● 区域外就学について 昭和33年3月13日 文初財第169号



文初財第一六九号 昭和三三年三月一三日
各都道府県教育委員会あて
文部省初等中等教育局長通達


    区域外就学について


 小学校または中学校の学齢児童生徒の就学については、保護者は、学校教育法および同法施行令の規定に基き、その住所地の市町村教育委員会が指定した小学校または中学校にこれを就学させる義務を負つており、区域外就学をさせる場合においては、同法施行令所定の手続を経なければならない。しかるに、保護者のうちにはその居住する区域外の学校に児童生徒を就学させるため、住民登録法の規定に違反し住所地をいつわつて住民登録を行い、区域外就学を行う例があり、特に入学期をひかえてこれが甚だしいようにうかがわれるのであるが、このことは義務教育における就学義務の履行について適正を欠くのみでなく、市町村が義務教育に関する事務を実施するに当り、その計画をたてる上に重大な支障をきたしかつ、市町村相互の経費の負担についても問題を生じ、また児童生徒のためにも学級の過剰収容、通学上の困難等により教育上望ましくない結果を伴うこととなる。したがつて保護者がこのような正当でない手続により児童生徒を区域外の学校に就学させる事態は是正されなければならない。
 このような事例のある場合には、地方法務局、市町村長等の関係機関と協力し就学事務が法令の規定に基いて適正に行われるように、貴委員会の管下の市町村教育委員会に対し、この趣旨の徹底をはかるとともに、父兄その他の啓蒙について格段の御配慮をお願いする。
 しかしながら、かかる事態を生ぜしめる理由の一つは学校差に基くものと思われるので、適正な教員配置および施設設備の充実により学校差の解消に努めるよう、あわせていっそうの御努力をお願いしたい。
 なお、先に通知した別添の通達「住民登録と学齢児童生徒の就学について」(昭和二八年二月二六日付法務省民事甲第二五二号、文初第一〇四号)によって善処されるよう、かさねてお願いする。





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