● 犯罪行為として取り扱われるべきと認められるいじめ事案に関する警察への相談・通報について 平成24年11月2日 24文科初第813号



24文科初第813号 平成24年11月2日
各都道府県教育委員会教育長、各指定都市教育委員会教育長、各都道府県知事、附属学校を置く各国立大学法人学長 宛
文部科学省大臣官房長(子ども安全対策支援室長)(前川喜平)、文部科学省初等中等教育局長(布村幸彦)


    犯罪行為として取り扱われるべきと認められるいじめ事案に関する
    警察への相談・通報について(通知)


いじめの問題については、学校において、いじめられている児童生徒を徹底して守り通すという姿勢を明示するとともに、いじめる児童生徒に対しては、「社会で許されない行為は学校の中でも許されない」ことであり、自身が行ったいじめについては適切に責任を取る必要があることを指導するとともに、このことの教育的意義について保護者にも説明して正しく理解いただくことが重要です。
「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について」(平成19年2月5日付け18文科初第1019号文部科学省初等中等教育局長通知)においては、「問題行動の中でも、特に校内での傷害事件をはじめ、犯罪行為の可能性がある場合には、学校だけで抱え込むことなく、直ちに警察に通報し、その協力を得て対応する。」として犯罪行為の可能性のある問題行動について警察と連携・協力した対応を求めているところですが、もとより、いじめについては、その行為の態様により、傷害に限らず、暴行、強制わいせつ、恐喝、器物損壊等、強要、窃盗をはじめとした刑罰法規(別添参照)に抵触する可能性があるものです。
ついては、都道府県・指定都市教育委員会にあっては所管の学校及び域内の市区町村教育委員会等に対して、都道府県知事にあっては所轄の私立学校に対して、国立大学法人学長にあっては設置する附属学校に対して、上記の趣旨を踏まえ、改めて下記について周知を図るとともに、適切な対応がなされるよう御指導をお願いします。
なお、本通知の内容については、警察庁生活安全局と調整済みであることを申し添えます。


                    記


1.学校や教育委員会においていじめる児童生徒に対して必要な教育上の指導を行っているにもかかわらず、その指導により十分な効果を上げることが困難である場合において、その生徒の行為が犯罪行為として取り扱われるべきと認められるときは、いじめられている児童生徒を徹底して守り通すという観点から、学校においてはためらうことなく早期に警察に相談し、警察と連携した対応を取ることが重要であること。

2.いじめ事案の中でも、特に、いじめられている児童生徒の生命又は身体の安全が脅かされているような場合には、直ちに警察に通報することが必要であること。

3.このような学校内における犯罪行為に対し、教職員が毅然と適切な対応をとっていくためには、学校や教育委員会においては、学校内で犯罪行為として取り扱われるべきと認められる行為があった場合の対応について、日頃から保護者に周知を図り、理解を得ておくことが重要であること。




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別添 いじめが抵触する可能性がある刑罰法規の例について


○強制わいせつ(刑法第176条)
<条文>
第百七十六条 十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

○傷害(刑法第204条)
<条文>
第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

○暴行(刑法第208条)
<条文>
第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

○強要(刑法第223条)
<条文>
第二百二十三条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。

○窃盗(刑法第235条)
<条文>
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

○恐喝(刑法第249条)
<条文>
第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

○器物損壊等(刑法第261条)
<条文>
第二百六十一条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

以上





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