● 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正等について(小学1年生の35人学級) 平成23年4月22日 23文科初第202号
23文科初第202号、平成23年4月22日
各都道府県教育委員会 宛
文部科学副大臣(鈴木寛)
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正等について(通知)
このたび、別添のとおり、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律」(以下「改正法」という。)をはじめとする法令等が公布・施行されました。各法令等の公布期日及び施行期日等は次のとおりです。
(1)「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律」(法律第19号・平成23年4月22日公布・同日施行。ただし、改正法による改正後の公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(昭和33年法律第116号。以下「新義務標準法」という。)第4条から第6条まで、
第10条及び第18条並びに改正法による改正後の地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号。以下「新地教行法」という。)並びに改正法附則第8項は平成24年4月1日から施行)
(2)「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律施行令の一部を改正する政令」(政令第105号・平成23年4月22日公布、同日施行)(以下「改正令」という。)
(3)「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等に基づく文部科学大臣の定めについての一部改正」(平成23年4月22日)(以下「大臣の定め」という。)
新学習指導要領の円滑な実施や、いじめ等の教育上の課題に適切に対応し、教員が子どもと向き合う時間の確保を図ることにより質の高い義務教育を実現するためには、少人数学級を推進するとともに、市町村の主体的な取組による学校教育の充実を促進することが必要であります。上記の法令等の改正は、公立の義務教育諸学校の学級規模及び教職員の配置の適正化を図るため、公立の小学校の第1学年に係る学級編制の標準を改めるとともに、市町村の設置する義務教育諸学校の学級編制に関する都道府県教育委員会の関与の見直しを行うほか、教職員定数の加配措置事由の拡大や東日本大震災に係る教職員定数の特別措置等について定めるものであります。
改正法令等の内容の概要及び留意事項は下記のとおりですので、各都道府県教育委員会におかれましては、今後、これらの改正法令等の趣旨に沿って、学級規模の適正化と教職員定数の確保及び適正配置に努めていただくようお願いいたします。
また、域内の市町村教育委員会に対して、改正法令等の趣旨及び内容を周知していただくよう御配慮願います。
なお、改正法令等の関係資料は文部科学省のホームページに掲載しておりますので、御参照ください。
【参考】文部科学省ホームページアドレス
義務標準法等の一部を改正する法律について
(文部科学省ホームページ>小学校・中学校・高等学校>少人数学級の実現>義務標準法等の一部を改正する法律について)
記
第一 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部 改正(改正法第1条)
1. 学級編制の標準の改定
公立の小学校の第1学年の児童で編制する学級に係る1学級の児童の数の国の標準を40人から35人に引き下げたこと(新義務標準法第3条第2項)。
2.学級編制に関する都道府県教育委員会の関与の見直し
(1)都道府県教育委員会が定める公立の義務教育諸学校の学級編制の基準について、これらの学校の設置者が学級編制を行う際に従うべき基準としての位置付けを改め、標準としての基準とするとともに、学級編制を行うに当たり、当該学校の児童又は生徒の実態を考慮することを明記したこと(新義務標準法第4条) 。
(2)市町村立義務教育諸学校の学級編制についての市町村教育委員会から都道府県教育委員会への同意を要する協議の義務付けを廃止し、事後の届出制としたこと(新義務標準法第5条)。
3.教職員定数の標準となる学級数の見直し
各都道府県ごとの公立の義務教育諸学校に置くべき教職員定数の標準となる数の算定について、その基礎となる学級数を、実学級数から都道府県教育委員会が定める学級編制の基準により算定した学級数に改めたこと (新義務標準法第6条第2項及び第10条第2項)。
4.教職員定数の算定に係る加算が行われる場合の追加等
教職員定数の算定に係る加算が行われる場合等に関し、次の改正を行うこと。
(1)小学校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程において、従前の複数の教頭及び教諭等の協力による指導が行われる場合等に加え、小学校において専門的な知識又は技能に係る教科等に関する専門的な指導が行われる場合には、第7条第1項により算定した数に政令で定める数を加えた数を教頭及び教諭等の数とすることとしたこと(新義務標準法第7条第2項)。
政令で定める数は、都道府県教育委員会が小学校において行われる専門的な指導又は技能に係る教科等に関する専門的な指導に係る授業時数及び児童の数その他の事情を勘案して教頭及び教諭等を置くことについての配慮を必要とすると認める学校の数等を考慮し、文部科学大臣が定める数とすることとしたこと(改正令による改正後の公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律施行令(昭和33年政令第202号。以下「新義務政令」という。)第2条及び大臣の定め記2)。
(2)特例加算が行われる事由として、障害のある児童又は生徒に対する特別の指導が行われていることその他障害のある児童又は生徒に対する指導体制の整備を行うことについて特別の配慮を必要とする事情として政令で定めるものを明記したこと(新義務標準法第15条第3号)。
新義務標準法第15条第3号に基づき政令で定める事情は、特別支援学校の小学部又は中学部が他の小学校等の要請に応じて障害のある児童又は生徒の教育に関する助言又は援助を行うよう努めるものとする学校教育法(昭和22年法律第26号)第74条の責務を十分に果たすことができるよう、当該学校の人的体制の整備を行うことが特に必要であると認められることとし、教職員の数を加える場合においては、障害のある児童又は生徒に対する特別の指導が行われている学校及び上記の人的体制の整備を行うことが特に必要であると認められる学校の数等を考慮して文部科学大臣が定める数を加えることとしたこと(新義務政令第5条第3項、大臣の定め記4)。
(3)教職員定数の加配措置に係る政令で定める数については、校長及び当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会の意向を踏まえ、必要かつ十分なものとなるよう努めなければならないこととしたこと(新義務標準法第7条第2項及び第15条)。
第二 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正(改正法第2条)
1.都道府県教育委員会が県費負担教職員の市町村別の学校の種類ごとの定数を定める場合の勘案事項として、当該市町村における児童又は生徒の実態、当該市町村が設置する学校の学級編制に係る事情等を明記したこと(新地教行法第41条第2項)。
2.都道府県教育委員会に対し、1の場合に聴くこととされている市町村教育委員会の意見を十分に尊重することを義務付けたこと (新地教行法第41条第3項)。
第三 附則関係
1.政府は、この法律の施行後、公立の義務教育諸学校の学級規模及び教職員の配置の適正化に関し、公立の小学校の第二学年から第六学年まで及び中学校(中等教育学校の前期課程を含む。)に係る学級編制の標準を順次に改定することその他の措置を講ずることについて検討を行い、その結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置を講ずることとし、 当該措置を講ずるに当たっては、これに必要な安定した財源の確保に努めることとしたこと(改正法附則第2項及び第3項)。
2.公立の義務教育諸学校の学級編制並びに教職員の任免等及び定数の在り方については、この法律の施行後、その全般に関し検討が加えられ、その結果に基づいて所要の措置が講じられるものとしたこと(改正法附則第4項)。
3.公立の義務教育諸学校を設置する地方公共団体の教育委員会が当該学校の学級編制を行うに当たり、当該学校の児童又は生徒の実態を考慮して、小学校第1学年の児童で編制する学級に係る1学級の児童の数に関して都道府県教育委員会が定めた基準によらないこととした特段の事情がある場合においては、都道府県教育委員会は、教職員定数に関し、教育上特別の配慮をすることができることとしたこと (改正法附則第5項)。
4.平成23年東北地方太平洋沖地震により被害を受けた地域に所在する公立の義務教育諸学校(被災した児童又は生徒が転学した公立の義務教育諸学校を含む。)において、被災した児童又は生徒に関し、学習に対する支援を行うこと等が喫緊の課題になっている事情に鑑み、国及び当該学校が所在する都道府県教育委員会は、当該学校の教職員の定数に関し、必要な特別の措置を講ずることとしたこと(改正法附則第6項)。
5.平成23年度においては、公立の小学校の第1学年の学級編制の標準の引下げに係る新義務標準法第3条第2項の規定は平成23年4月1日から適用されたものとみなして、義務教育費国庫負担法(昭和27年法律303号)その他の法令の規定を適用するものとしたこと(改正法附則第7項)。
第四 留意事項
1.新義務標準法第3条関係
(1)今回の改正により公立小学校第1学年の学級編制の標準が引き下げられ、基礎定数化されたことを踏まえ、今後各都道府県教育委員会等において正規教員の採用や人事配置をより一層適切に行うことが求められること。
(2)都道府県において国の学級編制の標準よりも小規模の学級編制基準を定めること等によりすでに小学校第1学年において35人以下学級を実施している場合においても、各都道府県において、今回の改正により増加する教職員定数を活用して、他の学年の少人数学級やその他の教職員配置の改善に努めるとともに、各都道府県における教職員配置の改善の状況を適切に情報公開するなど説明責任を果たすことが重要であること。
2.新義務標準法第4条、第5条、新地教行法第41条、改正法附則第5項関係
(1)市町村教育委員会が行う学級編制に対する都道府県教育委員会の関与を見直す制度改正を行うことにより、学校の設置者である市町村教育委員会が自らの判断と責任で学級編制を行い、地域や学校の実情に応じて、最も効果的な学習・生活指導を行うための適切な学級編制を、より一層実施できるようにするものであること。
これにより、都道府県教育委員会が定める学級編制の基準により市町村教育委員会が学級を編制することが原則であるが、個別の学校ごとの事情に応じて、児童生徒に対する教育的配慮の観点から、例えば以下のような弾力的運用が例外的に許容されること。
1 小学校第1学年の児童数が36人〜40人の学校において、その学校の児童の状態に応じた教育的配慮から学級を分割しないで、ティーム・ティーチングなど他の指導体制の充実により対応すること。
2 当該学校に配置された教職員定数の範囲内において、当該学校のある学年について都道府県教育委員会の基準を超えた学級編制を行いつつ、その教職員の配置を活かして学級経営上特段の困難を生じている学年について都道府県教育委員会の基準よりも小規摸の学級編制を行う等、児童生徒の実態に応じた学級編制を行うこと。
(2)学級編制に関する市町村教育委員会の自主性を教職員定数の配分の観点からも担保できるよう、新地教行法第41条を踏まえ、都道府県教育委員会においては、市町村教育委員会が柔軟な学級編制を行った場合にも、都道府県教育委員会が定めた学級編制の基準により算定した学級数を踏まえた教職員定数の配置を行うことが適当であること。
(3)改正法附則第5項に規定する小学校第1学年の学級編制について都道府県教育委員会が定めた基準によらないこととする特段の事情がある場合には、必要となる教室の確保が非常に困難なことが明白な場合及び平成23年度において年度途中に学級編制を変更することが児童生徒に対する教育的配慮の観点から困難な場合が含まれること。また、そのような特段の事情がある場合においても、上記2.(2)に示したように、都道府県教育委員会が定めた学級編制の基準により算定した学級数を踏まえた教職員定数の配置を行うことが適当であること。
3.新義務標準法第7条、第15条、改正法附則第6項関係
今回の改正による教職員定数の加配措置事由の拡大等や東日本大震災に係る教職員定数の特別措置について、文部科学省では第一の4及び第三の4に示した改正法の趣旨に沿って適切に対応することとしており、各都道府県教育委員会においては、各市町村教育委員会に法改正の趣旨を周知するとともに、市町村教育委員会の意向を十分に把握し適切に対応するよう努めること。
別添資料 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律
Copyright© 執筆者,大阪教育法研究会