● 平成22年度 教育職員に係る懲戒処分等の状況、服務規律の確保及び教育職員のメンタルヘルスの保持等について 平成23年12月22日 23初初企第87号



23初初企第87号 平成23年12月22日
各都道府県・指定都市教育委員会教職員人事主管課長 宛
文部科学省初等中等教育局 初等中等教育企画課長(中岡司)


    平成22年度 教育職員に係る懲戒処分等の状況、服務規律の確保
    及び教育職員のメンタルヘルスの保持等について(通知)


 標記に係る調査について、調査結果を取りまとめましたので、各教育委員会における教育職員の人事施策に資するよう送付します。
 貴職におかれましては、学校教育に対する国民の信頼を確保するとともに、学校教育の充実を図る観点から、特に下記の点に留意しながら、より一層の教育職員の服務規律の確保及びメンタルヘルスの保持等に努めるようお願いします。
 なお、都道府県教育委員会におかれては、これらのことについて域内の市町村教育委員会に周知するとともに、一層の取組を促すようお願いします。


                    記


1.平成22年度に懲戒処分等を受けた公立学校の教育職員の総数は、前年度に比べ減少していますが、もとより教育職員が児童生徒の模範たる立場にあることに鑑みれば懲戒処分等を受けるような行為を行うことはあってはならないことであります。つきましては、以下の方策等により、服務規律の一層の確保を図るようお願いします。

(1)懲戒処分に関する基準の策定・公表と処分事案の公表
 懲戒処分に関する基準を策定し公表することは、懲戒処分の厳正な運用や不祥事の抑止の効果が期待され、また、保護者、地域住民に対する説明責任を果たすことに資することから、未だ懲戒処分全般の基準を作成していない教育委員会にあっては、すみやかに基準を整備するとともに、教育職員に周知を図り、非違行為等の抑止を図ること。
 併せて、処分事案があった場合には、上記基準等に照らして厳正に当該処分を行うとともに、その処分の概要について、可能な限り詳しい内容を公表すること。ただし、当該処分事案の内容に児童生徒等が関係している場合には、そのプライバシー保護に十分配慮すること。

(2)児童生徒に対するわいせつ行為等に係る厳正な対処
 特に、児童生徒に対するわいせつ行為等については、教育職員として絶対に許されないことであり、こうした非違行為があった場合には、原則として懲戒免職とするなど、引き続き、非違行為があった場合には厳正な対応をすること。

(3)服務規律確保に係る研修等の充実
 平成22年度においては、交通事故に係る懲戒処分等の件数は過去最多となっているほか、上記以外の理由による懲戒処分も多数行われている。こうしたことを踏まえ、服務規律確保に係る研修の充実や会議等の様々な機会を通じて、非違行為の防止について教育職員への十分な注意喚起を図ること。


2.病気休職者数は17年連続で増加し、過去最多を更新しています。そのうち、精神疾患による休職者の割合は減少したものの、依然として高水準となっています。このため、精神疾患によって休職に至る原因や背景の把握・分析に努め、適切な方策を講じることにより、病気休職者数等を減少させることが急務です。
 学校教育は教育職員と児童生徒との人格的な触れ合いを通じて行われるものであり、教育職員が心身ともに健康を維持して教育に携わることができるような職場環境を整えるため、以下の方策等により、教育職員のメンタルヘルスの保持等により一層積極的に取り組むようお願いします。
 なお、その際、精神疾患になった教育職員への対応のみならず、職員が精神疾患にならないようにするための予防的な対策についても十分に検討し、取組を進めるようお願いします。

(1)校務の効率化等の推進
 各学校の管理職は、学校における会議や行事の見直し等による校務の簡素化を図るとともに、文書やデータの共有化等を進めることによって業務を効率的に遂行するなど、一部の教育職員に過重な負担がかからないよう適正な校務分掌を整えること。
 各教育委員会においても、学校における教育職員の事務について適宜見直しを図り、その効率化と軽減に努めること。その際、平成20年3月31日付け19文科初第1413号により通知しているとおり、各学校への調査・照会や調査研究(モデル校)事業に関する事務負担の軽減について具体的な計画を立て、着実に実施すること。
 なお、各教育委員会においては、下記の文部科学省ホームページに掲載している教育職員の勤務負担軽減に関する特色ある教育委員会の取組事例も参照しつつ、校務の効率化等の推進を図ること。

(2)気軽に相談できる職場環境づくり等
 職場内の人間関係の希薄化が指摘されており、日頃から、教育職員が気軽に周囲に相談したり、情報交換したりすることができる職場環境を作るよう、特段の配慮を行うこと。特に各学校の管理職は、心の健康の重要性を十分認識し、自ら親身になって教育職員の相談を受けるほか、配慮が必要な教育職員を把握した場合には、例えば、中心となって相談を受ける職員を指名するなど具体的な対応を行うこと。
 また、精神疾患による休職者のうち、約半数が所属校勤務 2年未満で休職発令されていることを踏まえ、人事異動等により職場環境に変化があった教育職員には十分配慮すること。

(3)メンタルヘルス不調の早期発見、早期治療
 各学校の管理職は、メンタル面での不調が見られる教育職員の早期発見・早期治療に努めること。例えば、教育委員会がメンタルヘルスに関するチェックシートを作成し、教職員がこれを活用してメンタルヘルスの状況を把握し、希望者には面談を実施することや、各学校の管理職がメンタル面での不調が疑われる教育職員に気付いた場合、必要に応じて教育委員会と連携しながら早めに医療機関への受診を促すなど、適切な対応をとること。

(4)復職支援体制の整備・充実
 教育委員会においては、病気休職者が円滑に職場復帰できるよう、復職支援体制の整備、充実に努めること。また、各学校の管理職においては、当該教育職員への理解と協力が得られるような環境を整備するとともに、体調等を考慮の上、適切に復職支援プログラムを実施するなど、復帰後しばらくの間は経過を観察し、適切な配慮や支援を行うこと。

(5)メンタルヘルスに関する意識啓発や相談体制の充実
 教育委員会において、メンタルヘルスに関する意識啓発や、教育職員が気軽に相談できる相談窓口を設置し、その周知を図るなどの取組を推進するとともに、積極的な学校訪問等を行い、学校の様子や各教育職員の状況を的確に把握するよう努めること。併せて、各学校の管理職に対してメンタルヘルスに対処するための適切な研修を実施するよう努めること。
 また、労働安全衛生法においては、全ての事業場において、事業者は、労働者の週40時間を超える労働が1月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められるときは、労働者の申出を受けて、医師による面接指導を行わなければならないこととされています。各都道府県・市町村教育委員会におかれては、全ての学校において、面接指導を実施できる体制を整備するようお願いします。





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