● 児童虐待防止に向けた学校等における適切な対応の徹底について 平成22年1月26日 21初児生第29号



21初児生第29号 平成22年1月26日
各都道府県教育委員会担当課長、各指定都市教育委員会担当課長
各都道府県私立学校主管課長、附属学校を置く各国立大学法人学長 宛
文部科学省初等中等教育局児童生徒課長(磯谷桂介)


    児童虐待防止に向けた学校等における適切な対応の徹底について(通知)


 児童虐待については、児童相談所への児童虐待に関する相談件数が年々増加の一途をたどっていること、重大な児童虐待事件があとを絶たないこと、及び医療的ケアが必要となるような困難な事例の増加など依然として深刻な社会問題となっており、これまでも児童虐待の早期発見・対応、被害を受けた児童の適切な保護等、児童虐待防止に向けた学校等における適切な対応についてお願いしているところです。
 しかしながら、今般、東京都江戸川区における事件の発生から、文部科学省としては、児童虐待防止に向けた学校等における対応を改めて緊急かつ徹底して行う必要があると考えております。
 貴職におかれては、下記の点を踏まえ、所管の学校又は域内の市区町村の教育委員会等に対し、学校及び教職員に対する法令上の義務等に関して改めて周知徹底を図るとともに、学校等における児童虐待防止のための取組がより一層適切に推進されるよう、改めてご指導を徹底していただくようお願いします。

                   記

1 児童虐待の防止等に関する法律等の趣旨の徹底:
 各教育委員会等においては、学校等に対して、「児童虐待の防止等に関する法律の施行について(通知)」(平成12年11月20日。文生参第352号。)及び「児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律の施行について(通知)」(平成16年8月13日。16文科生第313号。)等を参考にして、改めて、以下の点についての周知徹底を図ること。

(1)児童虐待の早期発見等:児童虐待の防止等に関する法律上、学校及び学校の教職員は、1)児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならないこと(同法第5条第1項)、2)児童虐待の予防その他の児童虐待の防止並びに児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援に関する国及び地方公共団体の施策に協力するよう努めなければならないこと(同条第2項)、3)児童及び保護者に対して、児童虐待の防止のための教育又は啓発に努めなければならないこと(同条第3項)などの役割が課されていること。

(2)児童虐待に係る通告:児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならないこと(同法第6条第1項)。

2 児童虐待防止に向けた学校等における適切な対応:
 各教育委員会等においては、学校等に対して、「児童虐待防止に向けた学校における適切な対応について(通知)」(平成16年1月30日。15初児生第18号。)、「学校等における児童虐待防止に向けた取組の推進について」(平成18年6月5日。18初児生第11号。)等を参考にして、改めて、以下の点についての指導を行うこと。

(1)学校の教職員は、職務上、児童虐待を発見しやすい立場にあることを再確認し、学校生活のみならず、幼児児童生徒の日常生活面について十分な観察、注意を払いながら教育活動をする中で、児童虐待の早期発見・対応に努める必要があること。そのために、学級担任、生徒指導担当教員、養護教諭、スクールカウンセラーなど教職員等が協力して、日頃から幼児児童生徒の状況の把握に努めるとともに、幼児児童生徒がいつでも相談できる雰囲気を醸成すること。

(2)虐待を受けた幼児児童生徒を発見した場合には、速やかに児童相談所又は市町村、都道府県の設置する福祉事務所へ通告すること。児童虐待の疑いがある場合には、確証がないときであっても、早期発見の観点から、児童相談所等の関係機関へ連絡、相談をするなど、日頃からの連携を十分に行うこと。関係機関への通告又は相談を行った後においても、継続的に当該機関と緊密に連絡を取り合うなどして児童虐待の防止上必要な対応を図ること。

(3)上記の対応に当たっては、管理職への報告、連絡及び相談を徹底するなど、学校として組織的に取り組むとともに、教育委員会への連絡、又は必要に応じて相談を行うこと。

3 教育委員会等の責務:
 各教育委員会等においては、児童福祉部局等や関係機関と連携しながら、地域の実情に応じて、以下の点に関する取組の推進を図ること。

(1)児童虐待の予防及び早期発見並びに迅速かつ適切な児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援等を行うため、関係機関との連携の強化等のために必要な体制の整備に努めること。

(2)学校の教職員が、児童虐待の早期発見・早期通告等児童虐待の防止に寄与するとともに児童虐待を受けた幼児児童生徒の自立の支援等について適切に対応できるようにするため、研修等必要な措置を講ずること。

(3)児童虐待の防止に資するため、幼児児童生徒の人権、児童虐待が幼児児童生徒に及ぼす影響及び児童虐待に係る通告義務等について、必要な広報その他の啓発活動に努めること。

(4)児童虐待の予防及び早期発見のための方策、児童虐待を受けた幼児児童生徒のケア、並びに学校の教職員等が児童虐待の防止に果たすべき役割等についての調査研究及び検証を行うこと。

(5)児童虐待を受けた幼児児童生徒が、その年齢及び能力に応じ充分な教育が受けられるようにするため、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策を講じること。

4 教職員用研修教材の適切な活用
 文部科学省においては、平成21年5月に学校等における児童虐待防止のための取組の一層の充実を図るため、最近の制度改正等の内容を盛り込み、教職員用研修教材「児童虐待防止と学校」を作成、配付している。
 学校、教育委員会においては、本教材の積極的な活用を図るなどして、虐待対応に関する教職員研修の充実を図り、学校等における児童虐待防止の取組を一層適切に推進すること。






Copyright© 執筆者,大阪教育法研究会