● 障害者基本法の一部を改正する法律の公布・施行について 平成23年8月2日 府政共生第500号


府政共生第500号 平成23年8月2日
各都道府県知事、各政令指定都市市長 宛
内閣府政策統括官(共生社会政策担当)


    障害者基本法の一部を改正する法律の公布・施行について


 平素より政府の障害者施策の推進に御理解、御協力いただき、誠にありがとうございます。
 障害者基本法の一部を改正する法律(平成23年法律第90号)(以下「改正法」という。)は、平成23年8月5日に公布され、一部を除き同日に施行されることとなります。
 つきましては、本改正の経緯及び概要は下記のとおりですので、御了知いただきますとともに、福祉、雇用、教育、防災その他関係部局間の連携を密にし、適切な対応を図るようお願いします。
 また、都道府県におかれましては、貴管内市町村、関係機関・団体及び住民に対して、政令指定都市におかれましては、関係機関・団体及び住民に対して、本改正の経緯及び内容を広く周知されるようお願いします。


                    記


第1 改正の経緯

 障害者の権利の保護等に関する「障害者の権利に関する条約(仮称)」が平成18年12月国連総会において採択され、平成20年5月に発効されているところであるが、我が国は、平成19年9月、同条約に署名したが、締結には至っていないところである。
 政府においては、障害者の権利に関する条約(仮称)の締結に向けた国内法の整備を始めとする障害者に係る制度の集中的な改革を行うため、平成21年12月に内閣総理大臣を本部長としすべての国務大臣により構成される「障がい者制度改革推進本部」を設置し、同本部の下で、平成22年1月から障害当事者を中心とする「障がい者制度改革推進会議」(以下「推進会議」という。)を開催してきた。同年6月、推進会議は、「障害者制度改革の推進のための基本的な方向(第一次意見)」を取りまとめ、これを受けて政府は「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」を閣議決定し、その中で障害者基本法について「平成23年常会への法案提出を目指す」とした。その後、推進会議は、平成22年7月から議論を行い、同年12月障害者基本法の改正に関する「障害者制度改革の推進のための第二次意見」を取りまとめ、これらを踏まえて、政府は「障害者基本法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会へと提出した。
 本法律案は、国会では、衆議院において政府案を一部修正の上、平成23年6月16日に可決され、また、同修正案について、参議院においては同年7月29日に可決され成立に至ったところである。

第2 改正の概要

1 目的(法第1条関係)
 この法律は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのつとり、全ての国民が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本原則を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的としたこと。

2 定義(法第2条関係)
(1)障害者の定義を、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものとしたこと。
(2)社会的障壁の定義を、障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものとしたこと。

3 地域社会における共生等(法第3条関係)
 1に規定する社会の実現は、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、次に掲げる事項を旨として図られなければならないこととしたこと。
(1)全て障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されることとしたこと。
(2)全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこととしたこと。
(3)全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られることとしたこと。

4 差別の禁止(法第4条関係)
(1)何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならないこととしたこと。
(2)社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて(1)の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならないこととしたこと。
(3)国は、(1)の規定に違反する行為の防止に関する啓発及び知識の普及を図るため、当該行為の防止を図るために必要となる情報の収集、整理及び提供を行うものとしたこと。

5 国際的協調(法第5条関係)
 1に規定する社会の実現は、そのための施策が国際社会における取組と密接な関係を有していることに鑑み、国際的協調の下に図られなければならないこととしたこと。

6 国及び地方公共団体の責務(法第6条関係)
 国及び地方公共団体は、1に規定する社会の実現を図るため、3から5までに定める基本原則にのつとり、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に実施する責務を有することとしたこと。

7 国民の理解(法第7条関係)
 国及び地方公共団体は、基本原則に関する国民の理解を深めるよう必要な施策を講じなければならないこととしたこと。

8 国民の責務(法第8条関係)
 国民は、基本原則にのつとり、1に規定する社会の実現に寄与するよう努めなければならないこととしたこと。

9 障害者週間(法第9条関係)
(1)国民の間に広く基本原則に関する関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加することを促進するため、障害者週間を設けることとしたこと。
(2)国及び地方公共団体は、障害者の自立及び社会参加の支援等に関する活動を行う民間の団体等と相互に緊密な連携協力を図りながら、障害者週間の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めなければならないこととしたこと。

10 施策の基本方針(法第10条関係)
(1)障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策は、障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて、かつ、有機的連携の下に総合的に、策定され、及び実施されなければならないこととしたこと。
(2)国及び地方公共団体は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を講ずるに当たつては、障害者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならないこととしたこと。

11 障害者基本計画等(法第11条関係)
(1)政府は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、障害者のための施策に関する基本的な計画(以下「障害者基本計画」という。)を策定しなければならないこととしたこと。
(2)内閣総理大臣は、関係行政機関の長に協議するとともに、障害者政策委員会の意見を聴いて、障害者基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないこととしたこととしたこと。
(3)都道府県は、都道府県障害者計画を策定するに当たつては、30の(1)の合議制の機関の意見を聴かなければならないこととしたこと。
(4)市町村は、市町村障害者計画を策定するに当たつては、30の(3)の合議制の機関を設置している場合にあつてはその意見を、その他の場合にあつては障害者その他の関係者の意見を聴かなければならないこととしたこと。

12 医療、介護等(法第14条関係)
(1)国及び地方公共団体は、障害者が、その性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じ、医療、介護、保健、生活支援その他自立のための適切な支援を受けられるよう必要な施策を講じなければならないこととしたこと。
(2)国及び地方公共団体は、医療若しくは介護の給付又はリハビリテーションの提供を行うに当たつては、障害者が、可能な限りその身近な場所においてこれらを受けられるよう必要な施策を講ずるものとするほか、その人権を十分に尊重しなければならないこととしたこと。
(3)国及び地方公共団体は、福祉用具及び身体障害者補助犬の給付又は貸与その他障害者が日常生活及び社会生活を営むのに必要な施策を講じなければならないこととしたこと。

13 教育(法第16条関係)
(1)国及び地方公共団体は、障害者が、その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするため、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策を講じなければならないこととしたこと。
(2)国及び地方公共団体は、(1)の目的を達成するため、障害者である児童及び生徒並びにその保護者に対し十分な情報の提供を行うとともに、可能な限りその意向を尊重しなければならないこととしたこと。
(3)国及び地方公共団体は、障害者である児童及び生徒と障害者でない児童及び生徒との交流及び共同学習を積極的に進めることによつて、その相互理解を促進しなければならないこととしたこと。
(4)国及び地方公共団体は、障害者の教育に関し、調査及び研究並びに人材の確保及び資質の向上、適切な教材等の提供、学校施設の整備その他の環境の整備を促進しなければならないこととしたこと。

14 療育(法第17条関係)
(1)国及び地方公共団体は、障害者である子どもが可能な限りその身近な場所において療育その他これに関連する支援を受けられるよう必要な施策を講じなければならないこととしたこと。
(2)国及び地方公共団体は、療育に関し、研究、開発及び普及の促進、専門的知識又は技能を有する職員の育成その他の環境の整備を促進しなければならないこととしたこと。

15 職業相談等(法第18条関係)
(1)国及び地方公共団体は、障害者の職業選択の自由を尊重しつつ、障害者がその能力に応じて、適切な職業に従事することができるようにするため、障害者の多様な就業の機会を確保するよう努めるとともに、個々の障害者の特性に配慮した職業相談、職業指導、職業訓練及び職業紹介の実施その他必要な施策を講じなければならないこととしたこと。
(2)国及び地方公共団体は、障害者の多様な就業の機会の確保を図るため、(1)に規定する施策に関する調査及び研究を促進しなければならないこととしたこと。

16 雇用の促進等(法第19条関係)
(1)国及び地方公共団体は、国及び地方公共団体並びに事業者における障害者の雇用を促進するため、障害者の優先雇用その他の施策を講じなければならないこととしたこと。
(2)事業主は、障害者の雇用に関し、その有する能力を正当に評価し、適切な雇用の機会を確保するとともに、個々の障害者の特性に応じた適正な雇用管理を行うことによりその雇用の安定を図るよう努めなければならないこととしたこと。

17 住宅の確保(法第20条関係)
 国及び地方公共団体は、障害者が地域社会において安定した生活を営むことができるようにするため、障害者のための住宅を確保し、及び障害者の日常生活に適するような住宅の整備を促進するよう必要な施策を講じなければならないこととしたこと。

18 公共的施設のバリアフリー化(法第21条関係)
 国及び地方公共団体は、障害者の利用の便宜を図ることによつて障害者の自立及び社会参加を支援するため、自ら設置する官公庁施設、交通施設(車両、船舶、航空機等の移動施設を含む。)その他の公共的施設について、障害者が円滑に利用できるような施設の構造及び設備の整備等の計画的推進を図らなければならないこととしたこと。

19 情報の利用におけるバリアフリー化等(法第22条関係)
(1)国及び地方公共団体は、障害者が円滑に情報を取得し及び利用し、その意思を表示し、並びに他人との意思疎通を図ることができるようにするため、障害者が利用しやすい電子計算機及びその関連装置その他情報通信機器の普及、電気通信及び放送の役務の利用に関する障害者の利便の増進、障害者に対して情報を提供する施設の整備、障害者の意思疎通を仲介する者の養成及び派遣等が図られるよう必要な施策を講じなければならないこととしたこと。
(2)国及び地方公共団体は、災害その他非常の事態の場合に障害者に対しその安全を確保するため必要な情報が迅速かつ的確に伝えられるよう必要な施策を講ずるものとするほか、行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進に当たつては、障害者の利用の便宜が図られるよう特に配慮しなければならないこととしたこと。

20 相談等(法第23条関係)
(1)国及び地方公共団体は、障害者の意思決定の支援に配慮しつつ、障害者及びその家族その他の関係者に対する相談業務、成年後見制度その他の障害者の権利利益の保護等のための施策又は制度が、適切に行われ又は広く利用されるようにしなければならないこととしたこと。
(2)国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの各種の相談に総合的に応ずることができるようにするため、関係機関相互の有機的連携の下に必要な相談体制の整備を図るとともに、障害者の家族に対し、障害者の家族が互いに支え合うための活動の支援その他の支援を適切に行うものとしたこと。

21 文化的諸条件の整備等(法第25条関係)
 国及び地方公共団体は、障害者が円滑に文化芸術活動、スポーツ又はレクリエーションを行うことができるようにするため、施設、設備その他の諸条件の整備、文化芸術、スポーツ等に関する活動の助成その他必要な施策を講じなければならないこととしたこと。

22 防災及び防犯(法第26条関係)
 国及び地方公共団体は、障害者が地域社会において安全にかつ安心して生活を営むことができるようにするため、障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて、防災及び防犯に関し必要な施策を講じなければならないこととしたこと。

23 消費者としての障害者の保護(法第27条関係)
(1)国及び地方公共団体は、障害者の消費者としての利益の擁護及び増進が図られるようにするため、適切な方法による情報の提供その他必要な施策を講じなければならないこととしたこと。
(2)事業者は、障害者の消費者としての利益の擁護及び増進が図られるようにするため、適切な方法による情報の提供等に努めなければならないこととしたこと。

24 選挙等における配慮(法第28条関係)
 国及び地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより行われる選挙、国民審査又は投票において、障害者が円滑に投票できるようにするため、投票所の施設又は設備の整備その他必要な施策を講じなければならないこととしたこと。

25 司法手続における配慮等(法第29条関係)
 国又は地方公共団体は、障害者が、刑事事件若しくは少年の保護事件に関する手続その他これに準ずる手続の対象となつた場合又は裁判所における民事事件、家事事件若しくは行政事件に関する手続の当事者その他の関係人となつた場合において、障害者がその権利を円滑に行使できるようにするため、個々の障害者の特性に応じた意思疎通の手段を確保するよう配慮するとともに、関係職員に対する研修その他必要な施策を講じなければならないこととしたこと。

26 国際協力(法第30条関係)
 国は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を国際的協調の下に推進するため、外国政府、国際機関又は関係団体等との情報の交換その他必要な施策を講ずるように努めるものとしたこと。

27 障害の原因となる傷病の予防に関する基本的施策(法第31条関係)
(1)国及び地方公共団体は、障害の原因となる傷病及びその予防に関する調査及び研究を促進しなければならないこととしたこと。
(2)国及び地方公共団体は、障害の原因となる傷病の予防のため、必要な知識の普及、母子保健等の保健対策の強化、当該傷病の早期発見及び早期治療の推進その他必要な施策を講じなければならないこととしたこと。
(3)国及び地方公共団体は、障害の原因となる難病等の予防及び治療が困難であることに鑑み、障害の原因となる難病等の調査及び研究を推進するとともに、難病等に係る障害者に対する施策をきめ細かく推進するよう努めなければならないこととしたこと。

28 障害者政策委員会の設置(法第32条関係)
(1)内閣府に、障害者政策委員会(以下「政策委員会」という。)を置くこととしたこと。
(2)政策委員会は、次に掲げる事務をつかさどることとしたこと。
 @ 障害者基本計画に関し、11の(2)に規定する事項を処理することとしたこと。
 A @に規定する事項に関し、調査審議し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣又は関係各大臣に対し、意見を述べることとしたこと。
 B 障害者基本計画の実施状況を監視し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣又は内閣総理大臣を通じて関係各大臣に勧告することとしたこと。
(3)内閣総理大臣又は関係各大臣は、Bの規定による勧告に基づき講じた施策について政策委員会に報告しなければならないこととしたこと。

29 政策委員会の組織及び運営(法第33及び34条関係)
(1)政策委員会は、委員30人以内で組織することとしたこと。
(2)政策委員会の委員は、障害者、障害者の自立及び社会参加に関する事業に従事する者並びに学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。この場合において、委員の構成については、政策委員会が様々な障害者の意見を聴き障害者の実情を踏まえた調査審議を行うことができることとなるよう、配慮されなければならないこととしたこと。
(3)政策委員会の委員は、非常勤とすることとしたこと。
(4)政策委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができることとしたこと。
(5)政策委員会は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、(4)に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができることとしたこと。

30 都道府県等における合議制の機関(法第36条関係)
(1)都道府県(地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市(以下「指定都市」という。)を含む。以下同じ。)に、次に掲げる事務を処理するため、審議会その他の合議制の機関を置くこととしたこと。
 @ 都道府県障害者計画に関し、11の(3)に規定する事項を処理することとしたこと。
 A 当該都道府県における障害者に関する施策の総合的かつ計画的な推進について必要な事項を調査審議し、及びその施策の実施状況を監視することとしたこと。
 B 当該都道府県における障害者に関する施策の推進について必要な関係行政機関相互の連絡調整を要する事項を調査審議することとしたこと。
(2)(1)の合議制の機関の委員の構成については、当該機関が様々な障害者の意見を聴き障害者の実情を踏まえた調査審議を行うことができることとなるよう、配慮されなければならないこととしたこと。
(3)市町村(指定都市を除く。以下同じ。)は、条例で定めるところにより、次に掲げる事務を処理するため、審議会その他の合議制の機関を置くことができることとしたこと。
 @ 市町村障害者計画に関し、11の(4)に規定する事項を処理することとしたこと。
 A 当該市町村における障害者に関する施策の総合的かつ計画的な推進について必要な事項を調査審議し、及びその施策の実施状況を監視することとしたこと。
 B 当該市町村における障害者に関する施策の推進について必要な関係行政機関相互の連絡調整を要する事項を調査審議することとしたこと。

第3 施行期日等

1 施行期日
 改正法は、公布の日(平成23年8月5日)から施行することとした。ただし、「障害者政策委員会」と「審議会その他の合議制の機関」に係る規定の部分は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。

2 検討
(1)国は、この法律の施行後3年を経過した場合において、この法律による改正後の障害者基本法の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
(2)国は、障害者が地域社会において必要な支援を受けながら自立した生活を営むことができるようにするため、障害に応じた施策の実施状況を踏まえ、地域における保健、医療及び福祉の相互の有機的連携の確保その他の障害者に対する支援体制の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。

第4 附帯決議

 改正法の成立に際しては、衆議院と参議院においてそれぞれ附帯決議が付されているので留意願います。(別添参照)


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別添

    障害者基本法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(衆議院)

 政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

一 国及び地方公共団体は、視覚障害者、聴覚障害者その他の意思疎通に困難がある障害者に対して、その者にとって最も適当な言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段の習得を図るために必要な施策を講ずること。

二 国及び地方公共団体は、子どもの発達に対して、障害の有無にかかわらず、将来の自立に向けて個の特性に応じた一貫した支援がなされるべきものであるとの観点から、障害に気付いてから就労に至るまでの一貫した支援を可能とする体制整備を行うこと。

三 国及び地方公共団体は、発達障害児について、将来の自立と社会参加のため、特性や能力に応じた中等・高等教育を受けられるよう、必要な環境の整備を図ること。

四 国及び地方公共団体は、障害原因の軽減や根本治癒についての再生医療に関する研究開発を推進するとともに、障害者が再生医療を受ける機会を確保するために必要な措置を講ずること。

五 国は、地方公共団体が実施する障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策並びに民間の団体が障害者の自立及び社会参加の支援等に関して行う活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。

六 国は、この法律による改正後の障害者基本法の施行の状況等を勘案し、救済の仕組みを含む障害を理由とする差別の禁止に関する制度、障害者に係る情報コミュニケーションに関する制度及び難病対策に関する制度について検討を加え、その結果に基づいて、法制の整備その他の必要な措置を講ずること。

七 国は、東日本大震災による障害者に係る被害の実態等を踏まえ、災害その他非常の事態の場合において障害者の生命又は身体の安全の確保が図られるよう、障害者に対する支援体制の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。



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    障害者基本法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(参議院)

平成二十三年七月二十八日
参議院内閣委員会

 政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

一 国及び地方公共団体は、視覚障害者、聴覚障害者その他の意思疎通に困難がある障害者に対して、その者にとって最も適当な言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段の習得を図るために必要な施策を講ずること。

二 国及び地方公共団体は、子どもの発達に対して、障害の有無にかかわらず、将来の自立に向けて個の特性に応じた一貫した支援がなされるべきものであるとの観点から、障害に気付いてから就労に至るまでの一貫した支援を可能とする体制整備を行うこと。

三 国及び地方公共団体は、発達障害児について、将来の自立と社会参加のため、特性や能力に応じた中等・高等教育を受けられるよう、必要な環境の整備を図ること。

四 国及び地方公共団体は、障害原因の軽減や根本治癒についての再生医療に関する研究開発を推進するとともに、障害者が再生医療を受ける機会を確保するために必要な措置を講ずること。

五 国は、地方公共団体が実施する障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策並びに民間の団体が障害者の自立及び社会参加の支援等に関して行う活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。

六 国は、この法律による改正後の障害者基本法の施行の状況等を勘案し、救済の仕組みを含む障害を理由とする差別の禁止に関する制度、障害者に係る情報コミュニケーションに関する制度及び難病対策に関する制度について検討を加え、その結果に基づいて、法制の整備その他の必要な措置を講ずること。

七 国は、東日本大震災による障害者に係る被害の実態等を踏まえ、災害その他非常の事態の場合において障害者の生命又は身体の安全の確保が図られるよう、障害者に対する支援体制の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。

八 障害者政策委員会の委員の人選に当たっては、障害者政策を幅広い国民の理解を得ながら進めていくという観点から、広く国民各層の声を障害者政策に反映できるよう、公平・中立を旨とすること。

右決議する。







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