● 学校教育法等の一部を改正する法律について(教育目標、副校長等の設置、学校評価関係) 平成19年7月31日 19文科初第536号



19文科初第536号 平成19年7月31日
各都道府県教育委員会、各指定都市教育委員会、各都道府県知事、
各指定都市市長、各国公私立大学長、各国公私立高等専門学校長、
大学を設置する各地方公共団体の長、各公立大学法人の理事長、
独立行政法人国立高等専門学校機構理事長、
大学又は高等専門学校を設置する各学校法人の理事長、
大学を設置する各学校設置会社の代表取締役、
放送大学学園理事長、国立教育政策研究所長、
独立行政法人国立特別支援教育総合研究所理事長、
独立行政法人教員研修センター理事長、
独立行政法人大学評価・学位授与機構長 宛
文部科学事務次官(銭谷眞美)


      学校教育法等の一部を改正する法律について(通知)


 このたび、「学校教育法等の一部を改正する法律(平成19年法律第96号)」(以下「改正法」という。)が平成19年6月27日に公布されました。
 このことについては、「学校教育法等の一部を改正する法律、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律及び教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律の公布について」(平成19年7月5日付け19文科初第449号文部科学事務次官通知)において既に通知したところですが、今回の改正の趣旨は、改正教育基本法において明確にされた教育理念に基づき、義務教育の目標を定め、各学校種の目的及び教育の目標を見直すとともに、学校の組織運営体制及び指導体制の充実を図るため、学校に置くことのできる職として新たに副校長等を設ける等により、学校教育の一層の充実を図るものであります。
 改正の概要及び留意事項は下記のとおりですので、関係する規定の整備等事務処理上遺漏のないよう願います。
 また、各都道府県教育委員会におかれては、域内の市町村教育委員会及び所管の学校その他の教育機関に対して、各都道府県知事におかれては、所轄の学校及び学校法人等に対して、国立大学長におかれては、その管下の学校に対して、本改正の周知を図るとともに、適切な事務処理が図られるよう配慮願います。
 なお、改正法は、関係資料と併せて文部科学省のホームページに掲載しておりますので、御参照ください。また、関係する政省令等の改正については、追ってこれを行い、別途通知する予定ですので、予め御承知おき願います。


                   記


第一 改正法の概要

第1 学校の種類ごとの目的及び教育の目標等に関する学校教育法等の一部改正

一 義務教育に関する事項
1 義務教育の期間
 保護者は、子に9年の普通教育を受けさせる義務を負うものとしたこと。(第16条)
2 義務教育の目標
 義務教育として行われる普通教育は、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとしたこと。(第21条)
(1)学校内外における社会的活動を促進し、自主、自律及び協同の精神、規範意識、公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
(2)学校内外における自然体験活動を促進し、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。
(3)我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うとともに、進んで外国の文化の理解を通じて、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
(4)家族と家庭の役割、生活に必要な衣、食、住、情報、産業その他の事項について基礎的な理解と技能を養うこと。
(5)読書に親しませ、生活に必要な国語を正しく理解し、使用する基礎的な能力を養うこと。
(6)生活に必要な数量的な関係を正しく理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。
(7)生活にかかわる自然現象について、観察及び実験を通じて、科学的に理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。
(8)健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養うとともに、運動を通じて体力を養い、心身の調和的発達を図ること。
(9)生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸その他の芸術について基礎的な理解と技能を養うこと。
(10)職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。

二 幼稚園に関する事項
1 幼稚園は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とするものとしたこと。(第22条)
2 幼稚園における教育は、1の目的を実現するため、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとしたこと。(第23条)
(1)健康、安全で幸福な生活のために必要な基本的な習慣を養い、身体諸機能の調和的発達を図ること。
(2)集団生活を通じて、喜んでこれに参加する態度を養うとともに家族や身近な人への信頼感を深め、自主、自律及び協同の精神並びに規範意識の芽生えを養うこと。
(3)身近な社会生活、生命及び自然に対する興味を養い、それらに対する正しい理解と態度及び思考力の芽生えを養うこと。
(4)日常の会話や、絵本、童話等に親しむことを通じて、言葉の使い方を正しく導くとともに、相手の話を理解しようとする態度を養うこと。
(5)音楽、身体による表現、造形等に親しむことを通じて、豊かな感性と表現力の芽生えを養うこと。
3 幼稚園においては、保護者及び地域住民その他の関係者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行うなど、家庭及び地域における幼児期の教育の支援に努めるものとしたこと。(第24条)
4 幼稚園の教育課程その他の保育内容に関する事項は、二の1及び2に従い、文部科学大臣が定めるものとしたこと。(第25条)

三 小学校に関する事項
1 小学校は、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育のうち基礎的なものを施すことを目的とするものとしたこと。(第29条)
2 小学校における教育は、1に定める目的を実現するために必要な程度において一の2に定める義務教育の目標を達成するよう行われるものとしたこと。(第30条第1項)
3 2の場合においては、生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、基礎的な知識及び技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくみ、主体的に学習に取り組む態度を養うことに、特に意を用いなければならないものとしたこと。(第30条第2項)
4 「教科」を「教育課程」に改めたこと。(第33条)

四 中学校に関する事項
1 中学校は、小学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育を施すことを目的とするものとしたこと。(第45条)
2 中学校における教育は、1に定める目的を実現するため、一の2に定める義務教育の目標を達成するよう行われるものとしたこと。(第46条)
3 三の4と同様に用語を改めるとともに、三の3に定める規定は、中学校に準用することとしたこと。(第48条及び第49条)

五 高等学校に関する事項
1 高等学校は、中学校における教育の基礎の上に、心身の発達及び進路に応じて、高度な普通教育及び専門教育を施すことを目的とするものとしたこと。(第50条)
2 高等学校における教育は、1に定める目的を実現するため、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとしたこと。(第51条)
(1)義務教育として行われる普通教育の成果を更に発展拡充させて、豊かな人間性、創造性及び健やかな身体を養い、国家及び社会の形成者として必要な資質を養うこと。
(2)社会において果たさなければならない使命の自覚に基づき、個性に応じて将来の進路を決定させ、一般的な教養を高め、専門的な知識、技術及び技能を習得させること。
(3)個性の確立に努めるとともに、社会について、広く深い理解と健全な批判力を養い、社会の発展に寄与する態度を養うこと。
3 三の4と同様に用語を改めるとともに、三の3に定める規定は、高等学校に準用することとしたこと。(第52条及び第62条)

六 中等教育学校に関する事項
 中等教育学校については、中学校及び高等学校に準じて、同様の改正を行ったこと。(第7章)

七 特別支援教育に関する事項
1 特別支援学校については、引き続き、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とするものとしたこと。(第72条)
2 二の4、三の4と同様の改正を行ったこと。(第77条)

八 学校の評価及び情報提供に関する事項
1 幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校は、文部科学大臣の定めるところにより当該学校の教育活動その他の学校運営の状況について評価を行い、その結果に基づき学校運営の改善を図るため必要な措置を講ずることにより、その教育水準の向上に努めるものとしたこと。(第42条(第28条、第49条、第62条、第70条第1項、第82条で準用する場合を含む。))
2 幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校は、当該学校に関する保護者及び地域住民その他の関係者の理解を深めるとともに、これらの者との連携及び協力の推進に資するため、当該学校の教育活動その他の学校運営の状況に関する情報を積極的に提供するものとしたこと。(第43条(第28条、第49条、第62条、第70条第1項、第82条で準用する場合を含む。))

九 大学に関する事項
1 大学は、教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとしたこと。(第83条第2項)
2 大学は、文部科学大臣の定めるところにより、当該大学の学生以外の者を対象とした特別の課程を編成し、これを修了した者に対し、修了の事実を証する証明書を交付できるものとしたこと。(第105条)
3 大学は、教育研究の成果の普及及び活用の促進に資するため、その教育研究活動の状況を公表するものとしたこと。(第113条)

十 高等専門学校に関する事項
1 高等専門学校について、九の1に定める大学の規定に合わせ、同様の改正を行うとともに、九の2及び3に定める規定は、高等専門学校に準用することとしたこと。(第115条第2項及び第123条)
2 公立大学法人が高等専門学校を設置できることとしたこと。(附則第5条及び地方独立行政法人法第21条)

十一 専修学校・各種学校に関する事項
 八の1及び2に定める規定は専修学校及び各種学校に、九の2に定める規定は専門課程を置く専修学校に準用することとしたこと。(第133条及び第134条第2項)

十二 その他
 義務教育について、新たに章を設けるとともに、学校教育法に規定する学校種の順序について、教育を受ける者の発達段階等を踏まえ、幼稚園から規定することとしたこと。


第2 副校長その他の職の設置に関する学校教育法等の一部改正

1 学校教育法の一部改正
(1)小学校に、副校長、主幹教諭及び指導教諭(以下「副校長等」という。)を置くことができることとし、これらの職務を次のように定めたこと。(第37条第2項)
 @ 副校長は、校長を助け、命を受けて校務をつかさどること。(同条第5項)
 A 主幹教諭は、校長、副校長及び教頭を助け、命を受けて校務の一部を整理し、並びに児童の教育等をつかさどること。(同条第9項)
 B 指導教諭は、児童の教育をつかさどり、並びに教諭その他の職員に対して、教育指導の改善及び充実のために必要な指導及び助言を行うこと。(同条第10項)
(2)学校の実情に照らし必要があると認めるときは、校長、副校長及び教頭を助け、命を受けて校務の一部を整理し、並びに児童の養護又は栄養の指導及び管理をつかさどる主幹教諭を置くことができることとしたこと。(同条第19項)
(3)副校長を置くときは教頭を、養護をつかさどる主幹教諭を置くときは養護教諭を、それぞれ置かないことができることとしたこと。(同条第3項)
(4)副校長は、校長に事故があるときはその職務を代理し、校長が欠けたときはその職務を行うこととし、この場合において、副校長が二人以上あるときは、あらかじめ校長が定めた順序で、その職務を代理し、又は行うこととしたこと。(同条第6項)
(5)幼稚園に、副園長、主幹教諭及び指導教諭を置くことができることとし、第37条第6項、第8項及び第12項から第17項までの規定は、幼稚園に準用することとしたこと。(第27条第2項及び第28条)
(6)第37条の規定は、中学校に準用することとしたこと。(第49条)
(7)高等学校に、副校長、主幹教諭及び指導教諭を置くことができることとするとともに、副校長を置くときは教頭を置かないことができることとしたこと。(第60条第2項及び第3項)
(8)高等学校に、全日制の課程、定時制の課程又は通信制の課程のうち二以上の課程を置くときは、命を受けて当該課程に関する校務をつかさどる副校長が置かれる一の課程については、当該課程に関する校務を分担して整理する教頭を置かなくてもよいこととしたこと。(第61条)
(9)第37条第4項から第17項まで及び第19項の規定は、高等学校に準用することとしたこと。(第62条)
(10)中等教育学校に、副校長、主幹教諭及び指導教諭を置くことができることとするとともに、副校長を置くときは教頭を、養護をつかさどる主幹教諭を置くときは養護教諭を、それぞれ置かないことができることとしたこと。(第69条第2項及び第3項)
(11)第37条第4項から第17項まで及び第19項並びに第60条第4項及び第6項の規定は、中等教育学校に準用することとしたこと。(第70条)
(12)その他所要の改正を行うこととしたこと。

2 市町村立学校職員給与負担法の一部改正
 市町村立学校に置かれる職であってその給与を都道府県が負担するものに、副校長等を加えたこと。(第1条)

3 教育公務員特例法の一部改正
 @ 教育公務員の中の教員の範囲に、副校長等を加えたこと。(第2条第2項)
 A 任命権者が初任者研修の指導教員を命じることができる対象に、副校長等を加えたこと。(第23条第2項)
 B 大学院修学休業をすることができる職に、主幹教諭及び指導教諭を加えたこと。(第26条から第28条)

4 教育職員免許法の一部改正
 主幹教諭及び指導教諭については、その置かれる学校の教諭等の免許状を有する者を充てるものとしたこと。(第3条第2項)

5 学校図書館法の一部改正
 司書教諭に充てられる職に、主幹教諭及び指導教諭を加えたこと。(第5条第2項)

6 高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部改正
 定時制通信教育手当の支給対象に、副校長等を加えたこと。(第5条)

7 義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法の一部改正
 特定の政党を支持させる等の教育の教唆及びせん動の禁止の対象とされる教育職員の範囲に、副校長等を加えたこと。(第2条第2項)

8 女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律の一部改正
 出産に伴い休業する場合に補助教職員の臨時的任用を行うものとされる女子教職員の範囲に、副校長等を加えたこと。(第2条第2項)

9 農業、水産、工業又は商船に係る産業教育に従事する公立の高等学校の教員及び実習助手に対する産業教育手当の支給に関する法律の一部改正
 産業教育手当の支給対象に、副校長等を加えたこと。(第2条及び第3条)

10 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部改正
 公立義務教育諸学校における教職員定数の標準の対象となる職に、副校長等を加えたこと。(第2条第3項、第7条第1項、同条第3項、第8条、第8条の2、第11条第2項及び第17条第1項)

11 公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部改正
 公立高等学校における教職員定数の標準の対象となる職に、副校長等を加えたこと。(第2条第1項、第9条第1項、第10条及び第23条第1項)

12 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部改正 公立の義務教育諸学校等の教育職員の範囲に、副校長等を加えたこと。(第2条第2項)
 教職調整額が支給されない者として、副校長を加えたこと。(第3条第1項)

13 学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法の一部改正
 一般の公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置が講じられなければならない教育職員の対象に、副校長等を加えたこと。(第2条第2項)


第3 施行期日
 第1に定める事項は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から、第2に定める副校長その他の職の設置に関する事項は、平成20年4月1日から施行すること。(附則第1条)


第二 留意事項

第1 幼稚園に関する事項について
 第24条において、幼稚園は家庭及び地域における幼児期の教育の支援に努めるものとする旨規定しているが、具体的には、幼稚園の人材や施設・設備、これまで蓄積してきた幼児期の教育に関する知見や経験を活かしつつ、幼児期の教育に関する情報提供や相談窓口の開設、親子登園の実施、園庭の開放などを行うことが考えられること。
 また、第25条の「幼稚園の教育課程その他の保育内容に関する事項」とは、教育課程と、地域の実態や保護者の要請により教育課程に係る教育時間外に行われる教育活動であること。

第2 小学校等における「教科」の用語について
 改正前の学校教育法第20条等における「教科」は、各教科に加えて、道徳、特別活動等を含めた教育課程と同義であることを明確にするため「教育課程」と改めたものであり、改正前の「教科」の意味を変更するものではないこと。

第3 学校の評価に関する事項について
 第42条及びその準用規定により、小学校等は、文部科学大臣の定めるところにより学校運営の状況について評価を行い、その結果に基づき学校運営の改善を図るため必要な措置を講ずることとしているが、「文部科学大臣の定め」については、教職員による自己評価や、保護者や地域住民らによる評価の実施と公表の在り方などについて今後さらに検討を深め、省令において規定することとしていること。

第4 大学等の履修証明に関する事項について
 第105条の履修証明の規定については、大学等における社会人等を対象とした様々な学習機会の提供の一層の促進を図る観点から、制度上の位置付けを明確化したものであり、現在各大学等が実施している様々な取組を制約するものではないこと。また、「文部科学大臣の定め」の内容については、特別の課程の編成等のため適当な体制を整えることや、当該課程の内容及び方法等をあらかじめ公表することなどについて今後さらに検討を深め、省令において規定することとしていること。

第5 副校長等の職の設置に関する事項について
1 今回の改正は、校長のリーダーシップの下、組織的・機動的な学校運営が行われるよう、学校の組織運営体制や指導体制の充実を図るため、新たな職として副校長(幼稚園においては、副園長。以下同じ。)、主幹教諭、指導教諭を置くことができることとしたものであること。
 副校長等は、任意に設置することができる職であり、その設置については、学校や地域の状況を踏まえ、適切に判断されるものであること。

2 新たに設置される職の職務等については、以下のとおりであること。
 @ 副校長
 副校長の職務が、校長(幼稚園においては、園長。以下同じ。)から命を受けた範囲で校務の一部を自らの権限で処理することができるものであること。一方、教頭の職務は、校長を助けることの一環として校務を整理するにとどまるものであること。
 なお、副校長も授業などの具体的教育活動を行い得るものであること。ただし、副校長が児童生徒の教育をつかさどる場合には、各相当学校の教諭の相当免許状を有している必要があること。
 副校長と教頭を併せて置く学校においては、教頭は校長及び副校長を補佐する立場にあること。

 A 主幹教諭
 主幹教諭の職務が、命を受けて担当する校務について一定の責任を持って取りまとめ、整理し、他の教諭等に対して指示することができるものであること。一方、主任は、教諭等をもって充てるものであり、その職務は、校長の監督を受け、担当する校務に関する事項について連絡調整及び指導、助言に当たるものであること。

 B 指導教諭
 指導教諭は、学校の教員として自ら授業を受け持ち、所属する学校の児童生徒等の実態等を踏まえ、他の教員に対して教育指導に関する指導、助言を行うものであること。一方、指導主事は、教育委員会事務局の職員として当該教育委員会が所管する学校全体の状況を踏まえ、各学校の校長や指導教諭も含めた教員を対象として、教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項について、指導、助言を行うものであること。

3 副校長等の任用に当たっては、適切な選考を実施し、それぞれの職にふさわしい者を任用すること。また、選考の基準を要綱等で定め、公表することなどを通じて、適正かつ公正な選考が行われるよう努めること。

4 副校長等の職が適切に機能し、各教職員の適切な役割分担と協力の下で教育活動や校務運営が円滑かつ効果的に行われるよう、適正な校務分掌を整えること。

5 副校長等の新たな職の設置に当たっては、平成19年3月29日の中央教育審議会答申「今後の教員給与の在り方について」を踏まえ、各地方公共団体等において、その適切な処遇について検討を行われたいこと。

6 教育公務員特例法第13条第1項により、公立幼稚園の園長、副園長、教頭、主幹教諭、指導教諭、教諭、助教諭、養護教諭、養護助教諭、栄養教諭及び講師(以下「幼稚園教員」という。)の給与については、条例に基づきその職務と責任の特殊性にふさわしい給料表が適用されるべきものであり、また同条第2項により幼稚園教員は義務教育等教員特別手当の支給対象者となっている。さらに、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法第3条により、幼稚園教員(校長、副校長及び教頭を除く。)、実習助手及び寄宿舎指導員に対しては教職調整額を支給しなければならないこととされている。
 各都道府県においては、設置する学校の幼稚園教員について上記の給与上の措置を適切に講ずるとともに、給与上これらの措置が講じられていない市町村に対して、幼稚園教員の給与制度に則り、十分な指導をされたいこと。

7 今後、副校長等の職の設置に伴い、副校長の資格や主幹教諭を置く場合における当該主幹教諭が担当する校務に関する事項を担当する主任の取扱い、副校長等に係る義務教育費国庫負担金の算定根拠等について、政省令において規定することとしていること。

第6 関係法令の整備について
1 今回の改正を踏まえ、今後、法律の施行までの間に、学校教育法施行令(昭和28年政令第340号)及び学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)をはじめとする関係政省令等について、第3から第5までに掲げた政省令改正や幼稚園を最初に規定したことに伴う学校教育法等引用条文の変更等の整備を行うこととしていること。

2 各都道府県及び市町村におかれては、今回の学校教育法の改正及び今後予定される同法施行令、同法施行規則その他の関係政省令等の改正を踏まえ、これらの法令の条文を引用している所管の条例及び教育委員会規則等について、所要の改正を行う必要が生じることから、遺漏なきよう準備をお願いしたいこと。

3 1の関係法令の整備のほか、義務教育として行われる普通教育の目標を新たに規定し、幼稚園、小学校、中学校及び高等学校における教育の目標規定を改正したことを踏まえ、幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の教育要領・学習指導要領については、引き続き中央教育審議会においてその見直しについての検討を深め、速やかに改訂する予定であること。


(初等中等教育局初等中等教育企画課)








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