● 学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(部活動指導員) 平成29年3月14日 28ス庁第704号



28ス庁第704号 平成29年3月14日
各都道府県教育委員会教育長、各指定都市教育委員会教育長、各都道府県知事、附属学校を置く各国立大学法人学長、構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた各地方公共団体の長 宛
スポーツ庁次長(橋道和)、文化庁次長(中岡司)、文部科学省初等中等教育局長(藤原誠)


    学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)


 このたび,別添のとおり「学校教育法施行規則の一部を改正する省令(平成29年文部科学省令第4号)」が平成29年3月14日に公布され,平成29年4月1日から施行されることとなりました。
 今回の改正は,中学校,義務教育学校の後期課程,高等学校,中等教育学校並びに特別支援学校の中学部及び高等部(以下「学校」という。)におけるスポーツ,文化,科学等に関する教育活動(学校の教育課程として行われるものを除く。)に係る技術的な指導に従事する部活動指導員について,その名称及び職務等を明らかにすることにより,学校における部活動の指導体制の充実が図られるようにするものです。
 本改正の概要及び留意事項等は,下記のとおりですので,十分に御了知の上,適切に御対応くださるようお願いします。
 また,都道府県教育委員会・指定都市教育委員会におかれては所管の学校及び域内の市区町村教育委員会に対して,国立大学法人学長におかれては附属学校に対して,本通知の内容について指導,助言及び周知をお願いします。都道府県知事におかれては所轄の私立学校及びそれを設置する学校法人に対して,構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長におかれては認可した株式会社立学校及びそれを設置する学校設置会社に対して,本通知の内容について十分周知をお願いします。


                   記


第1 改正の概要

 本改正は,学校におけるスポーツ,文化,科学等に関する教育活動(学校の教育課程として行われるものを除く。)に係る技術的な指導に従事する部活動指導員について,その名称及び職務等を明らかにすることにより,学校における部活動の指導体制の充実が図られるようにするものであること。  

第2 留意事項

1 部活動指導員の職務
(1)部活動指導員は,学校の教育計画に基づき,生徒の自主的,自発的な参加により行われるスポーツ,文化,科学等に関する教育活動(学校の教育課程として行われるものを除く。)である部活動において,校長の監督を受け,技術的な指導に従事すること。
(2)部活動指導員の職務は,部活動に係る以下のものが考えられること。なお,部活動指導員が置かれる場合であっても,これらの職務を教諭等が行うことを妨げるものではないこと。
・実技指導
・安全・障害予防に関する知識・技能の指導
・学校外での活動(大会・練習試合等)の引率
・用具・施設の点検・管理
・部活動の管理運営(会計管理等)
・保護者等への連絡
・年間・月間指導計画の作成
部活動指導員が作成する場合は,学校教育の一環である部活動と教育課程との関連を図るためなど必要に応じ教諭等と連携して作成し,校長の承認を得ること。
・生徒指導に係る対応
部活動指導員は,部活動中,日常的な生徒指導に係る対応を行うこと。いじめ暴力行為等の事案が発生した場合等には,速やかに教諭等に連絡し,教諭等とともに学校として組織的に対応を行うこと。
・事故が発生した場合の現場対応
部活動指導員は,事故が発生した場合は,応急手当,救急車の要請,医療機関への搬送,保護者への連絡等を行い,必ず教諭等へ報告すること。特に,重大な事故が発生した場合には,学校全体で協力して対応する必要があるため,直ちに教諭等に連絡すること。
(3)校長は,部活動指導員に部活動の顧問を命じることができること。また,教諭等の顧問を置かず,部活動指導員のみを顧問とする場合は,当該部活動を担当する教諭等を指定し,上記(2)にあるように年間・月間指導計画の作成,生徒指導,事故が発生した場合の対応等の必要な職務に当たらせること。
(4)部活動指導員は,当該部活動の顧問である教諭等や上記(3)の部活動を担当する教諭等と,日常的に指導内容や生徒の様子,事故が発生した場合の対応等について情報共有を行うなど,連携を十分に図ること。

2 部活動指導員に係る規則等の整備
 学校の設置者は,部活動指導員に係る規則等を整備すること。当該規則等には,部活動指導員の身分,任用,職務,勤務形態,報酬や費用弁償,災害補償,服務及び解職に関する事項等必要な事項を定めること。
 なお,災害補償については,地方公共団体において部活動指導員を非常勤職員として任用する場合,労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)第3条第2項により,労働者災害補償保険の適用となることに留意すること。

3 部活動指導員の任用
 部活動指導員の任用に当たっては,指導するスポーツや文化活動等に係る専門的な知識・技能のみならず,学校教育に関する十分な理解を有する者とすること。

4 部活動指導員に対する研修
 学校の設置者及び学校は,「運動部活動での指導のガイドライン」(平成25年5月)等を踏まえ,部活動指導員に対し,事前に研修を行うほか,その後も定期的に研修を行うこと。研修においては,部活動が学校教育の一環であること等部活動の位置付けや部活動が生徒の学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵養等に資するものであること等教育的意義のほか,学校全体や各部の活動の目標や方針を熟知すること,生徒の発達の段階に応じた科学的な指導を行うこと,安全の確保や事故発生後の対応を適切に行うこと,生徒の人格を傷つける言動や体罰が禁止されていること,服務(部活動指導員が校長の監督を受けることや生徒,保護者等の信頼を損なうような行為の禁止等)を遵守すること等について,十分に理解させること。

5 生徒の事故への対応
 学校の管理下において部活動指導員が部活動の指導を行った際に生徒に負傷等の事故が発生した場合であっても,独立行政法人日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度の適用となること。

6 適切な練習時間や休養日の設定
 学校の設置者及び学校は,部活動指導員による指導を行う場合であっても,適切な休養を伴わない行き過ぎた活動は,生徒における様々な無理や弊害を生むことから,「平成28年度全国体力・運動能力,運動習慣等調査の結果の取扱い及び活用について」(平成29年1月6日付け28ス庁第540号)も踏まえ,練習時間や休養日を適切に設定すること。なお,文部科学省においては,平成29年度に部活動に関する総合的な実態調査等を行い,平成30年3月末を目途に,スポーツ医・科学の観点や学校生活等への影響を考慮した練習時間や休養日の設定を含む「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン(仮称)」を策定することとしていること。

7 生徒,保護者及び地域に対する理解の促進
 学校の設置者及び学校は,部活動に対する生徒や保護者,地域の関心が高いことから,部活動指導員の配置に当たっては,事前に情報提供を行うなど,生徒や保護者等の理解を得るよう努めること。また,学校の設置者は,部活動指導員の確保に資するため,地域の体育協会,スポーツ団体及びスポーツクラブ等との連携を積極的に図ること。

第3 施行期日

 本施行通知に係る省令については,平成29年4月1日から施行することとしたこと。



別添資料
【別添1】学校教育法施行規則の一部を改正する省令(平成29年3月14日文部科学省令第4号)
【別添2】新旧対照表






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