● 「公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針」の告示等について(通知)(時間外勤務の上限時間、月45時間) 令和2年1月17日 元文科初第1335号
原典 https://www.mext.go.jp/content/20200206-mxt_zaimu-00004748_1.pdf
元文科初第1335号 令和2年1月17日
各都道府県教育委員会教育長、各指定都市教育委員会教育長 殿
文部科学省初等中等教育局長 丸山洋司
「公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を
監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講
ずべき措置に関する指針」の告示等について(通知)
昨年12月,「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一
部を改正する法律の公布について(通知)」(令和元年12月11日元文科初第1214号
初等中等教育局長通知。以下「公布通知」という。)で通知したとおり,「公立の義務
教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律」(令和
元年法律第72号)が公布されました。
この法律は,学校における働き方改革を進めるための総合的な取組の一環として,
文部科学省が昨年1月に策定した「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイド
ライン」を法的根拠のある「指針」に格上げするとともに,休日の「まとめ取り」の
ため,一年単位の変形労働時間制を各地方公共団体の判断により条例で選択的に活用
できるようにするものです。
このうち,ガイドラインの法的根拠のある「指針」への格上げについては,第7条
において,文部科学大臣は,教育職員の健康及び福祉の確保を図ることにより学校教
育の水準の維持向上に資するため,教育職員が正規の勤務時間及びそれ以外の時間に
おいて行う業務の量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教
育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針を定めること
とされているところであり,当該規定に基づき,このたび,「公立学校の教育職員の業
務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及
び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針」を告示として公示しましたの
で,お知らせします(別添1及び2)。
本指針の適用は,第7条の施行と同じく令和2年4月1日からとしており,本指針
の運用に当たっては,下記の事項に留意の上,適切に対応されるようお願いします。
下記の留意事項のほか,本指針の内容に関する詳細については,別途Q&Aとして
お示しします。また,今回の改正法に関する主な国会審議の内容(別添3)について
も,御参考にされるようお願いします。
本指針の策定と併せて,文部科学省としては今後とも,必要な制度改正や条件整備
をはじめとして,学校と社会の連携の起点・つなぎ役として前面に立ち,学校におけ
る働き方改革の取組を総合的に進めてまいります。各教育委員会におかれては,その
所管に属する学校の教育職員の在校等時間の上限等に関する方針(以下「上限方針」
という。)の策定と併せて,「学校における働き方改革に関する取組の徹底について(通
知)」(平成31年3月18日30文科初第1497号文部科学事務次官通知)も踏まえ,引
き続き,学校における働き方改革を進めるために必要な取組の徹底をお願いします。
なお,今後,文部科学省では,「学校の働き方改革のための取組状況調査」をはじめ
とした既存の調査等を活用しつつ,本指針の運用状況について,適宜,各教育委員会
の取組の状況を把握し,公表することとしておりますので,御協力くださるようお願
いします。
また,休日の「まとめ取り」のための一年単位の変形労働時間制の活用に関して留
意すべき事項については,別途通知します。
各都道府県教育委員会におかれては,所管の学校及び域内の市(指定都市を除く。
以下同じ。)町村教育委員会に対して,各指定都市教育委員会におかれては,所管の学
校に対して,本件について周知を図るとともに,十分な指導・助言に努めていただく
ようお願いします。
また,各都道府県教育委員会におかれては,本件について域内の市町村教育委員会
が設置する学校に対して周知が図られるよう配慮をお願いします。
記
(1)上限時間の性質について
本指針は,超過勤務命令に基づく業務以外の時間も含む「在校等時間」について
の上限時間等を示したものであり,校務をつかさどる校長及び服務監督権者であ
る教育委員会は,上限時間を超えないようにするため,教師等の業務量の適切な
管理を行うことが求められること。
校長及び教育委員会は,教師等の在校等時間の管理をはじめ,業務の役割分担・
適正化,必要な執務環境の整備や健康管理など,学校の管理運営における責任を
有するものであることから,上限時間を超える実態がある場合には,例えば,校務
分掌の適正化や業務削減等の改善のための措置を取るなど,学校の管理運営上の
責任を適切に果たすことが求められること。
なお,在校等時間の上限は,教育職員がその上限まで勤務することを推奨する
ものではないこと。また,本指針における児童生徒等に係る臨時的な特別の事情
がある場合の上限時間は,上限時間の原則に対する例外として,例えば,学校事故
等が生じて対応を要する場合や,いじめやいわゆる学級崩壊等の指導上の重大事
案が発生し児童生徒等に深刻な影響が生じている又は生じるおそれのある場合な
ど,児童生徒等に係る通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い,
一時的又は突発的に所定の勤務時間外に業務を行わざるを得ない場合について定
めたものであること。
(2)各地方公共団体の条例や規則等への反映について
本指針の適用は,第7条の施行と同じく令和2年4月1日からとしており,同
日までに上限方針が実効性ある形で定められていることが重要であること。
このため,服務監督権者である各教育委員会においては,本指針を参考にし,上
限方針を教育委員会規則等において定めること。既に上限方針を策定している場
合には,本指針に沿ったものとなっているか,学校や地域の実情等も踏まえ,改め
て検討の上,必要に応じて改定すること。
都道府県及び指定都市においては,給特法第7条第1項の規定の趣旨を踏まえ,
服務監督権者である教育委員会が定める上限方針の実効性を高めるため,公布通
知においてもお願いしていた通り,本年度中に各地方公共団体の議会において御
議論いただき条例の整備を行うとともに,教育委員会規則等の整備を行うようお
願いしたいこと。
これらに関しては,条例・規則等に在校等時間の上限を定めることが重要であ
り,文部科学省において「「指針」の条例・規則等への反映について(例)」(別添
4)を作成したので,参考とされたいこと。
(3)在校等時間の客観的な計測について
労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)等において,タイムカードによる記
録,電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法による勤
務時間の把握義務が明確化されたことを踏まえ,教育職員が在校している時間は,
ICTの活用やタイムカード等により客観的に計測すること。また,校外において
職務に従事している時間についても,できる限り客観的な方法により計測するこ
と。また,当該計測の結果は公務災害が生じた場合等において重要な記録となる
ことから,公文書としてその管理及び保存を適切に行うこと。
(4)持ち帰り業務の扱いについて
在校等時間の上限を遵守することのみが目的化し,それにより自宅等における
持ち帰り業務の時間が増加することはあってはならないこと。本来,業務の持ち
帰りは行わないことが原則であり,仮に行われている場合には,その縮減のため
に実態把握に努めること。
(5)相談窓口について
教師等の長時間勤務の是正やメンタルヘルス不調等の健康障害の防止のため,
各教育委員会内の学校における働き方改革の担当課や教師等の福利厚生を担当す
る課等において,長時間勤務等の勤務条件やメンタルヘルス不調等の健康障害に
関する相談窓口を設置することについては,別途「公立学校の教師等の勤務条件,
健康障害及び公務災害認定に係る相談窓口の設置状況に関する調査結果に係る留
意事項について(依頼)」(令和2年1月17日元文科初第1336号初等中等教育局
長通知)として通知しているところであるが,本指針の適切な運用を確保する観
点からも,相談窓口を設けることが重要であること。
なお,参議院文教科学委員会における「公立の義務教育諸学校等の教育職員の
給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議」の「八」
(※)の「文部科学省への相談窓口」については,別途示すものであること。
※公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法
律案に対する附帯決議(令和元年12月3日参議院文教科学委員会)抜粋
八、政府は、本法及び本法によって定められる文部科学省令、指針に逸脱した運用の
防止策として、教育職員からの勤務条件に関する措置要求や苦情処理制度とは別に、
教育職員等からの文部科学省や教育委員会への相談窓口を設けるよう促すこと。
【別添1】公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督す
る教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置
に関する指針【概要】
【別添2】公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督す
る教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置
に関する指針(令和2年文部科学省告示第1号)
【別添3】給特法改正に関する主な国会答弁
【別添4】「指針」の条例・規則等への反映について(例)
【参考資料】改正給特法の施行に向けたスケジュール(イメージ)
担当:初等中等教育局財務課教育公務員係
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【別添2】
○文部科学省告示第一号
公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(昭和四十六年法律第七十七号)
第七条第一項の規定に基づき公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監
督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針を次のよ
うに定める。
令和二年一月十七日
文部科学大臣 萩生田光一
公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育
職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針
目次
第1 趣旨
第2 対象の範囲
第3 業務を行う時間の上限
第4 服務監督教育委員会が講ずべき措置
第5 留意事項
(1) 上限時間について
(2) 虚偽の記録等について
(3) 持ち帰り業務について
(4) 都道府県等が講ずべき措置について
(5) 文部科学省の取組について
附則
第1 趣旨
近年、我が国の教育職員(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(
昭和46年法律第77号。以下「給特法」という。)第2条第2項に規定する教育職員をいう。以下
同じ。)の業務が長時間に及ぶ深刻な実態が明らかになっており、持続可能な学校教育の中で効
果的な教育活動を行うためには、学校における働き方改革が急務となっている。また、平成30年
7月に公布された働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71
号)により、労働基準法(昭和22年法律第49号)第36条第1項の協定(以下「36協定」という。
)について時間外労働の限度時間が規定された。
公立学校の教育職員については、正規の勤務時間(給特法第6条第1項に規定する正規の勤務
時間をいう。以下同じ。)外に行われる公立の義務教育諸学校等の教育職員を正規の勤務時間を
超えて勤務させる場合等の基準を定める政令(平成15年政令第484号)第2号に掲げる業務(以
下「超勤4項目」という。)以外の業務については、時間外勤務(同令第1号に規定する時間外
勤務をいう。以下同じ。)を命じないものとされているが、正規の勤務時間外に校務として行わ
れる業務については、当該業務が時間外勤務を命じられて行うものでないとしても学校教育活動
に関する業務であることについて正規の勤務時間内に行われる業務と変わりはなく、こうした業
務も含めて教育職員が業務を行う時間を管理することが、学校における働き方改革を進める上で
必要不可欠である。
このような状況を踏まえ、給特法第7条第1項の規定に基づき、公立学校の教育職員の業務量
の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図
るために講ずべき措置に関する指針を定める。
第2 対象の範囲
(1) 本指針は、給特法第2条に規定する義務教育諸学校等の教育職員の服務を監督する教育委員
会(以下「服務監督教育委員会」という。)の全てを対象とする。
(2) 本指針に掲げる措置は、給特法第2条第2項に規定する教育職員全てを対象とするものとす
る。なお、それ以外の職員(事務職員、学校栄養職員等)については、36協定における時間外
労働の限度時間が適用されることに留意すべきである。
第3 業務を行う時間の上限
(1) 本指針における「勤務時間」の考え方
教育職員は、社会の変化に伴い児童生徒等がますます多様化する中で、語彙、知識、概念が
それぞれ異なる一人一人の児童生徒等の発達の段階に応じて、指導の内容を理解させ、考えさ
せ、表現させるために、言語や指導方法をその場面ごとに選択しながら、適切なコミュニケー
ションをとって授業の実施をはじめとした教育活動に当たることが期待されている。このよう
な教育職員の専門性や職務の特徴を踏まえ、また、教育職員が超勤4項目以外の業務を行う時
間が長時間化している実態も踏まえると、正規の勤務時間外にこうした業務を行う時間も含め
て教育職員が働いている時間を適切に把握することが必要である。
このため、教育職員が学校教育活動に関する業務を行っている時間として外形的に把握する
ことができる時間を当該教育職員の「在校等時間」とし、服務監督教育委員会が管理すべき対
象とする。
具体的には、正規の勤務時間外において超勤4項目以外の業務を行う時間も含めて教育職員
が在校している時間を基本とし、当該時間に、以下に掲げるイ及びロの時間を加え、ハ及びニ
の時間を除いた時間を在校等時間とする。ただし、ハについては、当該教育職員の申告に基づ
くものとする。
イ 校外において職務として行う研修への参加や児童生徒等の引率等の職務に従事している
時間として服務監督教育委員会が外形的に把握する時間
ロ 各地方公共団体が定める方法によるテレワーク(情報通信技術を利用して行う事業場外
勤務)等の時間
ハ 正規の勤務時間外に自らの判断に基づいて自らの力量を高めるために行う自己研鑽の時
間その他業務外の時間
ニ 休憩時間
(2) 上限時間の原則
服務監督教育委員会は、その所管に属する学校の教育職員の在校等時間から所定の勤務時間
(給特法第6条第3項各号に掲げる日(代休日が指定された日を除く。)以外の日における正
規の勤務時間をいう。以下同じ。)を除いた時間を、以下に掲げる時間の上限の範囲内とする
ため、教育職員の業務量の適切な管理を行うこととする。
イ 1日の在校等時間から所定の勤務時間を除いた時間の1箇月の合計時間(以下「1箇月時
間外在校等時間」という。) 45時間
ロ 1日の在校等時間から所定の勤務時間を除いた時間の1年間の合計時間(以下「1年間時
間外在校等時間」という。) 360時間
(3) 児童生徒等に係る臨時的な特別の事情がある場合の上限時間
児童生徒等に係る通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い、一時的又は突
発的に所定の勤務時間外に業務を行わざるを得ない場合においては、第3(2)の規定にかかわら
ず、教育職員の在校等時間から所定の勤務時間を除いた時間を、以下に掲げる時間及び月数の
上限の範囲内とするため、教育職員の業務量の適切な管理を行うこととする。
イ 1箇月時間外在校等時間 100時間未満
ロ 1年間時間外在校等時間 720時間
ハ 1年のうち1箇月時間外在校等時間が45時間を超える月数 6月
ニ 連続する2箇月、3箇月、4箇月、5箇月及び6箇月のそれぞれの期間について、各月の
1箇月時間外在校等時間の1箇月当たりの平均時間 80時間
第4 服務監督教育委員会が講ずべき措置
服務監督教育委員会は以下の措置を講ずべきものとする。
(1) 本指針を参考にしながら、その所管に属する学校の教育職員の在校等時間の上限等に関する
方針(以下「上限方針」という。)を教育委員会規則等において定めること。
(2) 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)等において、タイムカードによる記録、電子計算機
の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法による勤務時間の把握が事業者の義務
として明確化されたことを踏まえ、教育職員が在校している時間は、ICTの活用やタイムカー
ド等により客観的に計測すること。また、校外において職務に従事している時間についても、
できる限り客観的な方法により計測すること。また、当該計測の結果は公務災害が生じた場合
等において重要な記録となることから、公文書としてその管理及び保存を適切に行うこと。
(3) 休憩時間や休日の確保等に関する労働基準法等の規定を遵守すること。
(4) 教育職員の健康及び福祉を確保するため、以下の事項に留意すること。
イ 在校等時間が一定時間を超えた教育職員に医師による面接指導を実施すること。
ロ 終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保すること。
ハ 教育職員の勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断を実施すること。
ニ 年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めてその取得を促進する
こと。
ホ 心身の健康問題についての相談窓口を設置すること。
ヘ 必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、又は教育職員に産業医等による保健指
導を受けさせること。
(5) 上限方針を踏まえた所管に属する各学校における取組の実施状況を把握すること。また、そ
の状況を踏まえ、在校等時間の長時間化を防ぐための業務の分担の見直しや適正化、必要な環
境整備等の取組を実施すること。特に、教育職員の在校等時間が上限方針で定める上限時間の
範囲を超えた場合には、所管に属する各学校における業務や環境整備等の状況について事後的
に検証を行うこと。
(6) 上限方針を定めるに当たっては、人事委員会(人事委員会を置かない地方公共団体において
は、地方公共団体の長。以下同じ。)と当該上限方針について認識を共有し、専門的な助言を
求めるなど連携を図ること。また、教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の健康及び
福祉を図るために講ずべき措置に関し、人事委員会の求めに応じて実施状況等について報告を
行い、専門的な助言を求めるなど連携を図ること。
(7) 上限方針の内容について、保護者及び地域住民その他の関係者の理解が得られるよう、それ
らの者に対して広く上限方針の周知を図ること。
第5 留意事項
(1) 上限時間について
校長等の学校の管理職及び教育職員並びに教育委員会等の関係者は、本指針及び上限方針が
、教育職員が上限時間まで業務を行うことを推奨するものと解してはならず、また、学校にお
ける働き方改革の総合的な方策の一環として策定されるものであり、在校等時間の長時間化を
防ぐための他の取組と併せて取り組まれるべきものであることに十分に留意しなければならな
い。決して、在校等時間の長時間化を防ぐための取組を講ずることなく、学校や教育職員に対
し、上限時間を遵守することを求めるのみであってはならない。
(2) 虚偽の記録等について
教育職員の在校等時間について形式的に上限時間の範囲内とすることが目的化し、授業など
教育課程内の学校教育活動であって真に必要な活動であるものをおろそかにすることや、実際
の時間より短い虚偽の時間を記録し、又は記録させることがあってはならない。
(3) 持ち帰り業務について
本来、業務の持ち帰りは行わないことが原則であり、上限時間を遵守することのみを目的と
して自宅等に持ち帰って業務を行う時間が増加することは、厳に避けなければならない。仮に
業務の持ち帰りが行われている実態がある場合には、その実態把握に努めるとともに、業務の
持ち帰りの縮減に向けた取組を進めるものとする。
(4) 都道府県等が講ずべき措置について
都道府県及び指定都市においては、給特法第7条第1項の規定の趣旨を踏まえ、服務監督教
育委員会が定める上限方針の実効性を高めるため、条例等の整備その他の必要な措置を講ずる
ものとする。
(5) 文部科学省の取組について
文部科学省は、次に掲げる事項その他の取組を進めることとする。
イ 学校における業務の縮減に取り組むとともに、学校における働き方改革を進める上で前提
となる学校の指導及び事務の体制の効果的な強化及び充実を図るための教育条件の整備を進
めること。
ロ 本指針や服務監督教育委員会が定める上限方針の内容について、教育関係者、保護者及び
地域住民等の理解が得られるよう、それらの者に対して広く周知を図ること。
ハ 文部科学省が行う既存の調査等を活用しつつ、適宜、各都道府県及び指定都市における第
5(4)の条例等の制定状況や、各服務監督教育委員会の取組の状況を把握し、公表すること。
附 則
この告示は、令和2年4月1日から適用する。
Copyright© 執筆者,大阪教育法研究会