● 小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について 平成22年5月11日 22文科初第1号



22文科初第1号 平成22年5月11日
各都道府県教育委員会、各指定都市教育委員会、
各都道府県知事、附属学校を置く各国立大学長、
構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長 宛
文部科学省初等中等教育局長(金森越哉)


    小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における
    児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)


 このたび,中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会において,「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」(平成22年3月24日)(以下「報告」という。)がとりまとめられました。
 「報告」においては,学習指導要領において示された基礎的・基本的な知識・技能,それらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等及び主体的に学習に取り組む態度の育成が確実に図られるよう,学習評価を通じて,学習指導の在り方を見直すことや個に応じた指導の充実を図ること,学校における教育活動を組織として改善すること等が重要とされています。また,保護者や児童生徒に対して,学習評価に関する仕組み等について事前に説明したり,評価結果の説明を充実したりするなどして学習評価に関する情報をより積極的に提供することも重要とされています。
 指導要録は,児童生徒の学籍並びに指導の過程及び結果の要約を記録し,その後の指導及び外部に対する証明等に役立たせるための原簿となるものであり,各学校で学習評価を計画的に進めていく上で重要な表簿です。
 文部科学省においては,「報告」を受け,各学校における学習評価が円滑に行われるとともに,各設置者による指導要録の様式の決定や各学校における指導要録の作成の参考となるよう,学習評価を行うに当たっての配慮事項,指導要録に記載する事項及び各学校における指導要録の作成に当たっての配慮事項等を別紙1〜6のとおりとりまとめました。
 ついては,下記に示す学習評価を行うに当たっての配慮事項及び指導要録に記載する事項の見直しの要点並びに別紙について十分に御了知の上,各都道府県教育委員会におかれては,所管の学校及び域内の市町村教育委員会に対し,各指定都市教育委員会におかれては,所管の学校に対し,各都道府県知事及び構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長におかれては,所轄の学校及び学校法人等に対し,国立大学長におかれては,その管下の学校に対して,「報告」の趣旨も踏まえ,指導要録の様式が適切に設定され,新しい学習指導要領に対応した学習指導と学習評価が行われるよう,これらの十分な周知及び必要な指導等をお願いします。
 さらに,幼稚園,特別支援学校幼稚部,保育所及び認定こども園(以下,「幼稚園等」という。)と小学校及び特別支援学校小学部との緊密な連携を図る観点から,幼稚園等においてもこの通知の趣旨の理解が図られるようお願いします。
 なお,平成13年4月27日付け13文科初第193号「小学校児童指導要録,中学校生徒指導要録,高等学校生徒指導要録,中等教育学校生徒指導要録並びに盲学校,聾学校及び養護学校の小学部児童指導要録,中学部生徒指導要録及び高等部生徒指導要録の改善等について」及び平成20年12月25日付け20文科初第1081号「小学校学習指導要領等に関する移行期間中における小学校児童指導要録等の取扱いについて」のうち,小学校及び特別支援学校小学部に関する部分は平成23年3月31日をもって,中学校(中等教育学校の前期課程を含む。以下同じ。)及び特別支援学校中学部に関する部分は平成24年3月31日をもって,高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。以下同じ。)及び特別支援学校高等部に関する部分は平成25年3月31日をもって,それぞれ廃止します。


                   記


1 学習評価の改善に関する基本的な考え方について
(1) 学習評価を通じて,学習指導の在り方を見直すことや個に応じた指導の充実を図ること,学校における教育活動を組織として改善することが重要であること。その上で,新しい学習指導要領の下における学習評価の改善を図っていくためには以下の基本的な考え方に沿って学習評価を行うことが必要であること。
 【1】 きめの細かな指導の充実や児童生徒一人一人の学習の確実な定着を図るため,学習指導要領に示す目標に照らしてその実現状況を評価する,目標に準拠した評価を引き続き着実に実施すること。
 【2】 新しい学習指導要領の趣旨や改善事項等を学習評価において適切に反映すること。
 【3】 学校や設置者の創意工夫を一層生かすこと。
(2) 学習評価における観点については,新しい学習指導要領を踏まえ,「関心・意欲・態度」,「思考・判断・表現」,「技能」及び「知識・理解」に整理し,各教科等の特性に応じて観点を示している。設置者や学校においては,これに基づく適切な観点を設定する必要があること。
(3) 高等学校における学習評価については,引き続き観点別学習状況の評価を実施し,きめの細かい学習指導と生徒一人一人の学習の確実な定着を図っていく必要があること。
(4) 障害のある児童生徒に係る学習評価の考え方は,障害のない児童生徒に対する学習評価の考え方と基本的に変わるものではないが,児童生徒の障害の状態等を十分理解しつつ,様々な方法を用いて,一人一人の学習状況を一層丁寧に把握することが必要であること。また,特別支援学校については,新しい学習指導要領により個別の指導計画の作成が義務付けられたことを踏まえ,当該計画に基づいて行われた学習の状況や学習の結果の評価を行うことが必要であること。

2 効果的・効率的な学習評価の推進について
(1) 学校や設置者においては,学習評価の妥当性,信頼性等を高めるとともに,教師の負担感の軽減を図るため,国等が示す評価に関する資料を参考にしつつ,評価規準や評価方法の一層の共有や教師の力量の向上等を図り,組織的に学習評価に取り組むことが重要であること。
(2) その際,学習評価に関する情報の適切な管理を図りつつ,情報通信技術の活用により指導要録等に係る事務の改善を検討することも重要であること。なお,法令に基づく文書である指導要録について,書面の作成,保存,送付を情報通信技術を活用して行うことは,現行の制度上も可能であること。
(3) 今後,国においても,評価規準等の評価の参考となる資料を作成することとしているが,都道府県等においても,学習評価に関する研究を進め,学習評価に関する参考となる資料を示すとともに,具体的な事例の収集・提示を行うことが重要であること。

3 小・中学校及び特別支援学校小・中学部の指導要録について
(1) 小学校及び特別支援学校小学部の外国語活動について,設置者において,学習指導要領の目標及び具体的な活動等に沿って評価の観点を設定することとし,文章の記述による評価を行うこと。
(2) 特別活動について,学習指導要領の目標及び特別活動の特質等に沿って,各学校において評価の観点を定めることができるようにすることとし,各活動・学校行事ごとに評価すること。

4 高等学校及び特別支援学校高等部の指導要録について
 各教科・科目の評定については,観点別学習状況の評価を引き続き十分踏まえること。



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【別紙3】 高等学校及び特別支援学校高等部の指導要録に記載する事項等

〔1〕 学籍に関する記録

 学籍に関する記録については,学年当初及び異動の生じたときに記入する。
 学年による教育課程の区分を設けない課程(以下「単位制による課程」という。)の場合においては,生徒に係る記録は「年度」を単位として行う(指導に関する記録についても同様に取り扱う。)。

1 生徒の氏名,性別,生年月日及び現住所

2 保護者の氏名及び現住所

3 入学前の経歴
 高等学校及び特別支援学校高等部(以下,「高等学校等」という。)に入学するまでの教育関係の略歴(在籍していた中学校又は特別支援学校中学部の学校名及び卒業時期等)を記入する。なお,外国において受けた教育の実情なども記入する。

4 入学・編入学
(1) 入学
 校長が入学を許可した年月日を記入する。
(2) 編入学
 高等専門学校,在外教育施設や外国の学校等から編入学した場合,過去に高等学校等に在学していた者等が入学した場合について,その年月日,学年等を記入する。また,単位制による課程の場合においては,当該生徒に係る校長が定めた在学すべき期間を記入する。

5 転入学
 他の高等学校等から転学してきた生徒について,転入学年月日,転入学年,前に在学していた学校名,所在地,課程の種類,学科名等を記入する。また,単位制による課程の場合においては,当該生徒に係る校長が定めた在学すべき期間を記入する。

6 転学・退学
 他の高等学校等に転学する場合には,転学先の学校が受け入れた日の前日に当たる年月日,転学先の学校名,所在地,課程の種類,学科名,転入学年等を記入する。また,学校を去った年月日についても併記する。
 退学する場合には,校長が退学を認め,又は命じた年月日等を記入する。

7 留学・休学
 留学・休学について校長が許可した期間を記入する。留学の場合は,留学先の学校名,学年及び所在国名を記入する。

8 卒業
 校長が卒業を認定した年月日を記入する。

9 進学先・就職先等
 進学先の学校名及び所在地,就職先の事業所名及び所在地等を記入する。

10 学校名及び所在地,課程名・学科名
 分校の場合は,本校名及び所在地を記入するとともに,分校名,所在地及び在学した学年を併記する。

11 校長氏名印,ホームルーム担任者氏名印
 各年度に,校長の氏名,ホームルーム担任者の氏名を記入し,それぞれ押印する。(同一年度内に校長又はホームルーム担任者が代わった場合には,その都度後任者の氏名を併記する。)
 なお,氏名の記入及び押印については,電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号)第2条第1項に定義する「電子署名」をいう。)を行うことで替えることも可能である。

12 各教科・科目等の修得単位数の記録
 修得した各教科・科目等ごとに修得単位数の計を記入する。
 編入学又は転入学した生徒について,以前に在学していた学校において修得した単位を卒業に必要な単位として校長が認める場合には,その修得単位数を各教科・科目等の修得単位数として記入したり,以前に在学していた学校における修得単位数等に関する証明書等の資料を学籍に関する記録に添付したりすることにより,適切に記録する。
 また,留学に関して,校長が認定した修得単位数は,それを記入する欄等に適切に記入する。

〔2〕 指導に関する記録

 高等学校における指導に関する記録については,各教科・科目等の学習の記録(各教科及び科目の名称,それぞれの科目ごとの学年や年度ごとの評定及び修得単位数,それぞれの科目等の修得単位数の合計並びにそれぞれの科目等の履修上の特記事項等,総合的な学習の時間の学年や年度ごとの修得単位数及び総合的な学習の時間の修得単位数の合計並びに留学による学年や年度ごとの修得単位数及び留学による修得単位数の合計),総合的な学習の時間の記録,特別活動の記録,総合所見及び指導上参考となる諸事項並びに出欠の記録について作成する。
 特別支援学校(視覚障害,聴覚障害,肢体不自由又は病弱)高等部における指導に関する記録については,高等学校における指導に関する記録に記載する事項に加えて,自立活動の記録及び入学時の障害の状態について作成する。
 特別支援学校(知的障害)高等部における指導に関する記録については,各教科の学習の記録,特別活動の記録,自立活動の記録,学年ごとの総授業時数,入学時の障害の状態,総合所見及び指導上参考となる諸事項並びに出欠の記録について作成する。
 特別支援学校高等部に在籍する生徒については,個別の指導計画を作成する必要があることから,指導に関する記録を作成するに当たって,個別の指導計画における指導の目標,指導内容等を踏まえた記述となるよう留意する。また,生徒の障害の状態等に即して,学校教育法施行規則第130条の規定に基づき各教科又は各教科に属する科目の全部若しくは一部について合わせて授業を行った場合又は各教科,道徳,特別活動及び自立活動の全部若しくは一部について合わせて授業を行った場合並びに特別支援学校高等部学習指導要領(平成21年文部科学省告示第37号)第1章第2節第6款の規定(重度重複者等に関する教育課程の取扱い)を適用した場合にあっては,その教育課程や実際の学習状況を考慮し,各教科・科目等を合わせて記録するなど,必要に応じて様式等を工夫して,その状況を適切に記入する。
 高等学校及び特別支援学校(視覚障害,聴覚障害,肢体不自由又は病弱)高等部における指導に関する記録については,学年による教育課程の区分を設けるか設けないか等の違いにより,課程の単位の修得の認定の時期が異なることから,例えば,各教科・科目等の学習の記録を学年や年度,学期ごとに区分して記入するなど工夫する。

1 各教科・科目等の学習の記録
 高等学校及び特別支援学校(視覚障害,聴覚障害,肢体不自由又は病弱)高等部における各教科・科目等の学習の記録については,評定及び修得単位数について記入する。
(1) 各教科・科目の評定
 【1】 各教科・科目の評定は,高等学校学習指導要領(平成21年文部科学省告示第34号)及び特別支援学校高等部学習指導要領(以下,「高等学校学習指導要領等」という。)に示す各教科・科目の目標に基づき,学校が地域や生徒の実態に即して定めた当該教科・科目の目標や内容に照らし,その実現状況を総括的に評価して,「十分満足できるもののうち,特に程度が高い」状況と判断されるものを5,「十分満足できる」状況と判断されるものを4,「おおむね満足できる」状況と判断されるものを3,「努力を要する」状況と判断されるものを2,「努力を要すると判断されるもののうち,特に程度が低い」状況と判断されるものを1のように区別して評価を記入する。
 【2】 評定に当たっては,知識や技能のみの評価など一部の観点に偏した評定が行われることのないように,「関心・意欲・態度」,「思考・判断・表現」,「技能」及び「知識・理解」といった観点による評価を十分踏まえながら評定を行っていくとともに,評定が教師の主観に流れて妥当性や信頼性等を欠くことのないよう学校として留意する。その際,別紙6に各教科の評価の観点及びその趣旨を示しているので,これらを十分踏まえながらそれぞれの科目のねらいや特性を勘案して具体的な評価規準を設定するなど評価の在り方を工夫する。
 【3】 学校設定教科に関する科目のうち当該教科・科目の目標や内容等から数値的な評価になじまないものについては,評定は行わず,学習の状況や成果などを踏まえて,総合所見及び指導上参考となる諸事項に所見等を記述するなど,評価の在り方等について工夫する。
(2) 各教科・科目等の修得単位数
 高等学校及び特別支援学校(視覚障害,聴覚障害,肢体不自由又は病弱)高等部における各教科・科目等について,修得を認定した単位数を記入する。単位の修得を認めない場合は,「努力を要すると判断されるもののうち,特に程度が低い」のように評定を行う。
 編入学又は転入学した生徒について,以前に在学していた学校において修得した単位を卒業に必要な単位として校長が認める場合には,その単位数を各教科・科目等の修得単位数として記入したり,以前に在学していた学校における修得単位数等に関する証明書等の資料を学籍に関する記録に添付したりすることにより,適切に記録する。
(3) 総合的な学習の時間の修得単位数
 高等学校等における総合的な学習の時間における学習活動について,修得を認定した単位数を記入する。
(4) 留学による修得単位数
 留学した生徒の外国の学校における学習の成果をもとに,校長が修得を認定した場合はその単位数を記入する。この場合,当該外国の学校の教育課程を逐一,我が国の学習指導要領や学校の教育課程と比較し,これらの教科・科目に置き換えて評価する必要はない。
 なお,外国の高等学校の発行する修得単位数等に関する証明書等の資料を添付する。
(5) 他の学校において履修した場合の履修の取扱い等
 校長が以下のような単位の認定を行った場合等は,履修上の特記事項として,備考欄に記入する。
 【1】 高等学校学習指導要領第1章第3款2(2)に基づき,主として専門学科において開設される各教科・科目の履修により必履修教科・科目の一部又は全部に代えることを認める場合
 【2】 学校教育法施行規則第97条に基づき,他の高等学校等において修得した一部の科目の単位について,生徒の在学する高等学校における全課程の修了を認めるに必要な単位数に加えることを認める場合
 【3】 同令第98条に基づき,大学等における学修,知識及び技能に関する審査に係る学修,ボランティア活動その他の継続的に行われる活動に係る学修等について,生徒の在学する高等学校における科目の履修とみなし,当該科目の単位を与える場合
 【4】 同令第100条に基づき,高等学校卒業程度認定試験規則の定めるところにより合格点を得た試験科目に係る学修及び高等学校の別科における学修で高等学校学習指導要領の定めるところに準じて,修得した科目に係る学修について,生徒の在学する高等学校における科目の履修とみなし,当該科目の単位を与える場合
 【5】 高等学校通信教育規程第12条第1項に基づき,通信制の課程の生徒について,その在学する高等学校の定時制の課程又は他の高等学校の定時制の課程若しくは通信制の課程において一部の科目の単位を修得したときに,それを生徒の在学する通信制の課程の全課程の修了を認めるに必要な単位数に加えることを認める場合(同第2項による場合も同様とする。)
 特別支援学校(知的障害)高等部における各教科・科目等の学習の記録については,特別支援学校高等部学習指導要領に示す各教科の目標,内容に照らし,具体的に定めた指導内容,実現状況等を文章で記述する。

2 総合的な学習の時間の記録
(1) 学習活動
 高等学校等における総合的な学習の時間において行った学習活動を文章で記述する。
(2) 評価
 各学校が定めた総合的な学習の時間の目標,内容に基づいて各学校が定めた評価の観点を踏まえて,生徒の学習状況に顕著な事項がある場合などにその特徴を記入する等,生徒にどのような力が身に付いたかを文章で記述する。
 評価の観点については,高等学校学習指導要領等に示す目標を踏まえ,各学校において具体的に定めた目標,内容に基づいて定める。

3 特別活動の記録
 高等学校等における特別活動において行った生徒の活動の状況について,主な事実及び所見を文章で記述する。その際,所見については,生徒の長所を取り上げるよう留意する。

4 自立活動の記録
 特別支援学校高等部における自立活動については,個別の指導計画を踏まえ,以下の事項等を記入する。
 【1】 指導の目標,指導内容,指導の結果の概要に関すること
 【2】 障害の状態等に変化が見られた場合,その状況に関すること
 【3】 障害の状態を把握するため又は自立活動の成果を評価するために検査を行った場合,その検査結果に関すること
 【4】 特別支援学校高等部学習指導要領第1章第2節第5款第1の2の規定により,自立活動の授業時数を単位数に換算した場合の単位

5 総合所見及び指導上参考となる諸事項
 高等学校等における総合所見及び指導上参考となる諸事項については,生徒の成長の状況を総合的にとらえるため,以下の事項等を文章で記述する。
 【1】 各教科・科目や総合的な学習の時間の学習に関する所見
 【2】 行動に関する所見
 【3】 進路指導に関する事項
 【4】 取得資格
 【5】 生徒が就職している場合の事業所
 【6】 生徒の特徴・特技,部活動,学校内外におけるボランティア活動など社会奉仕体験活動,表彰を受けた行為や活動,学力について標準化された検査に関する記録など指導上参考となる諸事項
 【7】 生徒の成長の状況にかかわる総合的な所見
 記入に際しては,生徒の優れている点や長所,進歩の状況などを取り上げるよう留意する。ただし,生徒の努力を要する点などについても,その後の指導において特に配慮を要するものがあれば記入する。
 特別支援学校高等部においては,交流及び共同学習を実施している生徒について,その相手先の学校名,実施期間,実施した内容や成果等を記入する。

6 入学時の障害の状態
 特別支援学校高等部における入学時の障害の状態について,障害の種類及び程度等を記入する。

7 出欠の記録
 全日制及び定時制の課程においては,以下の事項を記入する。
(1) 授業日数
 生徒の属する学科及び学年について授業を実施した年間の総日数を記入する。学校保健安全法第20条の規定に基づき,臨時に,学校の全部又は学年の全部の休業を行うこととした日数は授業日数には含めない。
 ただし,転学又は退学をした生徒については,転学のため学校を去った日又は退学をした日までの授業日数を記入し,編入学又は転入学をした生徒については,編入学又は転入学をした日以後の授業日数を記入する。
 なお,単位制による課程の場合においては,授業日数については,当該生徒の履修計画にしたがって出校すべき年度間の総日数を記入する。
(2) 出席停止・忌引等の日数
 以下の日数を合算して記入する。
 【1】 学校教育法第11条による懲戒のうち停学の日数,学校保健安全法第19条による出席停止の日数及び感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第19条,第20条,第26条及び第46条による入院の場合の日数
 【2】 学校保健安全法第20条により,臨時に学年の中の一部の休業を行った場合の日数
 【3】 忌引日数
 【4】 非常変災等生徒又は保護者の責任に帰すことのできない事由で欠席した場合などで,校長が出席しなくてもよいと認めた日数
 【5】 選抜のための学力検査の受検その他教育上特に必要な場合で,校長が出席しなくてもよいと認めた日数
(3) 留学中の授業日数
 校長が許可した留学期間における我が国の在籍校の授業日数を記入する。
(4) 出席しなければならない日数
 授業日数から出席停止・忌引等の日数及び留学中の授業日数を差し引いた日数を記入する。
(5) 欠席日数
 出席しなければならない日数のうち病気又はその他の事故で生徒が欠席した日数を記入する。
(6) 出席日数
 出席しなければならない日数から欠席日数を差し引いた日数を記入する。
 なお,学校の教育活動の一環として生徒が運動や文化などにかかわる行事等に参加したものと校長が認める場合には,指導要録の出欠の記録においては出席扱いとすることができる。
 また,平成21年3月12日付け20文科初第1346号「高等学校における不登校生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の対応について」に沿って,不登校の生徒が学校外の施設において相談・指導を受け,そのことが当該生徒の将来的な社会的自立を助ける上で適切であると校長が認める場合には,指導要録の出欠の記録においては出席扱いとすることができる。この場合には,出席日数の内数として出席扱いとした日数及び生徒が通所若しくは入所した学校外の施設名を記入する。
(7) 備考
 出欠に関する特記事項等を記入する。

8 出校の記録
 通信制の課程においては,以下の事項を記入する。
(1) 出校日数
 実際に生徒が出校した年度間の総日数を記入する。この日数には,生徒が面接指導等のために,協力校,その他学校が定めた場所に出校した日数を含むものとする。ただし,転学又は退学をした生徒については,転学のため学校を去った日又は退学をした日までの出校日数を記入し,編入学又は転入学をした生徒については,編入学又は転入学をした日からその年度の終わりまでの出校日数を記入する。
(2) 備考
 出校の状況に関する特記事項のほか,ラジオ,テレビ放送その他の多様なメディアの利用により,各教科・科目又は特別活動についての面接指導時間数の一部が免除された結果として出校する必要のなくなった日数等を記入する。






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【別紙4】 各学校における指導要録の保存、送付等に当たっての配慮事項

1 児童生徒が転学する場合は,学校教育法施行規則第24条第2項に基づいて進学元の校長等から送付を受けた指導要録の抄本又は写しを,同条第3項の規定により転学先の校長へ送付することとされており,この場合において,進学元(小学校にあっては,保育所及び認定こども園を含む。)から送付を受けた指導要録の抄本又は写しについては,進学してきた児童生徒が在学する期間保存すること。

2 配偶者からの暴力の被害者と同居する児童生徒については,転学した児童生徒の指導要録の記述を通じて転学先の学校名や所在地等の情報が配偶者(加害者)に伝わることが懸念される場合がある。
 このような特別の事情がある場合には,平成21年7月13日付け21生参学第7号「配偶者からの暴力の被害者の子どもの就学について」に沿って,配偶者からの暴力の被害者と同居する児童生徒の転学先や居住地等の情報については,各地方公共団体の個人情報保護条例等に則り,配偶者暴力相談支援センターや福祉部局等との連携を図りながら,厳重に管理すること。





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