● 校内暴力等児童生徒の問題行動に対する指導の徹底について 昭和58年3月10日 文初中166



昭五八、三、一〇 文初中一六六 
各都道府県・指定都市教育委員会教育長あて 
文部省初等中等教育局長通知

    校内暴力等児童生徒の問題行動に対する指導の徹底について

 児童生徒の非行の防止については、昭和五五年一一月二五日付け文初中第三〇六号をもって既に指導をお願いしているところであります。また、最近における校内暴力等一連の青少年非行事件の発生状況にかんがみ、政府においては、当面採るべき措置について非行防止対策推進連絡会議の申合せを行ったところであります。この際、各教育委員会におかれても、これまでの対策について再検討され、前記通知の趣旨がさらに徹底されるようお願いいたします。
 特に、児童生徒の問題行動に的確に対処するためには、各学校において校長を中心として全教職員が一致協力する体制を確立することが肝要であります。
 このため、各教育委員会におかれては、貴管下の学校における生徒指導を中心とする管理運営の状況を点検し、その実態を把握するとともに、校内暴力等の問題行動が起きている学校又は起きるおそれのある学校に対しては、重点的に、学校の管理運営の全体にわたって、必要な指示や指導を行い、一日も早く正常な教育環境の回復に努められるよう、お願いいたします。
 なお、別添の「生徒指導に取組むための学校運営上の点検項目」は、校内暴力等の問題行動が発生した学校の運営全般にわたって、具体的に点検すべき項目を示したものでありますので、指導の際の参考として御活用ください。
 おって、最近における校内暴力の実態、出席停止の措置状況等を把握する必要がありますので、別添二「校内暴力等に関する調査実施要領」により、貴管下の中学校及び高等学校について調査の上、当局中学校教育課あて御提出願います。

別添
   生徒指導に取組むための学校運営上の点検項目

<趣旨>
 既に児童生徒の非行防止のための取組について、昭和五五年一一月二五日、初等中等教育局長・社会教育局長名で「児童生徒の非行防止について」通知を発したところであるが、最近における児童生徒の問題行動の状況にかんがみ、校内暴力等の問題行動が発生した学校について、都道府県・指定都市教育委員会が当該学校の運営全般にわたり、前記通知の趣旨に沿って具体的に点検すべき項目を参考例として示したものである。

<点検項目>
一 校内暴力(これに類似する問題行動を含む。以下同じ)の発生状況
1 校内暴力の発生状況と態様
(一) 対教師暴力について、その日時、関係生徒数、概要とその程度、被害を受けた教師の年齢、性別、担当、平素の指導方法はどうか。
(二) 生徒間暴力について、その日時、関係生徒数、概要とその程度はどうか。
(三) 施設設備の損壊について、その日時、関係生徒数、被害額はどうか。
2 非行集団の状況
 非行集団の存否、構成、日常行動(校内、校外)、他の集団とのつながり、問題行動との関連はどうか。
3 校内暴力に対する学校の指導
(一) 指導の態様は具体的にどうか(本人に対する指導、家庭との連携など)。
(二) 警察の補導、教護院、少年院への入所の措置があれば、その内容はどうか。
(三) 出席停止その他自宅学習、自宅謹慎などの名目による学校以外の場所における指導を行った場合、その内容はどうか。
4 一般生徒の状況
 一般生徒の状況は具体的にどうか(問題行動のある生徒との関係を含む)。

二 学校運営状況
1 生徒指導体制
(一) 児童生徒との好ましい人間関係
 教師は、児童生徒との好ましい人間関係の育成に努めているか。
(二) 生徒指導の方針等の決定
 生徒指導の方針や問題行動に対する指導方針は、校長の責任の下に適切に決定されているか。
(三) 全教師の生徒指導に対する取組
 生徒指導方針等は、全教師に周知徹底され、共通理解が図られているか。また、校長を中心として全教師が一体となってその実践に当たっているか。
(四) 教職員の人事配置
 @ 校長、教頭の経験年数、当該校在職年数はどうか。
 A 教員(校長、教頭を除く)の数、男女構成、年齢構成、当該校勤務年数はどうか。
 B 生徒指導のベテラン教員や、生徒指導に関する専門 的な研修を受けた教員などが学校に配置されているか。
(五) 校務分掌
 @ 校務分掌組織はどうなっているか。
 A 校務分掌の決定時期、具体的な決定手順は適切か。特に、決定の過程において校長は主要な役割を果しているか。
 B 主任の命課の時期、具体的な決定手順は適切か。特に、決定過程において校長は主要な役割を果しているか。
 C 主任には、年齢、指導力などの点で適格者が選任されているか。
 D 主任は充分その機能を果しているか。
(六) 生徒指導の組織
 @ 役務分掌の組織における生徒指導の組織の位置付けは、適切か。また、その役割、構成員はどうか。
 A 生徒指導主事の年齢、経験年数はどうか。その命課の手順は具体的にどうか。また、その実際の職務及び機能はどうか。
 B 生徒指導の組織に対する校内の協力体制は整っているか。
(七) 職員会議等
 @ 職員会議は適切に運営されているか(審議事項、審議方法)。
 A 職員会議以外に生徒指導の問題を主として取扱う委員会等が置かれている場合、その役割はどうか。生徒指導のための組織(例えば、生徒指導部)との関係はどうか。
(八) 教育相談
 教育相談の組織はあるか。その構成、実施計画は適切か。また、実際の機能はどうか。
(九) 校内暴力に対する連絡体制
 @ 校内暴力が発生した場合の校内における連絡体制は整っているか。また、実際の機能はどうか。
 A 教育委員会への連絡、報告の方法は適切か。また、実際に適切に行われているか。
(一〇) 生徒指導に関する研修
 @ 生徒指導及び教育相談に関する校内研修は、適切に行われているか。
 A 生徒指導資料第一七集「生徒の健全育成をめぐる諸問題−校内暴力問題を中心に−」等生徒指導に関する資料が有効に活用されているか。
(一一) 教育委員会との関係
 @ 最近二、三年間における計画訪問の実施状況はどうか。
 A @のうち、生徒指導に関し、具体的な指導事項はどうか。
 B 校内暴力発生に対する市町村教育委員会の対応はどうか。
2 家庭や地域社会の関係機関との連携
(一) 家庭との連携
 @ 家庭との連絡・協力の方法は、適切か。また、実際の機能はどうか。
 A 教員の家庭訪問は、どのように実施されているか。
(二) PTAとの連絡・協力の方法は、適切か。また、実際の機能はどうか。
(三) 地域社会の関係機関との連携
 @ 警察・児童相談所等の地域社会の関係機関との連携の方法は整っているか。また、実際の機能はどうか。
 A 卒業式等について、警察との連携の必要がある場合、適切に行われているか。
3 教育活動
(一) 各教材の指導計画等の作成及び実施
 @ 学習指導要領の趣旨が十分に生かされ、児童生徒の実態に即した指導計画等が適切に作成されているか。
 A 指導方法の改善に工夫をこらすなど常に授業の充実に努めているか。また、学業不振の児童生徒に対する配慮がなされているか。
 B 授業時数が適切に確保されているか。
(二) 道徳教育の全体計画及び「道徳の時間」の年間指導計画の作成及び実施
 @ 学校の教育活動全体を通して行う道徳教育の全体計画が、教師相互の共通理解と協力の下に適切に作成され、充実した指導が行われているか。
 A 「道徳の時間」の年間指導計画等が適切に作成され、教材の選択や指導方法を工夫して充実した指導が行われているか。
 B 「道徳の時間」の授業時数が適切に確保されているか。
 C 適切な生活目標を定めて基本的行動様式の指導の徹底に努めているか。
 D 道徳的実践力の向上のため、家庭や地域社会との連携が図られているか。
(三) 特別活動の指導計画の作成及び実施
 @ 児童・生徒活動、学校行事、学級指導の指導計画等が適切に作成され、教師の相互理解と協力の下に適切な指導が行われているか。
 A 特別活動の授業時数が適切に確保されているか。
 B 進路指導が組織的・計画的に行われているか。
(四) いわゆる「ゆとりの時間」の運用について
 いわゆる「ゆとりの時間」が適切に運用されているか。
別添二 略





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