● 平成18年度に高等学校の最終年次に在学する必履修科目未履修の生徒の卒業認定等について 平成18年11月2日 18文科初第757号



18文科初第757号 平成18年11月2日
各都道府県教育委員会教育長、各指定都市教育委員会教育長、
各都道府県知事、附属学校を置く各国立大学法人学長 宛
文部科学省初等中等教育局長(銭谷眞美)


         平成18年度に高等学校の最終年次に在学する
       必履修科目未履修の生徒の卒業認定等について(依命通知)


 このたび高等学校において、高等学校学習指導要領の規定により、すべての生徒に履修させる各科目(以下「必履修科目」という。)を生徒に履修させないなど、学習指導要領に反する事例が判明したことは、極めて遺憾であります。
 このことにより、平成18年度に高等学校の最終年次に在学し、必履修科目を履修していない生徒の卒業認定が困難な事態となっていますが、未履修が本人の責めに帰すべきではないことから、既履修の生徒との均衡を図り、下記1のように取り扱うこととしましたので、文部科学大臣の命により通知します。
 また、必履修科目を未履修で既に高等学校を卒業した者の卒業認定については下記2、平成19年度の大学入学者選抜における調査書については下記3、のように取り扱うこととします。
 都道府県・指定都市教育委員会は、所管の学校及び域内の市区町村教育委員会等に対し、都道府県知事にあっては所轄の私立学校に対し、国立大学法人学長にあってはその管下の附属学校に対し、これらの趣旨について周知を図るようお願いします。
 なお、本件に関しては、平成19年度の大学入学者選抜における調査書の取扱い等について、平成18年11月2日別添のとおり各国公私立大学長及び各都道府県知事あて、文部科学省高等教育局長及び同生涯学習政策局長通知が発出されていることを申し添えます。


                  記


1 平成18年度に高等学校の最終年次に在学する生徒の取扱いについて

 各学校長は、学校教育法第51条(第28条第3項の準用)並びに学校教育法施行規則第63条の2及び第65条(第28条の準用)の規定に基づく生徒の卒業認定権限により、必履修科目が未履修の生徒の、当該科目の履修について弾力的に対処できるものであること。
 具体的には、平成18年度に高等学校の最終年次に在学する生徒の卒業認定を行うに当たっては、各学校長が定める教務規程等において、下記イ及びロにより、科目の履修を弾力的に行い、生徒の進学、就職等に不利益が生じないよう配慮すること。

イ 未履修科目の履修にかかる総授業時間数が70単位時間以下の場合
 必要に応じ放課後並びに冬季及び学年末等における休業日なども活用して、当該総授業時間数分の授業を実施すること。この場合において、一般的に、教務規程等において総授業時間数の3分の2以上の授業への出席で履修を認定するとされていることを考慮し、その範囲内で授業時間数を減じ(例えば、70単位時間の場合は20単位時間を減じた50単位時間程度)、レポートの提出等により履修したものとすることができること。

ロ 未履修科目の履修にかかる総授業時間数が70単位時間を超える場合
 70単位時間を未履修の各科目の特性等に応じて時間を割り振って授業を実施すること。総授業時間数から70単位時間を控除した残余の授業時間数については、これを免除し、レポートの提出等により履修したものとすることができること。

2 既に高等学校を卒業した者の取扱いについて

 必履修科目を未履修で既に高等学校を卒業した者については、下記イ及びロの理由から、各学校長において当該者の卒業認定を取り消す必要はないこと。

イ 上記のとおり卒業認定は学校教育法等の規定に基づく各学校長の権限であること。

ロ 未履修で既に高等学校を卒業した者については、未履修が本人の責めに帰すべきものではなく、取り消すことにより当該者に不利益を被らせることは適当ではないこと。

3 平成19年度大学入学者選抜における調査書の取扱いについて

 各高等学校は、平成18年度に高等学校の最終年次に在学する必履修科目が未履修の生徒及び必履修科目を未履修で既に高等学校を卒業した者が大学へ出願した後にあっては、未履修科目名等を出願先の大学に早急に連絡すること。また、出願前にあっては、調査書にその事実を明記すること。

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別添

18文科高第427号 平成18年11月2日
各国公私立大学長、各都道府県知事 宛
文部科学省高等教育局長(清水潔)
文部科学省生涯学習政策局長(田中壮一郎)


      平成19年度大学入学者選抜における調査書の取扱い等について(通知)


 このたび高等学校において、高等学校学習指導要領の規定により、すべての生徒に履修させる各科目(以下「必履修科目」という。)を生徒に履修させないなど、学習指導要領に反する事例が判明しました。
 この件について、平成18年11月2日別添のとおり各都道府県教育委員会教育長、各指定都市教育委員会教育長、各都道府県知事、附属学校を置く各国立大学法人学長あて、文部科学省初等中等教育局長依命通知が発出されていますが、これに関連して平成19年度大学入学者選抜における調査書について下記1、既に高等学校を卒業した者の大学等の入学資格については下記2、のように取り扱うこととします。
 国公私立大学長にあっては、関係ある事項について十分御了知の上、遺漏のないようお取り計らいください。また、都道府県知事にあっては、所轄の専修学校に対してこれらの趣旨について周知を図るようお願いします。


                  記


1 平成19年度大学入学者選抜における調査書の取扱いについて

 各大学は、推薦入学等を含めた平成19年度入学者選抜の調査書について、別添通知の記1及び2を踏まえ、出願受付及び合否の判定に当たり、平成18年度に高等学校の最終年次に在学する必履修科目が未履修の生徒及び必履修科目を未履修で既に高等学校を卒業した者を、未履修科目があることをもって不利益に取り扱うことのないよう配慮すること。また、既に合格判定がなされている場合にあっても同様であること。
 また、各専修学校も、この趣旨を踏まえ適切に配慮すること。

2 既に高等学校を卒業した者の大学等の入学資格の取扱いについて

 必履修科目を未履修で既に高等学校を卒業した者については、別添通知の記2により、各学校長において当該者の卒業認定を取り消す必要はないこととして取り扱われるため、当該者の大学及び専修学校専門課程の入学資格については影響を生じないこと。




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