● 児童生徒の問題行動の防止について 昭和53年3月7日 文初中第138号



文初中第一三八号 昭和五三年三月七日
各都道府県教育委員会教育長・各都道府県知事・附属学校を置く各国立大学長あて
文部省初等中等教育局長・社会教育局長通知


    児童生徒の問題行動の防止について


 このことについては、かねてから御尽力を頂いているところでありますが、最近生徒間の殺傷事件、自殺等社会的に反響の大きい児童生徒の問題行動が目立つことは、誠に遺憾なことであります。
 このような事件の背景には、児童生徒を取り巻く社会環境の変化や家庭における教育の問題があると考えられますが、学校としては、この憂慮すべき事態を厳しく認識し、関係諸機関の協力を得てより一層の指導の徹底を期す必要があると考えます。
 貴職におかれては、特に左記事項に御留意の上、貴管下の関係機関において児童生徒の問題行動の防止について十分な措置がとられるよう、周知徹底をお願いします。

          記

一 創意工夫を生かし豊かな教育活動を展開すること。

 教育課程を編成し、各種の教育活動を展開するに当たつては、十分創意工夫を生かし、個々の児童生徒が学校生活に生きがいを感じ、豊かで充実した生活の場となるよう努めること。また、教師は、あらゆる機会を通じて一人一人の児童生徒との心の触れ合いを持ち、一層の信頼を得るよう努力すること。

二 生命の尊重等についての指導を徹底すること。

 自他の生命の尊重、社会規範の遵守、善悪の判断、暴力の否定等について、各教科、道徳、特別活動等あらゆる機会を通じて指導すること。その際、テレビ、雑誌等の影響にも十分留意すること。

三 個々の児童生徒の実態を十分に把握すること。

 学習意欲の低下、遅刻や欠席、粗暴な言動、服装の乱れ、喫煙・飲酒、無断外泊、仲間集団の動き、盛り場徘徊等については、早期に実態を把握して適切な措置をとること。その際、指導を繰り返しても効果がない場合には、そのまま放置せず、更に原因を分析して新たな対応策を講じること。

四 生徒指導に関する学校の組織体制を整えること。

 生徒指導に関する校内組織と責任分担を明らかにし、学級(ホームルーム)担任、学年主任、生徒指導主事等の間の連携を緊密・円滑にし、一般方針だけでなく個別の問題についても学校全体が積極的に協力した対応を行うこと。

五 家庭との連携を密にすること。

 家庭の連絡協力が得られない場合や過保護、放任等家庭環境に問題行動の誘因があると考えられる場合においては、関係機関等と連絡して、家庭からの協力が得られるよう根気強く家庭への働き掛けを行うようにすること。
 交友関係や勉強部屋等の個室における児童生徒の行動について十分注意を払うよう各家庭に強く呼び掛けること。

六 関係機関等との連携を密にすること。

 近隣の学校、地域社会、関係諸機関・諸団体等とは常時緊密な連携をとり、詳細な情報交換等相互に協力を行うことにより問題行動の防止に努めること。




Copyright© 執筆者,大阪教育法研究会