● 学校教育法等の一部を改正する法律等の公布について(大学編入学等) 平成10年8月14日 文高専第185号



文高専第一八五号 平成一〇年八月一四日
文部省高等教育局長、文部省生涯学習局長から各国公私立大学長、各国公私立高等専門学校長、学位授与機構長、放送大学長、各都道府県知事、各都道府県教育委員会、大学を設置する地方公共団体(都道府県を除く。)の長、大学又は高等専門学校を設置する各学校法人の理事長、放送大学学園理事長あて
通知


    学校教育法等の一部を改正する法律等の公布について


 第一四二回国会で制定された「学校教育法等の一部を改正する法律」(以下「改正法」という。)が平成一〇年六月一二日法律第一〇一号として公布されました。
 これを受け、「学校教育法施行規則の一部を改正する省令」及び「大学への編入学に係る専修学校の専門課程の総授業時数を定める件」(以下それぞれ「改正施行規則」、「告示」という。)がそれぞれ平成一〇年八月一四日文部省令第三三号、平成一〇年八月一四日文部省告示第一二五号をもって公布されました。
 また、本改正とともに、「学位規則を改正する省令」(以下、「改正学位規則」という。)が平成一〇年八月一四日文部省令第三四号をもって公布されました。
 この改正法等の概要および留意点は左記のとおりですので、それぞれ関係のある事項について十分御了知の上、改正法施行の際には、その運用にあたって遺漏のないようお取り計らいください。
 なお、改正法のうち、中高一貫教育に係る事項については、別途関係者に通知いたしております(平成一〇年六月二六日文初高第四七五号文部省初等中等教育局長・文部省教育助成局長通知)。

          記

第一 改正法制定の趣旨

 来るべき二一世紀において、一人一人がそれぞれの個性や創造性を伸ばし、我が国が活力ある社会として発展していくためには、学校教育制度について、できる限り一人一人の能力・適性、興味・関心、進路希望等に応じた多様で柔軟なものとなるよう改革を図っていく必要がある。
 このような観点から、高等教育の段階においても制度の弾力化を図ることが求められており、専修学校の専門課程で文部大臣の定める基準を満たすものを修了した者が大学に編入学できることとするとともに、大学の学生以外の者で大学の単位を修得した者が当該大学に入学する場合に、相当期間を修業年限に通算できることとするため、学校教育法(昭和二二年法律第二六号)の所要の改正を行ったものである。

第二 専修学校の専門課程修了者の大学編入学について

一 概要

(一) 専修学校の専門課程のうち、文部大臣の定める基準を満たすものを修了した者(ただし、学校教育法第五六条に規定する大学入学資格を有する者に限る。)は、大学に編入学することができることとしたこと(学校教育法第八二条の一〇)。

文部大臣の定める基準は、修業年限が二年以上で、かつ、課程の修了に必要な総授業時数が一七〇〇時間以上であることとしたこと(学校教育法施行規則第七七条の八第一項、告示)。

(二) 同基準を満たす専修学校の専門課程を修了した者は、大学の定めるところにより、当該大学の修業年限から、修了した専門課程における修業年限に相当する年数以下の期間を控除した期間で一年を下らない期間を在学すべき期間として、当該大学に編入学することができることとしたこと(学校教育法施行規則第七七条の八第二項)。

(三) 併せて、高等専門学校から大学及び短期大学への編入学に関する規定と短期大学から大学への編入学に関する規定をそれぞれ独立した規定としたこと(学校教育法施行規則第七〇条の三、第七二条の六)。

(四) これらの改正については、平成一一年四月一日から施行すること(改正法及び改正施行規則附則)。

二 留意事項

(一) ここでいう「大学」には短期大学を含む。

(二) 基準を満たす専門課程の修了者であれば、改正法の施行以前に修了した者についても編入学の対象となる。

(三) 各大学においては、編入学を希望する者が修了した専修学校の専門課程が基準を満たしていることについて、確認をした上で編入学の許可をすることとなるが、その確認に当たっては以下の方法が考えられる。

ア 各専修学校が発行する修業年限二年以上で、かつ、修了に必要な総授業時数が一七〇〇時間以上の専門課程を修了したことを証明する証明書を、編入学を希望する者から提出させる。

イ 平成六年六月二一日文部省告示第八四号の規定により専門士の称号の付与が認められた課程であれば、修業年限二年以上で、かつ、修了に必要な総授業時数が一七〇〇時間以上の専門課程であることを確認できる。ただし、平成六年以前に当該課程を修了した者については別途確認が必要である。

ウ 保健婦助産婦看護婦学校養成所指定規則(昭和二六年文部・厚生省令第一号)、診療放射線技師学校養成所指定規則(昭和二六年文部・厚生省令第四号)等に修業年限及び総授業時数が定められており、これにより、修業年限二年以上で、かつ、修了に必要な総授業時数が一七〇〇時間以上の専門課程であることを確認することも可能である。ただし、当該指定を受ける以前に当該課程を修了した者については別途確認が必要である。

エ ア〜ウにより難い場合には、当該専修学校を所管する都道府県または都道府県教育委員会(以下「所轄庁」という。)に照会することにより、当該課程が本件に係る基準を満たしていることを確認する。なお、関係書類の滅失等により所轄庁に照会しても確認が困難な場合があり得るが、この場合においても、編入学を希望する者からの修了証明書や成績証明書等によって判断するなどの方法により確認に努められたい。

(四) 編入学を希望する者が修了した専修学校の専門課程が基準を満たしていることを確認した上で、編入学の許可に当たっては、志願者が修了した専修学校の専門課程の学科の分野や履修内容について考慮することが必要である。

(五) 編入学した大学における修業年限から控除する期間を定める場合には、編入学者が十分な学修成果を得られるよう、専修学校における授業科目の履修状況などを考慮しながら、当該大学における教育を組織的・体系的に受けられるよう相当な期間を確保することが必要である。

第三 短期大学及び高等専門学校の専攻科の入学資格について

一 概要

(一) 高等専門学校の卒業者及び大学への編入学が認められた専修学校の専門課程の修了者が短期大学の専攻科に入学できることとなったこと(学校教育法施行規則第七〇条第二項)。

(二) 短期大学の卒業者及び大学への編入学が認められた専修学校の専門課程の修了者が高等専門学校の専攻科に入学できることとなったこと(学校教育法施行規則第七二条の五)。

(三) これらの改正については、平成一一年四月一日から施行すること(改正施行規則附則)。

二 留意事項

(一) 大学に編入学することができる基準を満たす専門課程の修了者であれば、改正規則の施行以前に修了した者についても専攻科の入学資格の対象となる。

(二) 短期大学又は高等専門学校の専攻科に入学を希望する者が、修了した専修学校の専門課程が大学に編入学することができる基準を満たしていることを確認する手続等については、第二に記述された大学への編入学に関する手続を参照すること。

第四 大学入学前に一定の単位を修得した者の修業年限の通算について

一 概要

(一) 大学の学生以外の者が、ある大学において一定の単位を修得した後に当該大学に入学する場合で、当該単位の修得により当該大学の教育課程の一部を履修したと認められるときは、その単位数等に応じて、相当期間を当該大学の修業年限の二分の一を超えない範囲で修業年限に通算することができることとなったこと。(学校教育法第五五条の二)。

(二) 本制度の適用は、科目等履修生として大学入学資格を有していた際に一定の単位を修得した者に対し、大学設置基準第三〇条第一項及び短期大学設置基準第一六条第一項の規定により当該大学に入学した後に修得したものとみなすことのできる単位数、単位の修得に要した期間その他大学が必要と認める事項を勘案して行うものであること(学校教育法施行規則第六八条の二)。

(三) これらの改正については平成一〇年一〇月一日から施行すること(改正法及び改正施行規則附則)。

二 留意事項

(一) ここでいう「大学」には短期大学を含む。

(二) 本制度の適用は、科目等履修生が当該大学に入学する場合に限られるものであり、他の大学において修得した単位については、修業年限の通算には反映されない。

また、高校生など大学入学資格を有しない者が科目等履修生として修得した単位については、修業年限の通算に反映されない。

(三) 修業年限の通算が認められるのは、「大学の教育課程の一部を履修したと認められる時」、すなわち授業科目の履修が体系的で、正規の学生と同様の教育効果を上げていると認められる場合に限られる。

(四) 修業年限に通算できる期間については、編入学の場合と同様、入学者が十分な学修成果を得られるように留意しつつ、各大学において適切に判断する必要がある。

また、修業年限の通算に当たっては、学校教育法第五五条第一項に規定された修業年限に配慮することが必要である。

第五 学位規則の一部を改正する省令関係

一 概要

(一) 学校教育法第六八条の二第三項第一号による学士の学位の授与に関し、短期大学若しくは高等専門学校を卒業した者に準ずる者として、専修学校の専門課程を修了した者のうち大学に編入学することができるものを追加したこと(学位規則第六条第一項関係)。

(二) この改正については、平成一一年四月一日から施行すること(改正学位規則附則)。

二 留意事項

 大学に編入学することができる基準を満たす専門課程を修了した者であれば、改正規則の施行以前に修了した者についても、学位授与機構の学士の学位授与の基礎資格を有すること。




Copyright© 執筆者,大阪教育法研究会