● 教育関係職員の服務の厳正について 昭和57年12月6日 文初地第294号



文初地第二九四号 昭和五七年一二月六日
各都道府県・指定都市教育委員会教育長あて
文部省初等中等教育局長通知


    教育関係職員の服務の厳正について


 教育関係職員の服務については、従来から学校教育に対する国民の信頼を裏切ることのないよう要請してきたところであります。
 しかしながら、本年四月に大阪市において補助教材納入に関する収賄容疑で教員が起訴されるなど物品購入や学校建設工事の入札等にかかわる教職員や教育委員会事務局職員の不正事件が最近相次ぎ、また一〇月には福岡県において、公正であるべき教職員人事に関して現職の教育長をはじめとする校長、教頭等が贈収賄容疑で逮捕されるという不祥事が発生しています。
 これらの不祥事は、市町村教育委員会の教育長をはじめ重要な管理的地位にある者が関係しているものもあり、教育関係職員に対する社会の信頼を著しく損なうものであり、ひいては学校教育全体に対する国民の不信を招く恐れがあります。特に、児童生徒の非行等が社会的に大きな問題となつて教職員の姿勢や学校の在り方が厳しく問われている時期に、児童生徒の教育に携わり、あるいは教育行政に従事する等、教育に重要な職責を有する職員にこのような事態が生じたことはまことに遺憾であります。この際、教育関係者は深く反省し、その職責に対する厳しい自覚の下に姿勢を正すことの必要が痛感されます。
 貴職におかれては従来から教育関係職員の服務の厳正の確保に努められてきたことと思いますが、これを機に更に、公務員倫理の確立と服務規律の徹底を図るとともに、教育関係職員の人事の公正確保をはじめとする行政運営や学校の管理運営の適正化について一層努められ、再びこのような事件が発生することがないよう格段の配慮を願います。
 なお、貴管下市町村教育委員会に対しても、このことについて十分周知徹底されるよう願います。


(参考)

条例準則に関する質疑応答

問1 定年退職日を定年に達した日又は定年に達した日の属する月の末日と定めることができるか。また、3月31日のみと定めることができるか。

答 地方公務員法第28条の2第1項は、3月31日を含め、一又は二以上の特定の月日を定年退職日として条例で定めることを予定している。しかしながら従来の勧奨退職の慣行等よりみて、人事管理の円滑な運用のため必要かつ合理的である場合には、定年に達した日又は定年に達した日の属する月の末日を定年退職日とすることも差し支えない。
 なお、3月31日のみを定年退職日とすることができることは言うまでもない。

問2 職種別に異なる定年退職日を定めることができるか。また、定年退職日の決定を条例で長、人事委員会又は任命権者に委任することができるか。

答 職種によつて人事管理の態様に差異があり、効率的な行政運営の確保の見地から必要かつ合理的である場合には、職種別に異なる定年退職日を定めることも可能であるが、定年退職日の決定を条例で長、人事委員会又は任命権者に委任することは適当でない。

問3 国に対応職種のない職に従事する職員の定年はどうなるか。

答 国の職員については、職務と責任に特殊性があること等の理由により60歳を定年とすることが著しく不適当と認められる職員について特例の定年があるものを除き、その定年は職種のいかんを問わずすべて60歳である。したがつて、地方公務員についても、国に対応職種のない職に従事する職員の場合には、特例の定年が定められている国の職員との対応関係にないので、その定年は他の一般職員と同様に国の原則定年である60歳が基準となるものである。なお、これらの職員に関し、その職務と責任に特殊性があること等により60歳を基準として定めることが実情に即さないと認められ、地方公務員法第28条の2第3項の要件に該当するときは、同項の規定に基づく特例定年を定めることになる。

問4 条例準則第3条第1項第2号には、その適用の対象となる職種をすべて列挙すべきか。

答 同号の規定は、原則定年に対する特例としての定年を定めるものであるから、対象となる職種を列挙することが原則である。なお、概括的に規定する場合にも、その適用の対象となる職員の範囲が、条例上明確であることが必要である。

問5 条例準則第3条第1項第2号の職員の定年は必ず63歳としなければならないか。

答 国家公務員について、その定年が63歳と定められた職種に対応する職種に属する職員の定年は63歳を基準として定めることが原則であるが、単純労務職員のうち、これらの職員と他の職員の身分取扱等に差異を設けていないため、その定年を63歳とすることが単純労務職員の身分取扱い等において不合理な不平等を生じ、人事管理の全体的な運営上著しい支障をきたすと認められる十分な理由がある場合には、これらの職員の定年を63歳とせず、条例準則第3条第1項第2号に相当する規定を設けないこととすることも差し支えない。

問6 条例準則第3条第2項の医療施設等とは何か。

答 離島その他の著しく不便な地に所在する病院、診療所等であつて医師等の確保が特に困難なものを想定している。

問7 国家公務員法第81条の2第2項第3号に基づいて定められた定年を基準として定年を定めることとなる職員があるか。

答 定年制度に関する人事院規則についての措置要綱(案)は、国家公務員法第81条の2第2項第3号に基づいて人事院規則で定年を定める職員及びこれらの職員に係る定年年齢を列挙しているが、このうち地方公務員の場合に相当する職種が存在するものとしては、次の2つのものがある。

 公立高等専門学校長 年齢 65年
 公立高等専門学校の教授、助教授、講師及び助手 年齢 63年

問8 職種別又は役職別に暫定定年を設けることができるか。

答 現在の退職勧奨年齢に差を設けており、人員構成、欠員の補充の面からみて合理的理由がある場合等においては、公平の原則を損うことのない範囲内において、職種別又は役職別に暫定定年を定めることは差し支えない。




定年制度に関する人事院規則についての措置要綱(案)

昭和五七年九月二七日
人事院任用局

一 定年年齢の特例(法第八一条の二第二項)

(一) 定年年齢を六五歳とする医師等の勤務する病院、療養所、診療所等の範囲

法第八一条の二第二項第一号の人事院規則で定める病院、療養所、診療所等は、次に掲げる施設等とする。

@ 病院、療養所及び診療所
A 刑務所、拘置所その他の矯正施設
B 入国者収容所
C 国立保養所、国立教護院及び国立精神薄弱児施設
D 検疫所
E 放射線医学総合研究所
F 国立水俣病研究センター
G @からFまでに掲げる施設以外の施設等で医療業務を担当する部署等のあるもの

(二) 定年年齢を六五歳とする医師及び歯科医師

 法第八一条の二第二項第一号の医師及び歯科医師とは、医療職俸給表(一)の適用を受ける職員及び指定職俸給表の適用を受ける職員(医療業務に従事する者に限る。)をいうものとする。

(三) 定年年齢を六三歳とする庁務職員等の範囲

 法第八一条の二第二項第二号の人事院規則で定める職員は、行政職俸給表(二)の適用を受ける職員のうち次に掲げる職員とする。

@ 守衛、巡視、用務員等の庁務に従事する職員
A 労務作業員、消毒婦、洗濯婦、炊婦等の労務に従事する職員

(四) その他の定年年齢の特例

 法第八一条の二第二項第三号の人事院規則で定める職員及びこれらの職員に係る定年年齢は、次のとおりとする。

@ 迎賓館長 年齢六五年
A 皇宮警察学校教育主事 年齢六三年
B 宮内庁の職員のうち次に掲げる職員 年齢六三年(人事院が別に定める職員にあつては、当分の間、年齢六五年)

ア 雅楽の伝承及び演奏に従事する職員
イ 鷹師長及び鷹師
ウ 修補職員(行政職俸給表(一)適用者に限る。)
エ 式部副長及び式部官
オ 主厨長及び副主厨長
カ 主膳長及び副主膳長
キ 侍側職員(人事院が定める職員に限る。)

C 在外公館に勤務する職員 年齢六三年
D 外務省本省に勤務し、外務公務員法(昭和二七年法律第四一号)第二条第五項に規定する外交領事事務に従事する職員のうち人事院が定める職員 年齢六三年
E 国税不服審判所長 年齢六五年
F 国立高等専門学校長 年齢六五年
G 国立高等専門学校の教授、助教授、講師及び助手 年齢六三年
H 社会保険庁の医療専門官 年齢六五年
I 水産大学校の校長、教授、助教授、講師及び助手 年齢六三年
J 海技試験官 年齢六三年
K 海技大学校の校長、教授、助教授、講師及び助手 年齢六三年
L 海難審判庁審判官及び海難審判庁理事官 年齢六五年
M 人事院が定める研究所、試験所等の長 年齢六五年
N 人事院が定める研究所、試験所等の副所長(これに相当する者を含む。) 年齢六三年

二 勤務延長(法第八一条の三)

(一) 勤務延長の基準

@ 勤務延長は、次のいずれかの場合に行うことができるものとする。
ア 職務が高度の知識、技能又は経験を必要とするものであるため、その職員の退職により公務の運営に著しい支障が生ずる場合
イ 勤務環境その他の勤務条件が特殊であるため、その職員の退職による欠員を容易に補充することができない場合
ウ 担当者の交替がその業務の遂行上重大な障害となる特別の事情があるため、その職員の退職により公務の運営に著しい支障が生ずる場合

A 勤務延長は、職員の同意を得て行うものとする。勤務延長の期限の延長も同様とする。

(二) 勤務延長の期限の繰上げ

 勤務延長の期限が到来する前に延長の事由が消滅したときは、職員の同意を得て期限を繰り上げることができるものとする。

三 再任用(法第八一条の四)

(一) 再任用の基準

 再任用は、次に掲げる要件を満たす場合に行うことができるものとする。

@ 再任用される官職は、再任用される者が職務を通じて修得した知識又は技能を活用できるものであること。
A 再任用される官職は、再任用される者がかつて正式に任用されていた官職と職務の複雑と責任の度が同等以下と認められるものであること。
B 再任用される者は、退職前の勤務成績が良好な者であること。

(二) 再任用の任期の更新

 再任用の任期の更新は、再任用期間中の勤務実績が良好であつた者について行うことができるものとする。

(三) 再任用の任期の明示

 再任用する場合又は再任用の任期を更新する場合は、当該職員にその任期を明示するものとする。

四 勤務延長及び再任用に関する報告

 任命権者は、毎年一定期日までに、前年度における勤務延長並びに再任用及び再任用の任期の更新の状況について人事院に報告するものとする。

五 その他

 人事異動通知書の交付その他の手続等についても、所要の定めをするものとする。




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