● 公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律の公布について 平成25年12月4日 25文科初第996号



25文科初第996号 平成25年12月4日
各都道府県教育委員会、各都道府県知事、各構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長、附属学校を置く国立大学長、各公私立高等専門学校長、独立行政法人国立高等専門学校機構理事長、独立行政法人海技教育機構理事長 宛
文部科学省初等中等教育局長(前川喜平)


    公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に
    関する法律の一部を改正する法律の公布について(通知)


 このたび、第185回国会において「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律(平成25年法律第90号)」(以下「改正法」という。)が成立し、平成26年4月1日から施行されることとなりました。
 平成22年に制定された「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律(平成22年法律第18号)」(以下「法」という。)は、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与することを目的としたものでありますが、その施行後においても低所得世帯の生徒等について高等学校教育に係る経済的負担が十分に軽減されておらず、特に、私立高等学校等の低所得世帯の生徒等には、授業料を中心に依然として負担が大きい状況にあります。
 このため、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を適正に行うため、高等学校等就学支援金(以下「就学支援金」という。)の支給について、所得制限を行う等の必要な見直しを行うものであり、これによって捻出された財源により、低所得者支援や公私間の教育費格差の是正のための施策等を行う方針です。
 改正法の概要及び留意事項は下記のとおりですので、関係する規定の整備等事務処理上遺漏のないよう願います。また、授業料徴収システムの整備など、新制度の実施に当たって必要な諸準備を進めていただきますよう願います。
 各都道府県教育委員会におかれては、域内の市町村教育委員会及び所管の関係学校に対して、各都道府県知事におかれては、所轄の関係学校及び学校法人等に対して、国立大学長及び独立行政法人国立高等専門学校機構理事長におかれては、その管下の関係学校に対して、改正法等の周知を図るとともに、適切な事務処理が図られるよう配慮願います。
 なお、改正法については、関係資料と併せて文部科学省のホームページに掲載しておりますので、御参照ください。また、別添2は、受験生・保護者等の方々に、速報版として制度改正をお知らせいただくものですので、適宜ご利用ください。さらに、平成26年1月には、就学支援金の加算額や「奨学のための給付金制度(仮称)」などの詳細情報について関係各位に対して再度周知することとし、そのためのリーフレットを受験生・保護者等の方々に配布する予定です。
 改正法を受け、「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行令(平成22年政令第112号)」及び「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則(平成22年文部科学省令第13号)」についても、追って改正する予定であることを申し添えます。


                   記


1 改正法の概要
(1)公立高等学校に係る授業料の不徴収制度の廃止等
 公立高等学校に係る授業料の不徴収制度を廃止し、公立高等学校の生徒についても就学支援金の支給の対象としたこと。(改正後の第3条第1項関係)

(2)就学支援金の支給の制限
 保護者等の収入の状況に照らして、就学支援金の支給により当該保護者等の経済的負担を軽減する必要があるとは認められない者として政令で定める者(※)については、就学支援金を支給しないものとしたこと。
※保護者等の世帯年収が市町村民税所得割額で30万4200円以上の者を政令において規定する予定。(改正後の第3条第2項第3号関係)

(3)届出及び支払の一時差止め
 受給権者は、文部科学省令で定めるところにより、都道府県知事に対し、保護者等の収入の状況に関する事項として文部科学省令で定める事項を届け出なければならないものとし、正当な理由がなく当該届出をしないときは、就学支援金の支払を一時差し止めることができるものとしたこと。(改正後の第9条及び第17条関係)

(4)施行期日等
 1 改正法は、平成26年4月1日から施行することとしたこと。(附則第1条関係)

 2 改正法の施行前から引き続き高等学校等に在学している生徒については、従前の制度を適用するなど、所要の経過措置について規定したこと。(附則第2条関係)


2 留意事項
(1)本制度の趣旨の周知等
 本制度の対象となる高等学校等及びその設置者等は、その円滑な実施を図るため、制度の内容について別添2等を適宜活用し、十分な周知等を行うこと。

(2)不徴収制度の廃止に伴う条例等の整備等
 公立高等学校に係る授業料の不徴収制度の廃止に伴い、各地方公共団体は、授業料徴収条例等について所要の見直しを行い、関係規定の整備等を行うこと。また、授業料徴収システムの整備など、新制度の実施に当たって必要な諸準備を速やかに行うこと。

(3)就学支援金の支給等に関する事務処理等
 1 改正後の第4条に規定する受給資格の認定のための申請及び第17条に規定する届出にあたっては、各都道府県及び支給対象高等学校等の設置者において、個人情報の取り扱いには十分留意するとともに、生徒及び保護者のプライバシーに配慮した書類の提出方法について、特段の配慮を行うこと。特に、学校現場で生徒の世帯収入を把握することについては、世帯の所得を学校に知られたくないという保護者等の意見があることも踏まえ、申請書類の内容を学校ではなく都道府県等で確認できるようにすることが望ましいこと(別添3参照)。
 2 各地方公共団体及び支給対象高等学校等の設置者においては、就学支援金の支給等に関する事務について、後日改めて示す予定である「高等学校等就学支援金事務処理要領」等を踏まえ、適切に処理すること。

(4)高等学校等の生徒等に係る教育費負担等の一層の軽減
 各都道府県等においては、国による低所得世帯の生徒等への支援の拡充について予算措置が確定した後には、現在実施されている高等学校等の生徒等への経済的負担の軽減や教育条件の維持向上に係る事業等を拡充するなど、支援の充実に引き続き努められたいこと。また、生徒等や家庭の実情を十分把握した上で、各学校等において引き続ききめ細かな対応を図られたいこと。

(5)高等学校等における授業料
 授業料額の設定については、設置者の権限と責任において行われるべきものであるが、今回の制度の導入に伴って合理性のない値上げを行うことは望ましくないこと。

 〔参考〕文部科学省ホームページアドレス
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/index.htm






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