● 同盟休校中の児童の進級等について 昭和32年12月16日 委初390


昭三二、一二、一六 委初三九〇
大阪府教育委員会教育長あて
文部省初等中等教育局長回答


 照 会
一 後記の事情により、現在大木地区で勝手に建築した建物に収容して同盟休校を行なつている四年以上の児童の進級進学の取扱いはいかにしたらよろしいか。
二 大木地区の中学生は、当市日根野地区にある市立中学校へ他の地区の生徒と合わせて、入学せしめることになっているが、来るべき新学期にこの場合の取扱いはどうしたらよろしいか。
 右につき、至急回答くださるようお願いします。

          記

1 本市小学校統合の方針より、市山間部の大土地区にあった旧土丸小学校(児童数九九名)、旧大木小学校(児童数一四六名)の二校を廃し、新たに地区の中間に当る場所に大土小学校を新設し、昭和三一年九月一日から両校児童を就学させるよう決定したが、大土地区のうち大木地区の住民は、通学距離の遠いこと、交通上の危険等を理由としてこれに反対し、自己資金をもって建物を建設して、ここに大木地区の児童が通学することを許可するよう申し入れてきたが、委員会は、通学距離については、最遠隔のところから二キロ半、近いところからは一キロ半の距離であり、また通学途中は他と比較して危険と認められないので、小学校統合の方針は、あくまでくずさないことを決めた。
2 これに対し、大木地区は、昭和三一年九月一日から同八日まで同盟休校を行なったが、一応暫定協定により、大木地区児童のうち一年から三年までの児童は旧大木小学校を分教場としてこれに収容し、四年以上は新設の大土小学校へ通学させることに決定し、昭和三二年二月までに解決しようと解決しようと協定した。
3 その後、本役員会と大木地区代表との間に会談を重ねたが、意見の一致を見るに至らず、遂に昭和三二年四月八日から、大木地区は、数名の者を勝手に雇入れて自らの建てた建物(正式に許可されていない。)に、四年以上の同地区の児童を収容して同盟休校を行なっている。もちろんこの施設は、私立学校として認可されていないので、委員会はしばしば右児童の保護者に対し出席の督促を行なっているが、現在に至るもなお休校を続けている状態である。

 回 答
 標記のことについて、貴府泉佐野市教育委員会から、別紙のとおり照会があつたので、次のとおり回答しますから、貴職において、実情について御調査の上、よろしく御指導ください。

          記

一 現状のまま学年末にいたつたときは、当該児童については、進級または卒業の認定をすることはできない。
 ただし、当該児童が大土小学校に通学するにいたつた場合は、同校校長は、各児童がその欠席期間中大木地区の施設で事実上受けていた指導の内容をも考慮し、各児童の成績を評価して、進級または卒業の認定をすることも不可能ではないと解する。
二 照会の趣旨が明らかでないが、上記より卒業の認定を受けた児童については、当該市立中学校へ入学させるべきである。

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