● 完全学校週5日制の実施について 平成14年3月4日 13文科初第1000号



                            13文科初第1000号
                            平成14年3月4日
各都道府県教育委員会 殿
                          文部科学事務次官
                                小 野 元 之

           完全学校週5日制の実施について(通知)

 平成11年3月29日付け文初高第457号で通知したとおり、平成14年4月1日から小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園において、全ての土曜日を休業日とする完全学校週5日制が実施されます。ついては、下記の事項に留意し、完全学校週5日制が円滑に実施されるようお願いします。
 なお、管下の学校、域内の市町村教育委員会、社会教育施設・団体等に対して、完全学校週5日制の趣旨について周知されるようお願いします。

                  記

1. 完全学校週5日制の趣旨
完全学校週5日制は、幼児、児童及び生徒(以下「児童等」という。)の家庭や地域社会での生活時間の比重を高めて、主体的に使える時間を増やし、「ゆとり」の中で、学校・家庭・地域社会が相互に連携しつつ、子どもたちに社会体験や自然体験などの様々な活動を経験させ、自ら学び自ら考える力や豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力などの「生きる力」をはぐくむものである。
 各教育委員会及び学校は、この趣旨の実現に向けた取組を一層充実すること。

2. 教育課程上及び学校運営上の対応
 各学校及び教育委員会においては、完全学校週5日制の実施に当たって、教育課程上及び学校運営上の対応について次の事項に留意すること。

(1)教育課程上の対応等
 @ 教育課程の編成・実施について
 各学校においては、平成14年4月1日から施行する改正後の学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)並びに完全学校週5日制の下での教育課程の基準である各学校段階での新しい学習指導要領(幼稚園教育要領及び盲学校、聾学校及び養護学校幼稚部教育要領を含む。)等に従い、完全学校週5日制の下、「ゆとり」の中で児童等一人一人に応じたきめ細かな指導を展開し、基礎・基本を確実に身に付けさせ、自ら学び自ら考える力や豊かな人間性、健康や体力などの「生きる力」を培うことを目指し、その教育課程を適切に編成し、実施すること。
 A 体験活動の充実等について
 各学校においては、完全学校週5日制の実施により学校外における体験活動の機会が充実することを踏まえ、これら活動との連携により、学校における体験活動の効果的な実施が図られるよう努めるとともに、その他学校教育の種々の面において学校外における体験活動の成果が生かされることとなるよう配慮すること。また、学校における体験活動が、児童等の学校外の自主的な活動を促進することとなるよう留意すること。

(2)学校運営上の対応
 各学校及び教育委員会においては、完全学校週5日制の下での学校運営について、以下の事項に留意しつつ適切に対応すること。
 @ 地域に開かれた学校づくりについて
 各学校及び教育委員会においては、家庭や地域とともに児童等を育てていくという視点に立って、以下を参考にしながら、地域や学校の実態に応じて地域に開かれた学校づくりを推進すること。
ア 教育活動について家庭や地域社会に説明し、理解を得ること。また、保護者や地域の人々との意志疎通を十分図ること。
 イ 学校支援ボランティアとして協力してもらうなど、保護者や地域の人々の支援を積極的に受け入れること。
 ウ 児童等を含めた地域住民が遊びやその他のスポーツ・文化活動等を行う場として活用できるよう、校庭、体育館、図書館、コンピュータ教室等の学校施設を積極的に開放するとともに、そのための条件整備に努めること。その際、施設利用者の安全確保に十分配慮すること。
 エ 休業日における遊びやその他のスポーツ・文化活動等の事業の実施については、休業日に保護者が家庭にいない幼児や低学年児童、障害のある児童等で保護者が希望するもの等への活動機会の提供に特に留意すること。その際、指導員の確保等についてボランティアなどの協力を求めるとともに、教員も必要に応じて適切に対応すること。

 A 学級経営及び生徒指導について
 各学校においては、学級経営及び生徒指導について、例えば、課題意識をもって自分の生活を組み立てることができるよう指導したり、児童等一人一人のやる気を育てる活動の場を設けたりするなど、児童等が自主的、主体的に学習や生活を行うことができるよう、学校や児童等の実態に配慮して一層の充実に努めること。その際、児童等の発達段階や実態に応じ、土曜日を含めた自由時間の過ごし方について日頃から考えさせるようにすることが大切であること。
 B 教員の勤務時間について
 各学校及び教育委員会においては、いわゆる「まとめ取り方式」の廃止により、長期休業期間に勤務を要する日が増えることを踏まえ、学校教育の一層の充実のため、長期休業期間中における教員の勤務時間の有効活用を図ること。
 C 教職員の研修等について
 各学校及び教育委員会においては、教員の研修や教材研究について、例えば、学習指導の改善を図るための校内授業研究会や情報交換会、教育の視野を広げるための研修を行うなど、その充実を図ること。その際、次の点に配慮すること。
ア 初任者研修、経験者研修等各種研修について、夏季休業日等を活用するなど、研修時間の確保・内容の充実に努めること。
 イ 研修の場や機会、研修に関する情報を提供するなど、教員の自主的・主体的研修を奨励・支援するよう努めること。
 ウ 教育公務員特例法第20条第2項に基づく研修については、勤務時間中に職務専念義務が免除されるものであり、給与上も有給の扱いとされていることなどを踏まえ、計画書や報告書の提出等により、研修内容の把握・確認を徹底すること。


3. 家庭や地域社会における対応等
(1)家庭や地域社会における児童等の活動等の充実について
 各教育委員会においては、放課後や土曜日・日曜日、長期休業期間において、児童等が主体的に活動することができるよう、様々な活動の場や機会などの整備について、次の事項に留意しつつ、家庭や地域の実態に即した取組を、より一層積極的に推進すること。
 @ 家庭教育の向上について
 「社会教育法の一部を改正する法律について」(平成13年7月11日、13文科生第279号)に留意しつつ、家庭教育に関する学習機会や情報の提供の充実、地域で子育てを支援する体制の整備など、家庭教育の向上のための諸施策の充実に努めること。
 A 体験活動等の充実について
 「学校教育及び社会教育における体験活動の促進について」(平成13年9月14日、13文科初第597号)に留意しつつ、ボランティア活動など社会奉仕体験活動、自然体験活動など様々な活動の場や機会を積極的に提供することにより、児童等が主体的に体験活動等に参加し、豊かな体験ができるように努めること。その際、障害のある児童等については、その社会参加を進め自立を図る観点に留意するとともに、休業日に保護者が家庭にいない児童等に対しても適切に配慮すること。
 B 児童等が利用できる場所の確保について
 学校施設の開放のほか、公民館、青少年教育施設等の社会教育施設や社会体育施設、文化施設など児童等が利用できる場所の確保に努めること。また、博物館・美術館等の土曜日の子ども向け無料開放についても配慮すること。
 C 児童等の安全確保について
 児童等の活動の場や機会の提供に当たっては、安全確保を十分に図るとともに、保険の利用などにも配慮すること。
 D 地域全体で児童等を育てる環境づくりについて
 児童等に対して活動の場や機会が提供される際には、地域の様々な人材が積極的に活用されることとなるよう努めるとともに、研修等を通じてこれらの人材の養成に努めること。また、児童等が利用できる場の確保や管理運営、児童等の健全育成について地域住民が主体的に関わるような取組を推進するなど、地域社会全体で児童等を育てる環境づくりに努めること。なお、教員は、地域住民の一人として地域社会の活動にボランティアとして参加したり、地域の児童等との接触を深めたりすることが期待されていることに留意すること。
 E 民間団体が実施する事業の情報提供と奨励について
 PTAなどの社会教育団体、青少年団体、スポーツ・文化団体、NPO、ボランティア団体、民間教育事業者等の民間団体が、完全学校週5日制の趣旨に即して実施する事業についての情報を学校や地域住民に積極的に提供するとともに、学校、社会教育施設をはじめ域内の施設の利用について便宜を図るなどの奨励方策を講じること。
 F 関係機関との連携・協力について
 平素から、民間団体、地域住民、学校、行政機関との連絡・協議を行うとともに、事業を企画・実施するに当たっては、適切な役割分担に留意しつつ、連携・協力を行うこと。特に、障害のある児童等については、積極的に福祉関係機関やボランティア団体、地域住民等と連携を図ること。

(2)家庭や地域社会に対する意識啓発について
 各学校及び教育委員会は、保護者や地域社会の人々に対し、完全学校週5日制の趣旨と家庭及び地域社会の役割についての意識の啓発に努め、家庭や地域社会の教育機能が十分に発揮されるよう努めること。その際、完全学校週5日制の実施が過度の学習塾通いにつながらないよう、保護者や学習塾関係者に対して理解と自粛を求めること。

(3)児童等の健全育成について
 各学校や教育委員会は、家庭及び地域社会と連携して、特に非行などの問題行動を誘発しないよう留意して、児童等の健全育成のために一層努力すること。


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                            13文科初第1000号
                            平成14年3月4日
附属学校を置く各国立大学長
国立久里浜養護学校長    殿
                          文部科学事務次官
                                小 野 元 之

          完全学校週5日制の実施について(通知)

 平成11年3月29日付け文初高第457号で通知したとおり、平成14年4月1日から小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園において、全ての土曜日を休業日とする完全学校週5日制が実施されることとなり、別紙写しのとおり各都道府県教育委員会あてに通知しました。
 ついては、附属学校を置く各国立大学長におかれては、管下の学校が完全学校週5日制の実施に取り組む際の参考となるよう周知方お願いします。
(別紙写し略)

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                            13文科初第1000号
                            平成14年3月4日
各都道府県知事  殿
                         文部科学事務次官
                               小 野 元 之

           完全学校週5日制の実施について(通知)

 平成11年3月29日付け文初高第457号で通知したとおり、平成14年4月1日から小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園において、全ての土曜日を休業日とする完全学校週5日制が実施されることとなり、別紙写しのとおり各都道府県教育委員会あてに通知しました。ついては、管下の学校法人及び私立学校に対して、完全学校週5日制の実施に取り組む際の参考となるよう、周知方お願いします。
 また、私立学校における完全学校週5日制の実施については、平成10年12月14日付け文初小第350号で、新しい学習指導要領が完全学校週5日制の下での教育課程の基準であることを十分踏まえその実施に向けての取り組み方について配慮をお願いするとともに、上記平成11年3月29日付け文初高第457号で、公立学校の休業日の改正を踏まえ学則において休業日を定めるよう依頼したところであります。しかしながら、私立学校における完全学校週5日制の導入については、現在のところ取り組みが十分進んでいるとは言えない状況も見られます。
 ついては、各都道府県知事におかれては、管下の学校法人及び私立学校に対して、完全学校週5日制の実施に積極的に取り組むよう、引き続き格段のご指導をお願いします。
(別紙写し略)

(初等中等教育局教育課程課)

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