)(以下「小学校特例告示」という。)及び平成21年4月1日から平成24年3月31日までの間における中学校学習指導要領の特例を定める件(平成20年文部科学省告示第99号)(以下「中学校特例告示」という。)により、小学校にあっては平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間、中学校及び中等教育学校の前期課程(以下「中学校等」という。)にあっては平成21年4月1日から平成24年3月31日までの間(以下「移行期間」という。)における学習指導要領の特例が定められました。
 ついては、移行期間における教育課程の編成・実施に当たっての留意事項は、下記のとおりですので、十分御了知いただくようお願いします。
 また、各都道府県教育委員会におかれては、所管の学校及び域内の市町村教育委員会に対し、各都道府県知事におかれては、所轄の学校及び学校法人等に対し、このことを十分周知されるようお願いします。
 なお、本通知については、関係資料と併せて文部科学省のホームページに掲載していますので、御参照ください。


                   記


第1 小学校の移行期間中の教育課程について

1 移行期間中の授業時数
 移行期間中の各学年における各教科等の授業時数及び総授業時数は、平成20年改正省令附則第3項の規定によるとともに、同項の定めるところ以外については現行の学校教育法施行規則別表第1によるものであること。その際、特に次の事項に留意すること。
(1)総授業時数は、第1学年においては34単位時間、第2学年から第6学年までの各学年においてはそれぞれ35単位時間増加させることとしたこと。
(2)算数、理科並びに第1学年及び第2学年の体育については、平成20年改正省令による改正後の学校教育法施行規則別表第1に定める授業時数と同じ時数となるようにしたこと。
(3)総合的な学習の時間の授業時数を第3学年においては10単位時間、第4学年においては5単位時間減じることとしたこと。
(4)第5学年及び第6学年においては、総合的な学習の時間の授業時数を各学年ごとに35単位時間まで外国語活動に充てることができることとしたこと。

2 教育課程編成の一般方針等
 小学校における移行期間中の教育課程の編成・実施に当たっては、新小学校学習指導要領第1章第1の教育課程編成の一般方針、第3の授業時数等の取扱い及び第4の指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項の規定(外国語活動に関する部分は、外国語活動を教育課程に加える場合に限る。)を踏まえ、その趣旨の実現を図ること。

3 各教科等ごとの特例の概要等
(1)道徳、総合的な学習の時間及び特別活動については、新小学校学習指導要領によることとしたこと。
(2)算数及び理科については、新小学校学習指導要領の一部を追加又は適用することとしたこと。また、それに応じて現行小学校学習指導要領の一部を省略する又は適用しないこととしたこと。
(3)国語、社会及び音楽については、全部又は一部について新小学校学習指導要領によることができることとするが、現行小学校学習指導要領による場合には、新小学校学習指導要領に定める内容の一部を追加又は適用することとしたこと。
(4)生活、図画工作、家庭及び体育については、全部又は一部について新小学校学習指導要領によることができることとしたこと。
(5)外国語活動については、移行期間中から教育課程に加えることができることとしたこと。

4 各教科等の学習指導上の留意事項
 各教科等の指導に当たっては、上記の1から3により新小学校学習指導要領を踏まえた指導に十分配慮するとともに、特に次の事項に留意すること。
(1)小学校特例告示により追加又は省略することとした内容(学年間で移行した内容を含む。)について十分留意した指導計画を作成すること。
 特に、移行期間中に追加して指導すべきとされている新小学校学習指導要領の内容については、新小学校学習指導要領の規定により、適切な指導が行われるようにすること。
(2)移行期間中に新小学校学習指導要領によることができるとされている教科において、実際に新小学校学習指導要領による場合には、その内容に応じて適切な教材を用いるとともに、所要の時数を確保して指導が行われるようにすること。
(3)現行小学校学習指導要領及び新小学校学習指導要領において目標及び内容を2学年まとめて示している教科については、特に、平成22年度の指導に当たっては翌年度を見通した適切な指導計画を作成して指導し、平成23年度の指導に当たっては、前年度における指導内容を踏まえて適切な指導計画を作成して指導する必要があることに十分に留意し、新小学校学習指導要領に円滑に移行できるようにすること。
(4)算数及び理科については、移行期間中に指導すべきとされている新小学校学習指導要領の内容に係る補助教材の配布を予定していることから、教科書に加え当該補助教材を適切に使用して指導を行うこと。
(5)外国語活動については、各学校の状況に応じて計画的に準備を進め、平成23年度からの実施に円滑に移行できるようにすること。

5 関連事項
 移行期間中に実施する中学校の入学者選抜に係る学力検査における出題範囲については、小学校特例告示の内容に留意し、各学年ごとに児童が履修している各教科の内容を踏まえた適切なものとなるよう十分配慮すること。
 また、平成20年3月28日付の通知(19文科初第1357号)の「2.留意事項」の(2)を踏まえ、平成23年度以降に実施する中学校の入学者選抜における学力検査については、新小学校学習指導要領に定める各教科の内容が出題範囲となるよう配慮すること。その際、小学校特例告示の内容にも十分留意すること。

第2 中学校等の移行期間中の教育課程について

1 移行期間中の授業時数
 移行期間中の各学年における各教科等の授業時数及び総授業時数は、平成20年改正省令附則第4項の規定によるとともに、同項の定めるところ以外については現行の学校教育法施行規則別表第2によるものであること。その際、特に次の事項に留意すること。
(1)総授業時数は、現行の学校教育法施行規則別表第2によること。
(2)数学については、第1学年は平成21年度から35単位時間、第3学年は平成22年度から35単位時間、それぞれ増加させ、平成22年度からは平成20年改正省令による改正後の学校教育法施行規則別表第2に定める授業時数と同じ時数となるようにしたこと。
(3)理科については、第2学年は平成22年度から35単位時間、第3学年は平成21年度から25単位時間、平成23年度からはさらに35単位時間、それぞれ増加させ、平成23年度からは平成20年改正省令による改正後の学校教育法施行規則別表第2に定める授業時数と同じ時数となるようにしたこと。
(4)第1学年においては、選択教科等に充てる授業時数は0〜15単位時間、総合的な学習の時間の授業時数は50〜65単位時間としたこと。また、第2学年の選択教科等に充てる授業時数は、平成22年度及び23年度においては15〜50単位時間としたこと。さらに第3学年の選択教科等に充てる授業時数は、平成21年度は80〜140単位時間、平成22年度は45〜105単位時間とし、平成23年度は10〜70単位時間としたこと。

2 教育課程編成の一般方針等
 中学校等における移行期間中の教育課程の編成・実施に当たっては、新中学校学習指導要領第1章第1の教育課程編成の一般方針、第3の授業時数等の取扱い及び第4の指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項の規定を踏まえ、その趣旨の実現を図ること。
 なお、選択教科については、現行中学校学習指導要領第1章第3の3の規定は適用しないこととしたことに留意すること。

3 各教科等ごとの特例の概要等
(1)道徳、総合的な学習の時間及び特別活動については、新中学校学習指導要領によることとしたこと。
(2)数学及び理科については、新中学校学習指導要領の一部を追加又は適用することとしたこと。また、それに応じて現行中学校学習指導要領の一部を省略する又は適用しないこととしたこと。
(3)国語、社会及び音楽については、全部又は一部について新中学校学習指導要領によることができることとするが、現行中学校学習指導要領による場合には、新中学校学習指導要領に定める内容の一部を追加又は適用することとしたこと。
(4)美術、保健体育、技術・家庭及び外国語については、全部又は一部について新中学校学習指導要領によることができることとしたこと。

4 各教科等の学習指導上の留意事項
 各教科等の指導に当たっては、上記の1から3により新中学校学習指導要領を踏まえた指導に十分配慮するとともに、特に次の事項に留意すること。
(1)中学校特例告示により追加又は省略した内容(学年間で移行した内容を含む。)について十分留意した指導計画を作成すること。
 特に、移行期間中に追加して指導すべきとされている新中学校学習指導要領の内容については、新中学校学習指導要領の規定により、適切な指導が行われるようにすること。
(2)移行期間中に新中学校学習指導要領によることができるとされている教科において、実際に新中学校学習指導要領による場合には、その内容に応じて適切な教材を用いるとともに、所要の時数を確保して指導が行われるようにすること。
(3)現行中学校学習指導要領及び新中学校学習指導要領において目標及び内容を2学年又は3学年まとめて示している教科については、特に、平成23年度の指導に当たっては翌年度を見通した適切な指導計画を作成して指導し、平成24年度の指導に当たっては、前年度における指導内容を踏まえて適切な指導計画を作成して指導する必要があることに十分に留意し、新中学校学習指導要領に円滑に移行できるようにすること。
(4)数学及び理科については、移行期間中に指導すべきとされている新中学校学習指導要領の内容に係る補助教材の配布を予定していることから、教科書に加え当該補助教材を適切に使用して指導を行うこと。
(5)選択教科については、現行中学校学習指導要領第1章第3の3の規定に基づき、生徒選択を基本としているが、移行期間中から同規定の適用がなくなること。

5 関連事項
 移行期間中に実施する高等学校の入学者選抜に係る学力検査における出題範囲については、中学校特例告示の内容に留意し、各学年ごとに生徒が履修している各教科の内容を踏まえた適切なものとなるよう十分配慮すること。
 また、平成20年3月28日付の通知(19文科初第1357号)の「2.留意事項」の(2)を踏まえ、平成24年度以降に実施する高等学校の入学者選抜における学力検査については、新中学校学習指導要領に定める各教科の内容が出題範囲となるよう配慮すること。その際、中学校特例告示の内容にも十分留意すること。


〔参考〕文部科学省ホームページアドレス
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/index.htm
(ホーム>教育>小・中・高校教育に関すること>新しい学習指導要領)




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