● 登下校時における児童生徒の安全確保のための路線バス等の活用について 平成18年2月17日 17文科ス第423号



17文科ス第423号 平成18年2月17日
各都道府県・指定都市教育委員会教育長 殿
文部科学省初等中等教育局長(銭谷眞美)
文部科学省スポーツ・青少年局長(素川富司)


      登下校時における児童生徒の安全確保のための
        路線バス等の活用について(通知)


 登下校時における児童生徒の安全確保については,昨年11月の広島市及び12月の今市市における事件を踏まえ,「登下校時における幼児児童生徒の安全確保について」(平成17年12月6日17文科ス第333号),「犯罪から子どもを守るための対策について」(平成17年12月22日17ス学健第15号)等に基づき,安全管理の徹底等に取り組まれるよう,お願いしているところです。
 昨年12月に政府が取りまとめた「犯罪から子どもを守るための対策」においては,緊急に対策を講ずべき施策として「路線バスを活用した通学時の安全確保」が掲げられております。
 この決定を受け,文部科学省では,警察庁,総務省及び国土交通省と登下校時における安全確保のための路線バス等の活用方策について検討を進めてきたところですが,この度,別紙のとおり,路線バス等をスクールバスとして活用するための基本的な考え方と具体的な取組方策について取りまとめました。
 つきましては,各地方公共団体におかれては,別紙を参考に,地域の実情等を踏まえて,路線バス等をスクールバスとして活用することについて,登下校時における安全確保の方策の一つとして御検討くださいますようお願いいたします。
 また,都道府県教育委員会におかれては,域内の市町村教育委員会に対して周知していただくとともに,適切な対応がなされるよう御指導をお願いいたします。
 なお,本件については,警察庁,総務省及び国土交通省と協議の上,本日付けで,警察庁においては「路線バス等を活用した通学時の安全確保について」(別添1)を各都道府県警察の長等に対して,総務省においては「登下校時における児童生徒の安全確保のための路線バス等の活用について」(別添2)を各都道府県総務担当部長等に対して,また,国土交通省においては「登下校時における児童生徒の安全確保のための路線バス等の活用について」(別添3)を各地方運輸局等に対して,通知することとしていますので申し添えます。


(スポーツ・青少年局学校健康教育課)


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別紙

        路線バス等をスクールバスとして活用するための
         基本的な考え方と具体的な取組方策について

1.基本的な考え方
 児童生徒の登下校時の安全確保のため,スクールバスによる通学方法を採用することは一つの有効な方法であると考えられる。
 この観点からは,地域の実情等を踏まえ,路線バス等をスクールバスとして活用することにより,登下校時における一層の安全確保を図ることも一つの方策として考えられるところである。
 以下は,スクールバスによる通学方法に係る地方公共団体の選択肢を広げる観点から示したものであり,路線バス等を活用する場合以外の方法についても,遠距離通学用に運行されているスクールバスを安全確保の観点から活用する等,地域の実情等を踏まえ,各地方公共団体において登下校時の安全確保に積極的に取り組まれることが望まれる。

(1)路線バス等のスクールバスとしての活用方法
 路線バス等をスクールバスとして活用する方法としては,
@ 既存の路線バスを活用し,登下校時に児童生徒が通学に利用すること
A 路線バス会社に委託し,登下校時にその車両をスクールバスとして運行すること等,様々な場合が考えられる。
 路線バス等をスクールバスとして活用する場合には,児童生徒が自宅と学校との間を安全に通学できる環境整備が必要であり,そのためには,地域の実情,学校や保護者の要望を踏まえ,運行ルート,運行回数,運行時間,停留所等を設定することが重要となる。

(2)協議会の設置と協議会を活用した合意形成に基づく迅速な対応
 地方公共団体においては,通学時の安全を確保するために路線バス等をスクールバスとして活用する方策等について,地域のニーズを迅速かつ効率的に把握するとともに,合意形成を促進するためには,地域の関係者が集まり協議する「安全な登下校のための路線バス等の活用に関する協議会」(以下単に「協議会」という。)を設置することが一つの方策として考えられる。(後述2.参照)
 協議会における合意事項については,必要な諸手続について処理の迅速化を図ることが関係省庁間で確認されており,各関係機関に対してその旨の通知がなされている。

2.「安全な登下校のための路線バス等の活用に関する協議会」の概要
 協議会は,必要に応じて,各地方公共団体が自主的な判断に基づき設置するものであるが,以下は,協議会の構成員や協議事項等を参考例として示したものである。
 各地方公共団体におかれては,これを参考として,地域の状況等を踏まえ,協議会を運営していただきたい。
 協議会については,概ね次のようなものが想定される。

(1)協議会の主宰者等
 一又は複数の地方公共団体が共同で主宰し,庶務は関係地方公共団体の教育委員会で処理する。

(2)協議会の目的
 通学時の安全を確保するため,路線バス等をスクールバスとして活用する方策等について検討する。

(3)構成員
 原則として,以下の者又はその指名する職員により構成し,必要があると認めるときは,その他の者を構成員に加えることができる。
 議長は,原則として,関係地方公共団体の教育長とする。
 関係地方公共団体の教育長
 関係学校長
 関係学校の保護者の代表
 地域住民の代表
 関係地方運輸局長又は関係地方運輸支局長
 一般乗合旅客自動車運送事業者等関係事業者(貸切バス事業者,タクシー事業者 等)
 都道府県警察(所轄警察署)
 関係地方公共団体の交通対策担当
 道路管理者
 その他必要に応じて 学識経験者 等

(4)協議事項
 協議会においては,主として次の事項について協議するものとする。
@ 地域の実態に応じた路線バス等のスクールバスとしての活用方策
・通学路における危険箇所等を踏まえた路線バス等をスクールバスとして活用する範囲及び形態
・運行ルート,運行回数,運行時間,運行期間,フリー乗降区間 等
・スクールバスとして活用する路線バス等の運行主体
・運賃(徴収するか否かを含む)
・事故発生時の損害賠償措置
・運営管理体制(運営経費及び費用負担を含む)
・緊急時の連絡体制 等
A 協議会の協議結果に基づいて路線バス等のスクールバスとしての活用内容を変更する場合についてはその変更事項
B 又は廃止する場合の手続き


(5)留意事項
 路線バス等を活用した通学時の安全確保策について既に別途協議している場合には,既存の協議の枠組みを活用することができる。

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(参考)

        協議会を通じた合意形成による路線バス等を活用した
             通学時の安全確保の早期実現

◇ 路線バス等を通学時にスクールバスとして活用することは、児童生徒の通学時の安全確保のための1つの有効な方策
(想定される様々なケース)
 ○ 既存の路線バスを活用し、登下校時に児童生徒が通学に利用するケース
 ○ 路線バス会社に委託し、登下校時に路線バスの車両をスクールバスとして運行するケース 等

◇ 路線バス等をスクールバスとして活用するには、地域の実情に応じて、運行ルート等の様々な点を設定することが必要
 路線バス等を活用し、児童生徒が自宅と学校との間を安全に通学できる環境整備が必要。
    ↓↓↓
 運行ルート(迂回路等)、運行回数、運行時間、停留所、フリー乗降区間等を地域の実情等を踏まえて設定することが重要。

◇ 協議会を設置し、関係者間の合意形成を図ることにより、地域の実情に応じた迅速な対応が可能に
 「安全な登下校のための路線バス等の活用に関する協議会」の設置
 ○地方公共団体が設置(教育委員会において庶務を行う)
 ○構成員:教育長(議長)、学校の校長、保護者の代表、地域住民の代表、
      バス事業者等、地方運輸局、都道府県警、道路管理者等

合意形成を促進
  ↓↓↓         路線バス等をスクールバス
協議会における合意形成 → として活用するために必要
              な諸手続の弾力的取扱・迅
              速な処理

    地域の実情に応じた財政的支援
         ↓↓↓
    地域の実情や学校・保護者の要望を踏まえた
    路線バス等を活用した安全確保策の早期実現


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別添1

警察庁丁生企発第71号、丁規発第9号 平成18年2月17日
警視庁生活安全部長、警視庁交通部長、各道府県警察本部長 殿
(参考送付先)各管区警察局広域調整部長
警察庁生活安全局生活安全企画課長、警察庁交通局交通規制課長
原義保存期間3年(平成21年12月31日まで)


        路線バス等を活用した通学時の安全確保について


 標記については、先般、「「犯罪から子どもを守るための対策に関する関係省庁連絡会議」決定に係る各種対策の推進について」(平成17年12月22日付け警察庁丁生企発第437号、丁少発第330号、丁情対発第106号、丁規発第72号)により通知したところであるが、その具体的な推進方策について、警察庁、総務省、文部科学省及び国土交通省の協議が調ったので、下記により対応することとされたい。
 なお、文部科学省初等中等教育局長、スポーツ・青少年局長から各都道府県・指定都市教育委員会教育長に対して「登下校時における児童生徒の安全確保のための路線バス等の活用について」の通知が発出されているので、参考までに添付する。

                   記

1  安全な登下校のための路線バス等の活用に関する協議会への参画
 安全な登下校のための路線バス等の活用に関する協議会(以下「協議会」という。)とは、通学時の安全を確保する観点から、路線バス等をスクールバスとして活用する方法等について、地域の教育委員会、学校等の関係者が協議する目的で設置されるものである。
 したがって、都道府県警察においては、同協議会の構成員として積極的に参画し、防犯上、交通管理上の観点から適切な助言、情報提供を行うとともに、当該スクールバスの安全、かつ円滑な運行を確保し、迅速に路線バスをスクールバスとして活用できるよう所要の措置を講ずる必要がある。

2  路線バス等をスクールバスとして活用するための所要の措置
(1) 防犯上の措置
 ア 防犯に配意した運行形態の検討
 路線バス等をスクールバスとして活用するため、運行ルートや停留所等の運行形態の変更を行う場合には、協議会の場において、子どもに対する犯罪や声かけ事案等の発生状況のほか、利用する学童の帰宅ルート、道路や周囲の環境等を勘案し、適切な運行が確保されるよう、防犯上の観点からも検討すること。
 イ 通学路や通学時間帯を考慮した警戒活動と地域住民等との連携
 スクールバスの運行形態を把握し、通学路や通学時間帯を踏まえた警戒活動に努めるほか、「通学路等における子どもの犯罪被害を防止するための諸対策の徹底について」(平成17年12月6日付け警察庁生企発第107号、丙少発第44号)に従い、学校、PTA、防犯ボランティア団体、地域住民等と連携し、通学路等の点検・改善を行うほか、自主防犯パトロールの支援など、子どもの安全に配慮した対策を推進すること。

(2) 交通管理上の措置
 ア 交通規制の見直し等
 路線バス等をスクールバスとして活用するに際し、スクールゾーンなど、車両通行禁止等の規制を実施している道路を通行する必要がある場合は、当該バスが通行することについての安全性を考慮した上で、必要に応じて交通規制の見直しを図ること。
 なお、規制の見直しが可能である場合に、スクールバスの活用の開始を要望する時期までに標識・標示の設置等の措置が間に合わないおそれがある場合には、措置がなされるまでの間、暫定的に通行許可で対応するなど、適宜適切な対応に配慮し、迅速にスクールバスの活用が実現できるように努めること。
 イ 都道府県公安委員会に対する意見聴取への対応
 路線バスをスクールバスとして活用する形態の中には、道路運送法第15条第1項の規定に基づく事業計画の変更に係る国土交通大臣の認可が必要となるものも想定され、この場合、あらためて地方運輸支局長から都道府県公安委員会に対して意見聴取がなされるのが通例であるが、協議会の設置目的にかんがみ、意見聴取に係る事項については協議会において検討するものとし、意見聴取については省略すること。
 ウ 停留所及びフリー乗降区間等の設置への対応
 一般乗合旅客自動車運送事業者が、停留所の位置、フリー乗降区間の設定等に係る事業計画の変更を行おうとする場合の対応についてもイに準じて対応すること。

3  その他
 協議会の参画要請等への対応については、窓口を生活安全部門に一元化することとするが、協議会への参画に当たっては、生活安全部門と交通部門の両部門においてその取り組み等につき事前に十分連携を図ること。


(本件担当)
生活安全局生活安全企画課 藤間警視
交通局交通規制課 森前警部


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別添2

総官企第56号、総財調第5号 平成18年2月17日
各都道府県総務担当部長殿、企画担当部長殿
(財政担当課、市町村担当課扱)
総務省大臣官房企画課長、総務省自治財政局調整課長


  登下校時における児童生徒の安全確保のための路線バス等の活用について


 登下校時における児童生徒の安全確保については、昨年12月に政府が取りまとめた「犯罪から子どもを守るための対策」において、緊急に対策を講ずべき施策として「路線バスを活用した通学時の安全確保」が掲げられております。
 この決定を受け、文部科学省、警察庁、国土交通省及び総務省では、登下校時における安全確保のための路線バス等の活用方策について検討を進めてきたところですが、この度、路線バス等をスクールバスとして活用するための基本的な考え方と具体的な取組方策について、別紙のとおり取りまとめました。
 つきましては、各地方公共団体におかれては、教育担当部局等とも連携をとり、地域の実情等を踏まえて、路線バス等をスクールバスとして活用することについて登下校時における安全確保の方策の一つとして御検討いただければ幸甚に存じます。
 また、貴都道府県内の市町村に対してもその趣旨を御連絡いただけるようお願い申し上げます。
 なお、スクールバスの運営に要する経費及び生活路線バスの維持に要する経費については、所要の地方財政措置が講じられているところでありますが、路線バス等をスクールバスとして活用するために必要な費用に係る地方財政措置につきましては、地域における具体的な取組み状況を踏まえ検討することとしております。



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別添3

国自旅第237号 平成18年2月17日
各地方運輸局自動車交通部長殿
沖縄総合事務局運輸部長殿
自動車交通局旅客課長


  登下校時における児童生徒の安全確保のための路線バス等の活用について


 登下校時における児童生徒の安全確保については、昨年11月の広島市及び12月の今市市における事件を踏まえ、「犯罪から子どもを守るための対策(平成17年12月20日関係省庁連絡会議決定)」に基づき、「犯罪から子どもを守るための対策策定に係る路線バスを活用した通学時の安全確保について(平成17年12月21日付事務連絡)」にて関係自治体の意向調査等を進めているところである。
 今般、「路線バスを活用した通学時の安全確保」に係る具体的な対応方策について、文部科学省、国土交通省、総務省、警察庁で、路線バス等をスクールバスとして活用するための基本的な考え方と具体的な取組方策について別紙の通り取りまとめ、「安全な登下校のための路線バス等の活用に関する協議会」(以下、「協議会」という。)において合意形成された事項に係る道路運送法上の許認可等の手続きについては、標準処理期間の短縮等弾力的な取扱いを行うとともに、学校関係者等からの要請に基づいた申請事案についても可能な限り迅速に処理することにより、地域のニーズに対応した通学路の安全確保の構築を支援していくこととしたところである。
 各地方運輸局等においては、本趣旨を十分理解頂き、各地域に設置される協議会に積極的に参画するとともに、上記取扱いについて遺漏なきを期されたい。
 なお、本件については、文部科学省、総務省及び警察庁と調整済みであるとともに、社団法人日本バス協会会長及び社団法人全国乗用自動車連合会会長あてに別添のとおり通知したので申し添える。





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