● 高等学校学習指導要領の改訂に伴う移行措置並びに移行期間中における学習指導等について(通知) 平成30年8月31日 30文科初第727号
30文科初第727号 平成30年8月31日
各都道府県教育委員会教育長、各指定都市教育委員会教育長、各都道府県知事、附属学校を置く各国立大学長、附属学校を置く各公立大学長、構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた各地方公共団体の長 宛
文部科学事務次官(戸谷一夫)
高等学校学習指導要領の改訂に伴う移行措置並びに
移行期間中における学習指導等について(通知)
現行の高等学校学習指導要領(平成21年文部科学省告示第34号)(以下「現行高等学校学習指導要領」という。)から平成30年3月30日に公示された新しい高等学校学習指導要領(平成30年文部科学省告示第68号)(以下「新高等学校学習指導要領」という。)に移行するために必要な措置(以下「移行措置」という。)について,平成30年8月31日をもって関係の文部科学省令及び文部科学省告示が別添のとおり公布・公示されました。
まず,平成30年8月31日に公布された学校教育法施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令(平成30年文部科学省令第28号)により,学校教育法施行規則の一部を改正する省令(平成30年文部科学省令第13号)の附則に移行措置に関する規定が追加されました。また,同日に公示された平成31年4月1日から新高等学校学習指導要領が適用されるまでの間における現行高等学校学習指導要領の特例を定める件(平成30年文部科学省告示第172号)(以下「特例告示」という。)により,高等学校及び中等教育学校の後期課程(以下「高等学校等」という。)にあっては平成31年4月1日から新高等学校学習指導要領が適用されるまでの間(以下「移行期間」という。)における学習指導要領の特例が定められました。
ついては,移行期間における教育課程の編成・実施に当たっての留意事項は,下記のとおりですので,十分御了知いただくようお願いします。
また,各都道府県教育委員会におかれては,所管の高等学校等及び域内の高等学校等を所管する指定都市を除く市町村教育委員会及びその他の教育機関に対して,各指定都市教育委員会におかれては,所管の高等学校等に対して,各都道府県知事及び構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長におかれては,所轄の高等学校等及び学校法人等に対して,附属学校を置く国公立大学法人学長におかれては,その管下の高等学校等に対して,このことを十分周知されるようお願いします。
なお,本通知については,関係資料と併せて文部科学省のホームページに掲載していますので,御参照ください。
記
1 総則
高等学校等における移行期間中の教育課程の編成・実施に当たっては,新高等学校学習指導要領第1章の規定のうち,特例告示において移行期間中に適用すべきものとしている事項を踏まえ,その趣旨の実現を図ること。
2 各教科等ごとの特例の概要等
(1)従来の「総合的な学習の時間」を「総合的な探究の時間」に改め,新高等学校学習指導要領によることとしたこと。
(2)特別活動については,新高等学校学習指導要領によることとしたこと。
(3)地理歴史及び公民については,新高等学校学習指導要領の領土に関する規定を適用することとしたこと。
(4)家庭については,新高等学校学習指導要領の契約の重要性及び消費者保護の仕組みに関する規定の事項を加えて指導することとしたこと。
(5)保健体育,芸術,福祉,体育,音楽及び美術については,全部又は一部について新高等学校学習指導要領によることができることとしたこと。その際,学校教育法施行規則に示す福祉に属する科目として「福祉情報」を加えたこと。
3 移行措置の適用対象
移行措置は,上記2(1)に示す総合的な探究の時間に関する特例及び2(4)に示す家庭に関する特例を除き,移行期間中に在籍する全ての生徒に適用すること。
上記2(1)に示す総合的な探究の時間に関する特例については,平成31年4月1日以降に高等学校に入学した生徒について適用すること。また,上記2(4)に示す家庭に関する特例については,平成30年4月1日以降に高等学校に入学した生徒について適用すること。
4 各教科等の学習指導上の留意事項
各教科等の指導に当たっては,上記の1から3までにより新高等学校学習指導要領を踏まえた指導に十分配慮するとともに,特に次の事項に留意すること。
(1)特例告示の内容に十分留意した指導計画を作成すること。
特に,移行期間中に新高等学校学習指導要領の規定を適用することとされている内容については,新高等学校学習指導要領の規定により,適切な指導が行われるようにすること。
(2)移行期間中に新高等学校学習指導要領によることができるとされている教科において,実際に新高等学校学習指導要領による場合には,その内容に応じて適切な教材を用いるとともに,十分な授業時数を確保して指導が行われるようにすること。
(3)移行期間中に現行高等学校学習指導要領によることとされている教科についても,新高等学校学習指導要領の規定の内容を加えて指導を行うことはできること。その際,教科及び科目の目標や内容の趣旨を逸脱したり,生徒の負担が過重になったりすることのないようにするものとすること。
(4)各学科に共通する教科「理数」(以下「理数」という。)については移行措置を定めていないが,現行高等学校学習指導要領の下においても総合的な学習の時間の目標や内容に従い,数学的な手法や科学的な手法を用いて探究的な学習を行っている事例もあることから,平成34(2022)年度以降に理数に属する科目を開設し,総合的な探究の時間と代替することを検討している場合には,移行期間中の総合的な探究の時間の指導に当たり,数学的な手法や科学的な手法などを用いて探究を行うこともできること。
(5)家庭については,本年6月の民法改正により,平成34(2022)年度から成年年齢が18歳に引き下げられることを踏まえ,平成30年度以降に高等学校に入学する生徒に対して消費者教育の充実を図る必要があることから特例を設けているものである。上記の趣旨を踏まえ,平成30年度に高等学校に入学する生徒に対して,移行期間が開始する前に家庭の指導を行う場合においても,消費者教育の充実が十分に図られるよう配慮すること。
(6)福祉については,平成34(2022)年度に予定される介護福祉士の受験資格要件の変更に対応したものであることを踏まえ,生徒の進路等に応じて適切な履修が可能となるよう配慮すること。
5 移行期間中における学習評価の取扱い
移行期間中における学習評価の在り方については,移行期間に新高等学校学習指導要領の規定を適用する部分を含め,現行高等学校学習指導要領の下の評価規準等に基づき,学習評価を行うこと。
〔参考〕文部科学省ホームページアドレス
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1383986.htm
Copyright© 執筆者,大阪教育法研究会