● 文部科学省所管事業分野における個人情報保護に関するガイドライン 平成27年8月31日 文部科学省告示第132号



文部科学省所管事業分野における個人情報保護に関するガイドライン
(平成27年8月31日文部科学省告示第132号)
平成27年8月 文部科学省


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目次
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第1 趣旨(法第1条関係)
(1)このガイドラインの趣旨・目的
(2)このガイドラインの規定の適用に関する事項
第2 用語の定義(法第2条関係)
第3 このガイドラインの適用対象
(1)適用対象となる者
(2)適用対象となる情報
第4 個人情報の利用目的に関する義務
(1)利用目的の特定(法第15条第1項関係)
(2)利用目的の変更(法第15条第2項・法第18条第3項関係)
(3)利用目的による制限(法第16条第1項関係)
(4)利用目的による制限(事業承継の場合)(法第16条第2項関係)
(5)利用目的による制限の例外(法第16条第3項関係)
第5 個人情報の取得に関する義務
(1)適正な取得(法第17条関係)
(2)取得時の利用目的の通知又は公表(法第18条第1項関係)
(3)書面等による直接取得時の利用目的の明示(法第18条第2項関係)
(4)利用目的の通知等をしなくてよい場合(法第18条第4項関係)
第6 個人データの管理に関する義務
(1)データ内容の正確性の確保(法第19条関係)
(2)安全管理措置(法第20条関係)
(3)従業者の監督(法第21条関係)
(4)委託先の監督(法第22条関係)
第7 個人データの第三者提供に関する義務
(1)第三者提供の制限に関する原則(法第23条第1項関係)
(2)第三者提供の制限に関する例外(法第23条第1項関係)
(3)いわゆる「オプトアウト」(法第23条第2項・第3項関係)
(4) 「第三者」に該当しないもの(法第23条第4項・第5項関係)
第8 保有個人データの開示等に関する義務
(1)保有個人データに関する事項の公表等(法第24条関係)
(2)保有個人データの開示(法第25条関係)
(3)保有個人データの訂正等(法第26条関係)
(4)保有個人データの利用停止等(法第27条関係)
(5)理由の説明(法第28条関係)
(6)開示等の求めに応じる手続(法第29条関係)
(7)手数料(法第30条関係)
第9 苦情処理に関する義務(法第31条関係)
第10 法違反又は法違反のおそれが発覚した場合の対応
第11 勧告、命令等についての考え方
第12 ガイドラインの見直しについて



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第1 趣旨(法第1条関係)
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(1)このガイドラインの趣旨・目的

 このガイドラインは、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「法」という。)第8条に基づき、また、法第7条第1項に基づく「個人情報の保護に関する基本方針」(平成16年4月閣議決定。以下「基本方針」という。)を踏まえ、文部科学省が所管する分野(以下「文部科学省所管事業分野」という。)における事業者等(以下「関係事業者」という。)が個人情報の適正な取扱いの確保に関して行う活動を支援するため、当該分野の実情や特性等を踏まえ、関係事業者が講じる措置が適切かつ有効に実施されるよう具体的な指針として定めるものである。
 法は、個人情報の取扱いに当たり、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的としており(法第1条)、その目的は、このガイドラインにおいても、同様である。

(2)このガイドラインの規定の適用に関する事項

 このガイドラインで「〜ならない」(「努めなければならない」を除く。)と記載している規定は、法の義務規定の対象である個人情報取扱事業者の法的義務である。そのため、個人情報取扱事業者である関係事業者が従わない場合には、文部科学大臣又は法第51条における地方公共団体の長その他の執行機関(以下「文部科学大臣等」という。)により、法違反と判断される可能性がある。一方、個人情報取扱事業者でない関係事業者がこれに従わない場合には、法違反と判断されることはない。
 また、このガイドラインで「望ましい」と記載している規定は、関係事業者がそれに従わない場合には、法違反と判断されることはないが、法の基本理念(法第3条)を踏まえ、できるだけ取り組むことが望まれる(「第3 このガイドラインの適用対象」の規定も参照)。
 なお、このガイドラインに記載した具体例は、これだけに限定する趣旨で記載されたものではない。また、記載した具体例も、個別ケースによっては別途考慮すべき要素があり得るので注意を要する。
 また、関係事業者が取り扱う個人情報は、このガイドラインのほか、法第51条の規定に基づき地方公共団体が講ずる措置等にも留意するものとする。


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第2 用語の定義(法第2条関係)
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 このガイドラインで使用される用語は、法第2条の例によるほか、次の定義に従うものとする。

(1)個人情報

 「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができるものを含む。)をいう。
 「個人に関する情報」とは、氏名、性別、生年月日、住所、年齢、職業、続柄等の事実に関する情報に限られない。個人の身体、財産、職種、肩書、学歴・学習歴(学校の在籍記録、学籍番号、科目履修表、学業成績、人物評価など)等の属性に関する判断や評価を表す全ての情報を指し、公刊物等によって公にされている情報、映像や音声による情報(写真やビデオ等に記録したものなど)も含まれる。これら「個人に関する情報」が、氏名等と相まって「特定の個人を識別することができる」ことになれば、それが「個人情報」となる。
 なお、生存しない個人に関する情報が、同時に、遺族等の生存する個人に関する情報に当たる場合は、当該生存する個人に関する情報となる。
 また、企業名等、法人その他の団体に関する情報は、基本的に「個人情報」に該当しない。しかし、役員の氏名等の個人に関する情報が含まれる場合は、その部分が「個人情報」に該当する。
 「個人」には、外国人も当然に含まれる。

(2)個人情報データベース等

 「個人情報データベース等」とは、特定の個人情報について、コンピュータ等を用いて検索することができるように体系的に構成した個人情報を含む情報の集合物のことをいう。コンピュータを用いていない場合でも紙面で処理した個人情報を一定の規則(例:五十音順)に従って整理・分類し、特定の個人情報を容易に検索することができるよう目次、索引、符号等を付し、容易に検索可能な状態にしているものは、これに当たる。

(3)個人データ

 「個人データ」とは、「個人情報データベース等」を構成する個人情報をいう。

(個人データに当たる例)
 ・個人情報データベース等から記録媒体にダウンロードされた個人情報
 ・個人情報データベース等から紙面に出力された帳票に印字された個人情報

(個人データに当たらない例)
 ・特定の個人情報を容易に検索することができるものとなっていない写真等(多数の人物が写った情景写真や人物の集合写真をそのまま使う場合など)

(4)個人情報取扱事業者

 「個人情報取扱事業者」とは、個人情報データベース等を事業の用に供している者から、次に掲げる者を除いたものをいう(注1)。
 1.国の機関
 2.地方公共団体
 3.独立行政法人等
 4.地方独立行政法人
 5.その取り扱う個人情報の量及び利用方法からみて個人の権利利益を害するおそれが少ない者(注2)

(注1)
 ・ここでいう「事業」とは、一定の目的をもって反復継続して遂行される同種の行為であって、かつ、社会通念上事業と認められるものをいう。営利事業のみを対象とするものに限らない。

(注2)
 ・5.には、法人のほか、法人格を有しない団体(任意団体)や一般個人も含み得る。
 ・5.には、個人情報データベース等を構成する個人情報により識別される特定の個人の数の合計(同一個人の重複分は除く。)が、過去6か月以内のいずれの日においても5,000を超えない者が該当する(個人情報の保護に関する法律施行令(以下「施行令」という。)第2条)。5,000を超えるか否かは、関係事業者が管理する全ての個人情報データベース等を構成する個人情報によって識別される特定の個人の数の総和により判断するものとする。例えば、複数の事業所を有する関係事業者(例:複数校を設置する学校設置者など)の場合は、個々の事業所ごとの数ではなく、全ての事業所を通じた合計数が5,000を超える場合に、個人情報取扱事業者に該当し得ることとなる。
 ・「個人情報データベース等」が、以下(1)〜(3)の全てに該当する場合は、それを構成する個人情報によって識別される特定の個人の数は、5,000の数に数えない。
(1)個人情報データベース等の全部又は一部が、他人の作成によるものであること。
(2)氏名、住所、電話番号のみが掲載された個人情報データベース等(例:電話帳やカーナビゲーション)であること、又は、不特定かつ多数の者に販売することを目的として発行され、かつ、不特定かつ多数の者により随時に購入することができる又はできた個人情報データベース等(例:自治体職員録)であること。
(3)関係事業者が、その個人情報データベース等を事業の用に供するに当たり、新たに個人情報を加えることで特定の個人の数を増やしたり、他の個人情報を付加したりして、個人情報データベース等そのものを編集・加工していないこと。

(5)本人

 「本人」とは、個人情報によって識別される特定の個人をいう。

(6)保有個人データ

 「保有個人データ」とは、個人情報取扱事業者が、本人又はその代理人から求められる開示、内容の訂正、追加又は削除、利用の停止、消去及び第三者への提供の停止の全てに応じることができる権限を有する個人データをいう。
 ただし、その存否が明らかになることで、公益その他の利益が害されるものとして以下1.〜4.に掲げるもののほか、6か月以内に消去(更新することは除く。)することとなるものは、「保有個人データ」には含めない。

1.本人又は第三者の生命、身体又は財産に危害が及ぶおそれがあるもの
(例)
 ・児童虐待や配偶者暴力等に係る被害者等の情報

2.違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがあるもの
(例)
 ・不審者情報や業務妨害行為を行う悪質者情報
 ・暴力団等の反社会的勢力情報

3.国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあるもの

4.犯罪の予防、鎮圧又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障が及ぶおそれがあるもの
(例)
 ・警察などから受けた捜査関係事項照会の対象情報

(7)公表

 第4(2)2.、第5(2)及び(4)の規定にいう「公表」とは、広く一般に内容を発表することをいう。
 ただし、公表は、事業の性質及び個人情報の取扱状況に応じ、合理的かつ適切な方法によってなされる必要がある。

(公表方法の例)
 ・ホームページのトップページから1回程度の操作で到達できる場所に掲載
 ・事業所の窓口等への書面の掲載・備付け
 ・パンフレット等への記載・配布

(8)本人の知り得る状態(本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む)

 第8(1)1.及び(7)の規定にいう「本人の知り得る状態(本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む。)」とは、ウェブ画面への掲載、パンフレットの配布、本人の求めに応じて遅滞なく回答を行うこと等、本人が知ろうとすれば、知ることができる状態をいう。
 この場合に、常に正確な内容を、本人の知り得る状態に置く必要がある。必ずしもウェブ画面への掲載、又は事業所等の窓口等へ掲示すること等が継続的に行われることまでを必要としないが、事業の性質及び個人情報の取扱状況に応じ、内容が本人に認識され得る合理的かつ適切な方法による必要がある。

(9)本人が容易に知り得る状態

 第7(3)〜(4)の規定にいう「本人が容易に知り得る状態」とは、事業所の窓口等への書面の掲示・備付けやホームページへの掲載その他の継続的方法により、本人が知ろうと思えば、時間的にも、その手段においても、簡単に知ることができる状態をいう。
 この際、事業の性質と個人情報の取扱状況に応じ、内容が本人に容易に認識され得る合理的かつ適切な方法による必要があり、1回限りの「公表」だけでは足りない。

(10)本人に通知

 「本人に通知」とは、本人に直接内容を知らしめることをいう。本人に内容が認識されるように事業の性質及び個人情報の取扱状況に応じ、合理的かつ適切な方法による必要がある。

(通知方法の例)
 ・口頭(面談、電話等)
 ・書面(手交、郵送、電子メ−ル、ファクシミリ等)
 ・使者

(11)個人データ又は保有個人データの提供

 第7(1)〜(4)にいう個人データの第三者への「提供」と、第8(4)2.及び3.にいう保有個人データの第三者への「提供」とは、個人データ又は保有個人データを第三者が利用可能な状態に置くことをいう。個人データ又は保有個人データが、物理的に提供されていない場合であっても、備付けやネットワーク等を利用することにより、個人データ又は保有個人データを第三者が利用(閲覧を含む。)できる状態にあれば(その権限が与えられていれば)、「提供」に当たる。

(12)本人の同意

 第4(2)〜(5)及び第7(1)〜(4)の規定にいう「本人の同意」とは、個人情報取扱事業者の示す方法により個人情報が取り扱われることについて、本人による承諾する旨の意思表示をいう(当該本人であることを確認できていることが前提)。
 「本人の同意を得る」とは、本人の承諾の意思表示を、個人情報取扱事業者が認識することをいう。この場合、事業の性質と個人情報の取扱方法に応じ、本人が同意に係る判断を行うために必要と考えられる合理的かつ適切な方法による必要がある。
 個人情報の取扱いに関して同意したことにより生ずる結果について、未成年者、成年被後見人、被保佐人及び被補助人が判断できる能力を有しない場合は、親権者や法定代理人等の同意を得る必要がある。


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第3 このガイドラインの適用対象
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(1)適用対象となる者

 このガイドラインは、文部科学省所管事業分野(その取り扱う個人情報の性質及び利用方法又は事業実態の特殊性等を踏まえ、他の指針等により別途規定される分野を除く。)における個人情報取扱事業者を対象とする。
 なお、個人情報取扱事業者のうち法第50条第1項各号に掲げる者については、その個人情報を取り扱う目的の全部又は一部がそれぞれ当該各号に規定する目的である場合(大学その他の学術研究を目的とする機関若しくは団体又はそれらに属する者が、学術研究の用に供する目的で個人情報を取り扱う場合など)には、個人情報取扱事業者としての義務が課されないものとされている。これらの場合には、このガイドラインの規定のうち個人情報取扱事業者の義務に係るものについて、法的義務としての遵守を求めるものではない。
 また、個人情報取扱事業者に該当しない関係事業者も、法の基本理念(法第3条)を踏まえ、このガイドラインを遵守することが望ましい。

(2)適用対象となる情報

 このガイドラインは、文部科学省所管事業分野における個人情報取扱事業者が取り扱う個人情報を対象とする。
 ただし、当該事業者の職員等従業者の個人情報の取扱いについては、雇用管理分野における個人情報保護に関するガイドラインによるほか、大学病院が、患者に対し医療を提供する事業者として保有する患者等の個人情報の取扱いについては、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」(平成16年12月24日厚生労働省通知)による。
 また、個人情報取扱事業者に該当しない関係事業者における個人情報も、このガイドラインに添って取り扱うことが望ましい。


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第4 個人情報の利用目的に関する義務
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(1)利用目的の特定(法第15条第1項関係)

1.関係事業者は、個人情報を取り扱うに当たり、その利用目的をできる限り具体的に特定しなければならない。
 利用目的の特定に当たっては、関係事業者において個人情報が最終的にどのような事業の用に供され、どのような目的で利用されるかが本人にとって一般的かつ合理的に想定できる程度に具体的であることが望ましい。例えば、単に「事業活動のため」、「お客様サ−ビスの向上のため」といった抽象的な内容では、「できる限り具体的に特定」したことにならない。

(「利用目的の具体的な特定」に当たる例)
 ・学生による授業評価アンケート等の実施に当たり、そのアンケート用紙に「このアンケートは、来年度における○○の授業の教育方法を検討する際の参考とするために行います。」のように趣旨目的を記載する。
 ・卒業生の氏名及び就職先の情報を収集する際、「卒業生の就職状況を統計としてまとめ、パンフレット等に掲載します。」のようにその利用目的を示す。また、「これらの情報は○○(同窓会の組織名)に提供します。」のように当該情報の提供先を明らかにする。
 ・法人が新規事業の立ち上げに当たり、国民の意識調査を行う際、その調査票に「この調査の結果は、当法人において、平成○○年度の○○教育を中心とした生涯学習活動支援事業を企画・立案する上での参考データとして活用します。」のように趣旨目的を記載する。

(「利用目的の具体的な特定」に当たらない例)
 ・学生による授業評価アンケ−ト等の実施に当たり、「このアンケ−トは、本学の教育の改革に役立てるために実施します。」のように、使途を抽象的に示す。
 ・卒業生の氏名及び就職先の情報を、学校外の第三者(同窓会等)に渡す予定であるが、「卒業生の就職状況を統計としてまとめ、パンフレット等に掲載するため」などとし、情報の提供先を明示しない。
 ・法人が、新規事業の立ち上げに当たり、国民の意識調査を行う際、その調査票に「この調査の結果は、当法人において生涯学習活動支援事業を企画・立案するために活用します。」のように趣旨目的を抽象的に示す。

2.関係事業者は、法、施行令、基本方針及びこのガイドライン等を踏まえ、個人情報の保護に関する自らの考え方や方針(いわゆる、プライバシーポリシー、プライバシーステートメント等)を定めている場合には、その中に、顧客、生徒、調査対象者など個人情報を取り扱われる者(以下「顧客等」という。)の権利利益保護の観点から、事業活動の特性、規模及び実態を考慮しつつ、「事業者がその事業内容を勘案して顧客等の種類ごとに利用目的を限定して示したり、事業者が顧客等本人の選択による利用目的の限定に自主的に取り組んだりするなど、個人情報を利用される側に対し利用目的をより明確に示すようにする」といった点を考慮した記述をできるだけ盛り込むことが望ましい。

(2)利用目的の変更(法第15条第2項・法第18条第3項関係)

1.関係事業者は、(1)により特定した利用目的を変更する場合は、変更後の利用目的が、変更前の利用目的からみて、社会通念上、本人が想定できる範囲を超えてはならない。

(許容され得る例)
 ・「商品カタログを郵送」→「商品カタログをメ−ル送付」

(許容されない例)
 ・「アンケ−ト集計に利用」→「商品カタログ郵送に利用」

2.変更された利用目的は、本人に通知し、又は公表しなければならない。

3.本人が想定できる範囲を超えて利用目的の変更を行う場合には、(3)の規定により、本人の同意を得なければならない。

(「本人が想定できる範囲を超えた利用目的の変更」に当たる例)
 ・「入学手続きのため」という利用目的で取得した個人情報(氏名)を用いて、さらに、氏名からクラス名簿を作成し、クラスに配布する。
 ・「○○の資格試験に関する講座の受講者を登録するため」という利用目的で取得した個人情報(氏名、住所)を用いて、当該個人に対し、他の講座等に関する情報を送付する。

(3)利用目的による制限(法第16条第1項関係)

 関係事業者は、あらかじめ本人の同意を得ることなく、(1)により特定した利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。
 本人の同意を得るに当たっては、本人に当該個人情報の利用目的を通知し、又は公表した上で、本人が口頭、書面等により当該個人情報の取扱いについて承諾する意思表示を行うようにすることが望ましい。
 この場合に、本人の同意を得るために必要な範囲で行う個人情報の利用は、当初特定した利用目的に含まれていたか否かにかかわらず、行うことができる。

(4)利用目的による制限(事業承継の場合)(法第16条第2項関係)

 関係事業者は、合併、分社化、営業譲渡等により他の個人情報取扱事業者から事業を承継することに伴って個人情報を取得した場合は、あらかじめ本人の同意を得ることなく、承継前における当該個人情報の利用目的の達成に必要な範囲を超えて、当該個人情報を取り扱ってはならない。
 ただし、あらかじめ本人の同意を得るために個人情報を利用することは、承継前の利用目的にない場合にも、目的外利用には当たらない。

(5)利用目的による制限の例外(法第16条第3項関係)

 次に掲げる場合には、(3)又は(4)の規定により本人の同意を得ることが求められる場合でも、本人の同意は不要である。

1.法令に基づいて、利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱う場合(注)

(例)
 ・令状に基づく警察や検察などの捜査への対応(刑事訴訟法第218条等)、捜査に必要な取調べや捜査関係事項照会への対応(同法第197条等)
 ・徴税吏員・税務職員の質問検査への対応(地方税法第72条の7、国税通則法第74条の2〜第74条の6)
 ・裁判執行関係事項照会等への対応(刑事訴訟法第279条、第507条)、裁判所からの文書送付の嘱託や調査の嘱託への対応(民事訴訟法第186条、第226条、家事事件手続法第62条)
 ・弁護士会照会への対応(弁護士法第23条の2第2項)
 ・国勢調査などの基幹統計調査に対する報告や調査実施者からの協力要請への対応(統計法第13条、第30条)
 ・所轄庁の求めに応じて行う生徒等の個人情報を含む資料の提出(私立学校法第6条)
 ・転学する生徒等の指導要録の写しの転学先の校長への送付(学校教育法施行規則第24条第3項)

(注)
 ・当該法令に、情報提供を求める側(目的外利用の便益を得る相手方)について、その情報を求めることができる旨の根拠があるものの、その求めを受ける側に、それに応じる義務(目的外利用をする義務)が課されていない場合は、関係事業者は、その法令の趣旨に照らして、目的外利用の必要性と合理性が認められる範囲内で対応するものとする。

2.人(法人を含む。)の生命、身体又は財産の保護のために利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱う必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき

(例)
 ・急病人の血液型や家族の連絡先を医療機関等(医師や看護師)に伝える場合
 ・大規模災害や事故等の緊急時に、負傷者情報を家族に提供する場合
 ・暴力団等の反社会的勢力情報、業務妨害行為を行う悪質者情報を企業間で共有する場合

3.公衆衛生の向上又は子供・若者の健やかな育成等の推進のために特に利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱う必要がある場合に、本人の同意を得ることが困難であるとき

(例)
 ・感染症の予防のための調査に応じるとき
 ・児童虐待のおそれのある家庭情報を、児童相談所、警察、学校、病院等が共有する必要があるとき
 ・非行のおそれのある生徒等の情報を、生徒等本人及びその家族等の権利利益を不当に侵害しないことを前提に、非行防止に関係する機関との間で情報交換等を行うことが特に必要な場合

4.国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して関係事業者が協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるときに、利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱う場合(注)

(例)
 ・任意の求めに応じて、警察や税務署に対して個人情報を提出する場合
 ・一般統計調査に回答する場合

(注)
 ・国等からの任意の求めに協力する必要がある場合は、その求めの趣旨に照らしながら、目的外利用の必要性と合理性が認められる範囲内で対応するものとする。


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第5 個人情報の取得に関する義務
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(1)適正な取得(法第17条関係)

1.関係事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない。

(不正の手段による取得の例)
 ・本人をだましてその個人情報を取得すること
 ・第三者提供の制限(第7の規定参照)に違反して提供している業者から事情を知って個人情報を取得すること

2.第三者からの提供(法第23条第1項各号に掲げる場合並びに個人情報の取扱いの委託、事業の承継及び共同利用に伴い、個人情報を提供する場合を除く。)により、個人情報(施行令第2条第2号に規定するものから取得した個人情報を除く。)を取得する場合には、提供元の法の遵守状況(例えば、オプトアウト、利用目的、開示手続、問合せ・苦情の受付窓口を公表していることなど)を確認し、個人情報を適切に管理している者を提供元として選定するとともに、実際に個人情報を取得する際には、例えば、取得の経緯を示す契約書等の書面の点検又はこれに代わる合理的な方法により、当該個人情報の取得方法等を確認した上で、当該個人情報が適法に取得されたことが確認できない場合は、偽りその他不正の手段により取得されたものである可能性もあることから、その取得を自粛することを含め、慎重に対応するよう努めなければならない。


(2)取得時の利用目的の通知又は公表(法第18条第1項関係)

 関係事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。

(利用目的の通知又は公表が必要となる場合の例)
 ・電話帳や職員録等から個人情報を取得した場合
 ・個人情報の第三者提供を受けて、個人情報を取得した場合
 ・個人情報の取扱いの委託を受けて、個人情報を取得した場合

(3)書面等による直接取得時の利用目的の明示(法第18条第2項関係)

 関係事業者は、契約書、懸賞応募はがき、アンケートやユーザー入力画面への打ち込みなど書面等により、直接本人から個人情報を取得する場合は、あらかじめ、本人に対し、その利用目的を明示しなければならない。
 ただし、人(法人を含む。)の生命、身体又は財産の保護のために緊急に必要がある場合は、あらかじめ、その利用目的を本人に明示する必要はないが、その場合には、上記(2)に基づいて、取得後速やかにその利用目的を本人に通知し、又は公表しなければならない。
 なお、「本人に対し、その利用目的を明示」とは、本人に、その利用目的を明確に示すことをいう。これは事業の性質及び個人情報の取扱状況に応じ、内容が本人に認識され得る合理的かつ適切な方法による必要がある。

(利用目的の明示の方法の例)
 ・往復はがきの往はがきに、社会通念上、本人が認識できる場所及び文字の大きさで利用目的を記載する。
 ・面談中に、本人に、定款等のうち利用目的の記載部分を指摘する。
 ・ユーザー入力画面において、送信ボタンをクリックする前に利用目的を本人の目にとまる形で配置・記載する。

(4)利用目的の通知等をしなくてよい場合(法第18条第4項関係)

 次に掲げる場合については、(2)、(3)及び第4(2)2.の規定は適用しない。

1.利用目的を本人に通知し、又は公表することにより本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
(例)
 ・暴力団等の反社会的勢力情報、業務妨害行為を行う悪質者情報の提供者が逆恨みを買うおそれのある場合

2.利用目的を本人に通知し、又は公表することにより関係事業者の権利又は正当な利益を害するおそれがある場合
(例)
 ・新規開発部門が収集した情報の種類が明らかになることにより、企業の健全な競争を害する場合
 ・暴力団等の反社会的勢力情報、業務妨害行為を行う悪質者情報を取得したことが明らかになることにより、情報提供を受けた企業に害が及ぶ場合

3.国の機関又は地方公共団体が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、利用目的を本人に通知し、又は公表することにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
(例)
 ・犯罪捜査への協力のため、被疑者等に関する情報を取得した場合

4.取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合
(例)
 ・今後連絡を取り合うために名刺交換をした場合
 ・着信において相手方の電話番号が非通知でない場合で、同じ用件で当方から相手方に電話を掛け直す場合


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第6 個人データの管理に関する義務
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(1)データ内容の正確性の確保(法第19条関係)

 関係事業者は、利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データを正確かつ最新の内容に保つよう努めなければならない。

(2)安全管理措置(法第20条関係)

1.関係事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。
 その際、関係事業者は、個人データが漏えい、滅失又毀損等をした場合に、本人が被る権利利益の侵害の大きさを考慮し、事業の規模及び性質、個人データの取扱状況並びに個人データを記録した媒体の性質等に起因するリスクに応じ、必要かつ適切な措置を講じるものとする。
 なお、不特定多数者が書店で随時に購入可能な名簿で、事業者において全く加工をしていないものについては、個人の権利利益を侵害するおそれは低いと考えられるので、それを処分するために文書細断機等による処理を行わずに廃棄し、又は廃品回収に出したとしても、事業者の安全管理措置の義務違反にはならない。

2.関係事業者は、個人データの安全管理のために、次に掲げる措置を講ずるよう努めるとともに、当該措置の内容を公表するよう努めなければならない。
(ア)責任の所在の明確化のための措置

(例)
 ・個人データを取り扱う従業者の明確化
 ・個人データの安全管理の実施及び運用に関する責任及び権限を有する個人情報保護管理者の設置(例えば、役員などの組織横断的に監督することのできる者を任命する)
 ・事業者内の個人データの取扱いの点検・改善等の監督を行う部署の設置
 ・事業者内の個人データの取扱いの点検・改善等の監督を行う合議制の委員会の設置

(イ)新たなリスクに対応するための、安全管理措置の評価、見直し及び改善に向けた監査実施体制の整備

(例)
 ・個人情報保護対策及び最新の技術動向を踏まえた情報セキュリティ対策に十分な知見を有する者による事業者内の対応の確認(必要に応じ、外部の知見を有する者を活用し確認させることを含む。)

(ウ)漏えい等に早期に対処するための体制整備

(例)
 ・漏えい等が発生した場合又は発生のおそれがある場合の連絡体制の整備

(エ)不正な操作を防ぐための、個人データを取り扱う端末に付与する機能の、業務上の必要性に基づく限定

(例)
 ・スマートフォン、パソコン等の記録機能を有する機器の接続の制限及び機器の更新への対応

(オ)入館(室)者による不正行為の防止のための、業務実施場所及び情報システム等の設置場所の入退館(室)管理の実施
(例)
 ・入退館(室)の記録の保存
(カ)盗難等の防止のための措置
(例)
 ・カメラによる撮影や作業への立会い等による記録又はモニタリングの実施
 ・記録機能を持つ媒体の持込み・持出し禁止又は検査の実施
(キ)情報システムからの漏えい等を防止するための技術的安全管理措置
(例)
 ・個人データへのアクセスにおける識別と認証
 ・個人データへのアクセス制御
 ・個人データへのアクセス権限の管理
 ・個人データへのアクセスや操作の記録及び不正が疑われる異常な記録の存否の定期的な確認
 ・情報システムへの外部からのアクセス状況の監視及び当該監視システムの動作の定期的な確認
 ・ソフトウェアに関する脆弱性対策(セキュリティパッチの適用、当該情報システム固有の脆弱性の発見及びその修正等)

(3)従業者の監督(法第21条関係)

1.関係事業者は、その従業者に個人データを取り扱わせるに当たっては、当該個人データの安全管理が図られるよう、当該従業者に必要かつ適切な監督を行わなければならない。
 その際、個人データが漏えい、減失又は毀損等をした場合に本人が被る権利利益の侵害の大きさを考慮し、事業の性質及び個人データの取扱状況等に起因するリスクに応じ、個人データを取り扱う従業者に対する教育研修等の内容・頻度を充実させるなど、必要かつ適切な措置を講じる必要がある。

2.関係事業者は、従業者の監督として個人データの安全管理のために次に掲げる措置を講ずるよう努めるとともに、当該措置の内容を公表するよう努めなければならない。
(ア)個人データを取り扱う従業者が、業務上知り得た個人データの内容をみだりに第三者に知らせたり、不当な目的に使用したりすることがないようにすること。当該従業者がその業務に係る職を退いた後も同様とすること。
(イ)個人データを取り扱う従業者に対し、その責務の重要性を認識させ、具体的な個人データの保護措置に習熟させるため、必要な教育及び研修を行うこと。

(4)委託先の監督(法第22条関係)

1.関係事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を外部に委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者(以下「委託先」という。)に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。
 その際、個人データが漏えい、滅失又は毀損等をした場合に本人が被る権利利益の侵害の大きさを考慮し、委託する事業の規模及び性質並びに個人データの取扱状況等に起因するリスクに応じ、必要かつ適切な措置を講じるものとする。

2.関係事業者は、委託先の選定に当たっては、委託先の安全管理措置が、少なくとも法第20条で求められるものと同等であることを確認するため、委託先の体制、規程等の確認に加え、必要に応じて個人データを取り扱う場所に赴く又はこれに代わる合理的な方法による確認を行った上で、個人情報保護管理者等が、適切に評価するよう努めなければならない。
 また、委託契約においては、委託先が委託を受けた個人データの安全管理のために講ずべき措置の内容を明確化するものとし、具体的には、以下の(ア)〜(カ)の内容に留意して、必要な規定を盛り込むことが望ましい。
(ア)委託先の個人データの取扱いに関する事項

(例)
 ・委託先において個人データを取り扱う者(委託先で作業する委託先の作業者以外の者を含む)を明確にすること
 ・委託先において講ずべき安全管理措置の内容
 ・個人データの加工(委託契約の範囲内のものを除く。)、改ざん等の禁止又は制限
 ・個人データの複写又は複製(安全管理上必要なバックアップを目的とするもの等委託契約範囲内のものを除く。)の禁止

(イ)委託先の秘密の保持に関する事項

(ウ)委託された個人データの再委託に関する事項

(例)
 ・再委託の可否及び再委託を行うに当たっての委託元への文書による事前報告又は承認

(エ)契約終了時の個人データの返却又は委託先における破棄若しくは削除に関する事項

(オ)契約内容が遵守されなかった場合の措置

(例)
 ・安全管理に関する事項が遵守されずに個人データが漏えいした場合の損害賠償に関する事項
 ・委託先において個人データの漏えい等の事故が発生した場合における委託元への報告義務を課すこと。

(カ)委託契約期間等に関する事項

3.委託先における委託された個人データの取扱状況を把握するためには、定期的に監査を行う等により、委託契約で盛り込んだ内容の実施の程度を調査した上で、委託の内容等の見直しを検討することを含め、適切に評価するよう努めなければならない。
 委託先が再委託を行おうとする場合は、委託元は委託を行う場合と同様、再委託の相手方、再委託する業務内容及び再委託先の個人データの取扱方法等について、委託先に事前報告又は承認手続を求める、直接又は委託先を通じて定期的に監査を実施する等により、委託先が再委託先に対して本条の委託先の監督を適切に果たすこと、再委託先が(2)安全管理措置(法第20条関係)に基づく安全管理措置を講ずることを十分に確認するよう努めなければならない。再委託先が再々委託を行う場合以降も、再委託を行う場合と同様とする。
4.関係事業者は、法、施行令、基本方針及びこのガイドライン等を踏まえ、その事業活動の特性、規模及び実態を考慮し、個人情報の保護に関する自らの考え方や方針(いわゆる、プライバシーポリシー、プライバシーステートメント等)を定めている場合は、その中に、顧客等の権利利益保護の観点から、事業活動の特性、規模及び実態を考慮して、「委託の有無、委託する事務の内容を明らかにする等、委託処理の透明化を進める」といった点を考慮した記述をできるだけ盛り込むことが望ましい。


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第7 個人データの第三者提供に関する義務
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(1)第三者提供の制限に関する原則(法第23条第1項関係)

1.関係事業者は、あらかじめ本人の同意を得ずに、個人データを第三者に提供してはならない。
 本人の同意を得るに当たっては、当該本人に当該個人情報の利用目的を通知し、又は公表した上で、当該本人から口頭、書面等により当該個人情報の取扱いについて承諾する旨の意思表示を受けることが望ましい。
 なお、個人情報を集めて編さんした資料(例:名簿や連絡網など)を第三者へ配布するときにおける安全管理への配慮としては、印刷は必要部数に限り、利用目的又は保有期間の終了とともに返却、あるいは各自で確実に破棄するなどの対応が考えられる。

(第三者への個人データの提供に当たる例)
 ・保護者等に緊急連絡網等の連絡名簿を配付する。
 ・卒業生に卒業生名簿や卒業アルバム等を配付する。
 ・同窓会に生徒等の進学先や就職先の情報を提供する。
 ・奨学団体に当該団体が支援する奨学生の成績を提供する。
 ・団体の会員等の名簿、住所録等を会員へ配付する。
 ・学術研究に協力するために、個人情報が含まれる資料を研究者に提供する。

(名簿や連絡網などを提供する場合に、本人の同意を得る方法の例)
 ・職員、会員、生徒、保護者等への案内等で、取得した個人情報を緊急連絡網として相互に共有し、又は外部の機関に提供することを本人(生徒等の個人情報にあってはその保護者)に明示し、同意を得た上で、所定の用紙に必要な個人情報を記入・提出させる。
 ・職員、会員、生徒、保護者等を集めた会合での配付資料や連絡プリント等で、これらの者の個人情報を緊急連絡網として相互に共有し、又は外部の機関に提供することを本人(生徒等の個人情報にあってはその保護者)に明示し、同意する旨の書面を提出させる。

2.関係事業者は、個人データを第三者に提供する(法第23条第1項第1号から第4号までに該当する場合を除く。)場合は、提供先に対し、次に掲げる事項に留意した措置をとらせることが望ましい。
(ア)提供先において、当該個人データの取扱いを通じて知り得た個人情報をその従業者に漏らし、又は盗用してはならないこと。
(イ)当該個人データの再提供を行うに当たっては、あらかじめ文書をもって関係事業者の了承を得ること(当該再提供が、法第23条第1項第1号から第4号までに該当する場合を除く。)。
(ウ)提供先における保管期間等を明確化すること。
(エ)利用目的達成後の個人データの返却又は提供先での破棄・削除が適切になされること。
(オ)提供先において、当該個人データの複写及び複製をしてはならないこと(安全管理上必要なバックアップを目的とするものを除く。)。

(2)第三者提供の制限に関する例外(法第23条第1項関係)

 以下の1.〜4.のいずれかに該当する場合は、(1)の規定にかかわらず、個人データを第三者に提供することができる。

1.法令に基づく場合(注)

(例)
 ・令状に基づく警察や検察等の捜査への対応(刑事訴訟法第218条等)、捜査に必要な取調べや捜査関係事項照会への対応(同法第197条等)
 ・徴税吏員・税務職員の質問検査への対応(地方税法第72条の7、国税通則法第74条の2〜第74条の6)
 ・裁判執行関係事項照会等への対応(刑事訴訟法第279条、第507条)、裁判所からの文書送付の嘱託や調査の嘱託への対応(民事訴訟法第186条、第226条、家事事件手続法第62条)
 ・弁護士会照会への対応(弁護士法第23条の2第2項)
 ・国勢調査などの基幹統計調査に対する報告や調査実施者からの協力要請への対応(統計法第13条、第30条)
 ・所轄庁の求めに応じて行う生徒等の個人情報を含む資料の提出(私立学校法第6条)
 ・転学する生徒等の指導要録の写しの転学先の校長への送付(学校教育法施行規則第24条第3項)

(注)
 ・当該法令に、情報提供を求める側(第三者提供の便益を得る相手方)について、その情報を求めることができる旨の根拠があるものの、その求めを受ける側に、それに応じる義務(第三者提供をする義務)が課されていない場合は、関係事業者は、その法令の趣旨に照らして、第三者提供の必要性と合理性が認められる範囲内で対応するものとする。

2.人(法人を含む。)の生命、身体又は財産の保護のために個人データを第三者に提供する必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき
(例)
 ・急病人の血液型や家族の連絡先を医療機関(医師や看護師)に伝える場合
 ・大規模災害や事故等の緊急時に、負傷者情報を家族に提供する場合
 ・暴力団等の反社会的勢力情報、業務妨害行為を行う悪質者情報を企業間で共有する場合

3.公衆衛生の向上又は子供・若者の健やかな育成等の推進のために、特に個人データを第三者に提供する必要がある場合に、本人の同意を得ることが困難であるとき
(例)
 ・感染症の予防のための調査に応じるとき
 ・児童虐待のおそれのある家庭情報を、児童相談所、警察、学校、病院等が共有する必要があるとき
 ・非行のおそれのある生徒等の情報を、生徒等本人及びその家族等の権利利益を不当に侵害しないことを前提に、非行防止に関係する機関との間で情報交換等を行うことが特に必要な場合

4.国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して関係事業者が協力する場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるときに、個人データを第三者に提供する場合(注)
(例)
 ・任意の求めに応じて、警察や税務署に対して個人情報を提出する場合
 ・一般統計調査に回答する場合

(注)
 ・国等からの任意の求めに協力する必要がある場合には、当該求めの趣旨に照らしつつ、第三者提供の必要性と合理性が認められる範囲内で対応するものとする。

(3)いわゆる「オプトアウト」(法第23条第2項・第3項関係)

 関係事業者は、第三者に提供される個人データについて、本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止することとしている場合に、以下の1.〜4.に掲げる事項について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態にしているときは、(1)及び(2)の規定にかかわらず、その個人データを第三者に提供することができる。
 この場合、以下の2.又は3.の規定に掲げる事項を変更するときは、変更する内容を、あらかじめ本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態にしなければならない。

1.第三者への提供を利用目的とすること

2.第三者に提供される個人データの項目
(例)
 ・氏名、住所、電話番号
 ・氏名、商品購入履歴

3.第三者への提供の手段又は方法
(例)
 ・書籍として出版
 ・インタ−ネットに掲載

4.本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止すること
(いわゆる「オプトアウト」の例)
 ・住宅地図業者(表札を調べて住宅地図を作成・販売等)やデータベース事業者(名簿の作成・販売等)が、あらかじめ1.〜4.の規定に掲げる事項を自社のホームページに常時掲載(第2 (9)の規定参照)し、本人からの停止の求めを受け付けられる状態にしてから、販売等する。

(4)「第三者」に該当しないもの(法第23条第4項・第5項関係)

 次に掲げる場合には、個人データの提供を受ける者は「第三者」に該当しないものとし、関係事業者は、(1)〜(3)の規定にかかわらず、個人データを提供することができることとする。
 この場合に、以下の3.(イ)及び(ウ)に掲げる事項を変更しようとするときは、あらかじめ本人の同意を得なければならない。
 また、以下の3.(エ)及び(オ)に掲げる事項を変更する場合は、変更しようとするときに、あらかじめ本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態にしなければならない。

1.個人情報取扱事業者が利用目的の達成に必要な範囲内で、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合

2.合併、分社化、営業譲渡等による事業の承継に伴って、個人データが提供される場合

3.個人データを特定の者との間で共同して利用する場合に、次の(ア)〜(オ)の事項について、当該共同利用をする前に、あらかじめ本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態にしているとき
(ア)共同利用をする旨
(イ)共同して利用される個人データの項目
(ウ)共同して利用する者の範囲
(エ)共同して利用する者の利用目的
(オ)開示等の求め及び苦情を受け付け、その処理に尽力するとともに、個人データの内容等について開示、訂正、利用停止等の権限を有し、個人データの安全管理等について共同利用者の中での第一次的な責任を有する事業者の名称


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第8 保有個人データの開示等に関する義務
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(1)保有個人データに関する事項の公表等(法第24条関係)

1.関係事業者は、保有個人データに関し、以下の(ア)〜(オ)の事項について、本人の知り得る状態(本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む。)にしなければならない。

(ア)当該関係事業者の名称
(イ)全ての保有個人データの利用目的(第5(4)1.〜3.の規定に該当する場合を除く。)
(ウ)保有個人データに関する本人からの次に掲げる求めに応じる手続((7)の規定により手数料を定めたときは、その手数料の額を含む。)
 (1)利用目的の通知の求め(2.の規定参照)
 (2)開示の求め((2)1.の規定参照)
 (3)内容の訂正、追加又は削除の求め((3)1.の規定参照)
 (4)利用の停止又は消去の求め((4)1.の規定参照)
 (5)第三者提供の停止の求め((4)2.の規定参照)
(エ)当該関係事業者が行う保有個人データの取扱いに関する苦情受付の担当窓口名・係名、郵送用住所、受付電話番号その他の苦情申出先
(オ)当該関係事業者が認定個人情報保護団体(法第37条第1項の認定を受けた者をいう。以下同じ。)による業務の対象事業者である場合には、当該認定個人情報保護団体の名称及び苦情処理の申出先

2.関係事業者は、本人から当該本人が識別される保有個人データの利用目的の通知を求められたときは、本人に、遅滞なく、当該利用目的を通知しなければならない。利用目的を通知しない旨を決定したときも、本人に、遅滞なく、当該決定をした旨を通知しなければならない。
 ただし、以下の(ア)又は(イ)のいずれかに該当する場合を除く。

(ア)1.の規定により、本人が識別される保有個人データの利用目的が明らかな場合
(イ)第5(4)1.〜3.の規定に該当する場合

(2)保有個人データの開示(法第25条関係)

1.関係事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの開示(当該本人が識別される保有個人データが存在しないときにその旨を知らせることを含む。以下同じ。)を求められたときは、本人に、書面の交付による方法(開示の求めを行った者が同意した方法があるときは当該方法)により、遅滞なく、当該保有個人データを開示しなければならない。未成年者等の個人情報に関し、当該未成年者等の保護者などの法定代理人から開示の求めがあった場合についても、同様とする。
 ただし、以下の(ア)〜(ウ)のいずれかに該当する場合は、その全部又は一部を開示しないことができる。この場合、開示しないことを決定したときは、請求者に、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。

(ア)保有個人データを開示することにより、本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
(例)
 ・保護者からの児童虐待を理由に子供が親元から離れて転校しており、加害者である保護者が子供の居所を知らない場合(保護者からの開示請求関係)
 ・配偶者からの暴力により、被害者や被害者と同居する未成年の子供に対し接近禁止命令が発令された場合で、配偶者からの暴力を理由に被害者が転出したことに伴い被害者と同居する子供が転校し、加害者が子供の居所を知らない場合(保護者からの開示請求関係)

(イ)保有個人データを開示することにより、当該関係事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
(例)
 ・企業秘密が明らかになるおそれがある場合

(ウ)保有個人データを開示することが他の法令に違反することとなる場合
(例)
 ・刑法第134条(秘密漏示罪)や電気通信事業法第4条(通信の秘密の保護)に違反することとなる場合

2.関係事業者は、保有個人データの開示に関し、以下の(ア)〜(ウ)に掲げる事項に留意するよう努めなければならない。
(ア)非開示の決定をすることが想定される保有個人データの範囲を定め、顧客等に周知させるための措置を講ずること。
(イ)未成年者の個人情報を取り扱う機関にあっては、法定代理人から未成年者に関する保有個人データの開示を求められた場合には、その開示又は非開示の決定に当たり、当該未成年者に対する児童虐待や、当該未成年者が同居する保護者に対する配偶者からの暴力のおそれの有無を勘案すること。
(ウ)学校等にあっては、本人から成績の評価その他これに類する事項に関する保有個人データの開示を求められた場合には、その開示又は非開示の決定に当たり、当該学校等の教育活動に与える影響を勘案すること。

3.他の法令の規定により、本人が識別される保有個人データの全部又は一部を、当該本人に、1.の規定の本文に定める方法に相当する方法で開示することとなる場合は、1.の規定は、適用しない。

4.関係事業者は、法、施行令、基本方針及びこのガイドライン等を踏まえ、その事業活動の特性、規模及び実態を考慮し、個人情報の保護に関する自らの考え方や方針(いわゆる、プライバシーポリシー、プライバシーステートメント等)を定めている場合は、その中に、顧客等の権利利益保護の観点から、事業活動の特性、規模及び実態を考慮して、「個人情報の取得元又はその取得方法(取得源の種類等)を、可能な限り具体的に明記する」といった点を考慮した記述をできるだけ盛り込み、本人からの求めに一層対応していくことが望ましい。

(3)保有個人データの訂正等(法第26条関係)

1.関係事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの内容が事実でないという理由によって、その保有個人データの内容の訂正、追加又は削除(以下「訂正等」という。)を求められた場合は、他の法令の規定により特別の手続が定められている場合を除き、利用目的の達成に必要な範囲内において、遅滞なく必要な調査を行い、その結果に基づき、当該保有個人データの内容の訂正等を行わなければならない。

2.関係事業者は、1.の規定に基づき求められた保有個人データの内容の全部又は一部について訂正等を行ったときは、本人に、遅滞なく、その旨(訂正等の内容を含む。)を通知しなければならない。また、利用目的から見て訂正等が必要でない場合や、本人からの誤りである旨の指摘が正しくない場合には、訂正等に応じる必要はないが、そういった場合を含め、訂正等を行わない旨の決定をしたときも同様とする。

(4)保有個人データの利用停止等(法第27条関係)

1.関係事業者は、本人から、その本人が識別される保有個人データが第4(3)〜(5)の規定に違反して取り扱われている(同意のない目的外利用)という理由又は第5(1)の規定に違反して取得されたものである(不正の手段による個人情報の取得)という理由によって、当該保有個人データの利用の停止又は消去(以下「利用停止等」という。)を求められた場合に、その求めに理由があることが判明したときは、違反を是正するために必要な限度で、遅滞なく、当該保有個人データの利用停止等を行わなければならない。
 ただし、保有個人データの利用停止等に多額の費用を要する場合その他の利用停止等を行うことが困難な場合に、本人の権利利益を保護するのに必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りでない。

2.関係事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データが第7(1)及び(2)の規定に違反して第三者に提供されている(同意のない第三者への提供等)という理由によって、当該保有個人データの第三者への提供の停止を求められた場合に、その求めに理由があることが判明したときは、遅滞なく、当該保有個人データの第三者への提供の停止をしなければならない。
 ただし、当該保有個人データの第三者への提供の停止に多額の費用を要する場合その他の第三者への提供を停止することが困難な場合に、本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りでない。

3.関係事業者は、保有個人データの全部又は一部について、1.及び2.に規定する本人からの求めに応じたとき、又はその求めに応じない旨の決定をしたときは、本人に、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。

4.関係事業者は、法、施行令、基本方針及びこのガイドライン等を踏まえ、その事業活動の特性、規模及び実態を考慮し、個人情報の保護に関する自らの考え方や方針(いわゆる、プライバシーポリシー、プライバシーステートメント等)を定めている場合は、その中に、顧客等の権利利益保護の観点から、事業活動の特性、規模及び実態を考慮して、「保有個人データについて本人から求めがあった場合には、ダイレクトメールの発送停止など、自主的に利用停止等に応じる」といった点を考慮した記述をできるだけ盛り込み、本人からの求めに一層対応していくことが望ましい。

(5)理由の説明(法第28条関係)

 関係事業者は、保有個人データの利用目的の通知の求め((1)2.の規定参照)、開示の求め((2)1.の規定参照)、訂正等の求め((3)1.及び2.の規定参照)、利用停止等の求め((4)1.の規定参照)及び第三者提供の停止の求め((4)2.の規定参照)(以下「開示等の求め」という。)に対し、求められた措置の全部又は一部について、その措置をとらない旨又はその措置と異なる措置をとる旨を本人に通知する場合は、併せて、その理由を本人に説明するよう努めなければならない。

(6)開示等の求めに応じる手続(法第29条関係)

1.関係事業者は、保有個人データの開示等の求めに関し、その求めを受け付ける方法として、以下の(ア)〜(エ)の事項を定めることができる。これらの事項を定めた場合は、本人の知り得る状態(本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む。)に置かなければならない。この場合、本人は、当該方法に従って、開示等の求めを行わなければならない。

(ア)開示等の求めの申出先
(例)
 ・担当窓口名・係名、郵送用住所、受付電話番号、受付FAX番号

(イ)開示等の求めに際して提出すべき書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。)の様式その他の開示等の求めの方式

(ウ)開示等の求めをする者が本人又は代理人(未成年者又は成年被後見人の場合はその法定代理人、開示等の求めをすることにつき本人が委任した者がいる場合はその受任者)であることの確認の方法

(エ)保有個人データの利用目的の通知又は保有個人データの開示について手数料を徴収する場合は、その徴収方法

2.関係事業者は、本人に対し、開示等の求めに対応するため、その対象となる保有個人データの特定に必要な事項の提示を求めることができる。その際、本人が容易かつ的確に開示等の求めができるよう、当該保有個人データの特定に資する情報の提供その他の本人の利便性を考慮した措置を講じなければならない。

3.関係事業者は、1.及び2.の規定に基づき、開示等の求めに応じる手続を定めるに当たっては、事業の性質、保有個人データの取扱状況、開示等の求めの受付方法等に応じて適切なものになるよう配慮するものとし、特に、関係事業者が保有している個人データに比して必要以上に多くの情報を本人確認のために求めることがないようにするなど、本人に過重な負担を課するものとならないよう配慮しなければならない。

(7)手数料(法第30条関係)

 関係事業者は、保有個人データに関する利用目的の通知の求め((1)2.の規定参照)又は開示の求め((2)1.の規定参照)に応じる場合は、手数料を徴収することができる。
 その手数料の額を定める際には、実費を勘案して合理的と認められる範囲内でなければならない。また、手数料の額を定めた場合は、本人の知り得る状態(本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む。)にしなければならない


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第9 苦情処理に関する義務(法第31条関係)
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 関係事業者は、個人情報の取扱いに関する苦情の適切かつ迅速な処理に努めなければならない。
 また、苦情の適切かつ迅速な処理を行うに当たり、苦情処理窓口の設置や苦情処理の手順を定める等必要な体制の整備に努めなければならない。もっとも、無理な要求にまで応じなければならないものではない。
 担当窓口名・係名、郵送用住所、受付電話番号その他の苦情申出先については、本人の知り得る状態(本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む。)に置かなければならない(第8(1)1.(エ)の規定参照)。


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第10 法違反又は法違反のおそれが発覚した場合の対応
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 関係事業者は、その取り扱う個人情報(委託を受けた者が取り扱うものを含む。)について、法違反又は法違反のおそれが発覚した場合には、次の対処を実施よう努めなければならない。

(1)事実調査、原因の究明

 事実関係を調査し、法違反又は法違反のおそれが把握できた場合には、その原因究明にあたる。

(2)影響範囲の特定

 (1)で把握した事実関係による影響がどれほど及ぶのか、その範囲を特定する。

(3)再発防止策の検討・実施

 (1)で究明した原因を踏まえ、再発防止策を検討し、速やかに実施する。

(4)影響を受ける可能性のある本人への連絡等

 法違反の中でも、特に個人データの安全管理(法第20条〜第22条)の違反があった場合は、二次被害の防止、類似事案の発生回避等の観点から、事実関係等について、速やかに、本人へ連絡し、又は本人が容易に知り得る状態に置く。

(5)事実関係、再発防止策等の公表

 (4)の個人データの安全管理の違反があった場合は、二次被害の防止、類似事案の発生回避等の観点から、事実関係及び再発防止策等を、速やかに公表する。

(6)主務大臣・認定個人情報保護団体への報告

 事実関係及び再発防止策等について、速やかに、文部科学大臣又は法第51条の規定により関係事務を処理することとされた地方公共団体の機関(私立学校の所轄庁たる都道府


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第11 勧告、命令等についての考え方
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(1)法第34条の主務大臣の勧告及び命令は、関係事業者がこのガイドラインに沿って必要な措置等を講じたか否かにつき判断して行われるものである。 すなわち、このガイドラインで「〜ならない」(「努めなければならない」を除く。)と記載されている規定について、個人情報取扱事業者である関係事業者が従わなかった場合は、法第16条〜第18条、第20条〜第27条又は第30条第2項の規定違反とされ得る。違反と判断され、実際に法第34条第1項の「勧告」が行われることとなるのは、個人の権利利益を保護するため必要があると認められるときであり、「勧告」は措置を講ずべき期間を設定して行われる。
 一方、このガイドラインで「望ましい」と記載されている規定については、関係事業者が従わなかった場合であっても規定違反と判断されることはないが、個人情報保護の推進の観点から関係事業者においては、できるだけ取り組むことが望まれる。

(2)法第34条第2項の「命令」は、単に「勧告」に従わないことのみをもって発せられることはなく、正当な理由なく勧告に係る措置が取られない場合において、個人の重大な権利利益の侵害が切迫していると認められるときに限られるものである。

 法第34条第3項の「命令」は、関係事業者が法第16条、第17条、第20条〜第22条又は第23条第1項の規定に違反した場合において、個人の重大な権利利益を害する事実があるため緊急に措置をとる必要があると認められるときに、「勧告」を前置せずに発せられるものである。

(3)法第34条第2項及び第3項の「命令」は、措置を講ずべき期間を設定して発せられるものであり、この「命令」に違反した場合は、「罰則(法第56条、第58条)」が適用される。


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第12 ガイドラインの見直しについて
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 このガイドラインについては、社会情勢の変化、国民の意識の変化、技術動向の変化等諸環境の変化を踏まえ、必要に応じ見直しを行うものとする。




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