● 薬物乱用防止教育の充実について 平成15年9月2日 15文科ス第213号



15文科ス第213号 平成15年9月2日
附属学校を置く各国立大学長、
各国公私立高等専門学校長、
国立久里浜養護学校長、各都道府県知事、
各都道府県教育委員会教育長 宛
文部科学省スポーツ・青少年局長(田中壮一郎)


        薬物乱用防止教育の充実について(通知)


 児童生徒の薬物乱用防止に関する取り組みについては、「児童生徒の覚せい剤等の薬物乱用防止について」(平成10年6月5日付け文体学第290号)において、薬物乱用防止五か年戦略(平成10年5月26日薬物乱用対策推進本部決定。以下「旧戦略」という。)を踏まえ、青少年の覚せい剤等の薬物乱用防止に関するより一層の指導の徹底を図るようお願いしているところであります。
 このたび、薬物乱用対策推進本部では、第三次覚せい剤乱用期の一刻も早い終息に向けて、別添のとおり「薬物乱用防止新五か年戦略」(以下「新戦略」という。)を決定しました。
 新戦略においては、旧戦略に基づく施策の結果、児童生徒の薬物乱用に一定の歯止めがかかっていると認められるものの、青少年、特に中学生及び高校生の覚せい剤事犯検挙者数は引き続き高い水準にあるなど、依然として厳しい情勢にあるという認識を示しております。
 こうした状況を踏まえ、新戦略においては、中学生及び高校生を中心に薬物乱用の危険性の啓発を継続するなど、青少年による薬物乱用の根絶を目指すことを目標の一つに掲げ、学校における薬物乱用防止教育を一層推進することを求めております。
 ついては、貴職におかれては、このたびの「薬物乱用防止新五か年戦略」を踏まえつつ下記事項に留意するとともに、管下の市区町村教育委員会、学校等の関係機関に対して本内容の周知を図り、青少年の薬物乱用防止に関するより一層の指導の徹底を図られますようお願いいたします。


                   記


1 学校においては、児童生徒への薬物乱用防止教育の充実のため、「体育」、「保健体育」、「道徳」、「特別活動」における指導に加え、「総合的な学習の時間」の例示として示されている「健康」に関する横断的・総合的な課題についての学習活動等も活用しながら、学校の教育活動全体を通じて指導すること。

2 すべての中学校及び高等学校において、年に1回は薬物乱用防止教室を開催するよう努めるとともに、地域の実情に応じて小学校においても薬物乱用防止教室の開催に努め、警察職員、麻薬取締官OB、学校薬剤師等の協力を得つつ、その指導の一層の充実を図ること。

3 地方公共団体においては、児童生徒に正しい知識を習得させるため、薬物乱用防止に関する児童生徒用教材、教師用指導資料等を、適宜作成・配布するよう努めること。

4 地方公共団体においては、国、地方公共団体等において作成・配付した教材等の活用の促進を図るための周知に努めるとともに、教材等の使用について関係機関との連携の充実を図ること。

5 効果的な実践のための指導の充実を図るため、教員や薬物乱用防止教室の指導者に対する効果的な研修の機会の拡充を図ること。

6 児童生徒等の薬物等の認識の定着、薬物乱用の実態等について定期的に調査分析を実施すること。

7 学校警察連絡協議会等において、少年の薬物乱用の実態、薬物の有害性・危険性等について情報提供を行うとともに、薬物乱用を把握した場合の早期連絡の要請等、学校関係者等との連携を一層強化すること。


(本件照会先)
文部科学省スポーツ・青少年局
学校健康教育課 03-5253-4111(代表)
学校保健係 (内線2918)

(参考)
・薬物乱用防止新五か年戦略のポイント
・薬物乱用の防止について(略)

(スポーツ・青少年局学校健康教育課)
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        薬物乱用防止新五か年戦略のポイント

                              薬物乱用対策推進本部

1.人に対する対応(需要面)
・青少年による薬物乱用の根絶を目指し、中・高校生に対する啓発を引き続き推進、児童生徒以外の青少年に対する啓発活動を充実強化。
・末端乱用者に対する取締りの徹底。
・薬物依存・中毒者の治療の充実、社会復帰、家族を支援する視点の重視。

2.密売組織等に対する対応(供給面)
・暴力団、外国人等の薬物密売組織壊滅に向けた取締り徹底。
・携帯電話やインターネットを使用した密売方法の巧妙化・潜在化に適切に対処。
・錠剤型合成麻薬など多様化する乱用薬物に適切に対処。

3.水際情勢に対する一層厳正な対応
・中国・北朝鮮ルート等海路による薬物の密輸入に対し厳正に対処。

4.指標の設定
・個々の目標に関する状況を表す指標をできる限り設定し、毎年度これらの指標の動向を分析。





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